百考は一行に如かず(医療福祉の大切なマインド)
誰の現在と将来を大切にするのか?
医療福祉業界では知識や経験は非常に重要なものです。
しかし、この知識や経験が時に偏った見解を生んでしまい、サービスを受けられる方が感じていることや思っていることとは異なるサービスの提供になってしまうことがあります。
医療福祉業界は知識や経験に基づく専門性のあるサービスの提供が重要ですが、専門性に基づくサービスの提供と自分の考えや経験だけで判断することは別の話です。
サービスを受けられる方が…
生活する中でどのような課題をもっておられるのか
将来どのような状態になっていたいのか
このような思いやニーズをしっかりと把握できていないままだと、サービスを受けられる側ではなくサービスを提供する側の満足になってしまいます。
私たちの仕事に求められているのは、私たちが行いたいものを届けるということではありません。
ある程度の経験を積んできた
専門課程でしっかりと専門知識を学んできた
だからこそ起こってくるケースではありますが、意識を持つこととちょっとした行動の変化でこのような事態を防ぐことが出来ます。
医療福祉に従事する私たちは多くの知識や経験を有していたとしても、考えたり予測するだけでなく実際に会話や行動を共にしてみることが大切です。
私たちは、誰の現在と将来を大切にするのか?
ということについて、実際にあった話【実例】をもとにご紹介します。
医療福祉業界で働いている方や、医療福祉業界を目指している学生の方はぜひ最後までご覧ください。
また、考え方としては医療福祉業界以外にも通じる内容になっていますので、ご興味のある方はぜひご覧いただければと思います。
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「おそらくこうだろう」は必要だが…
医療福祉業界において専門性のあるサービス提供は必要であり大切なことです。
これらのない状態で場当たり的に感覚でケアを提供してしまうと、専門性があるとは言えないばかりか、患者様や利用者様の大事な命を危険に晒してしまうだけでなく「生きる」ことをサポートできなくなってしまいます。
専門職としての知識と経験を活かして、目の前の患者様や利用者様にケアを提供していくことが私たち医療福祉従事者に求められることなんです。
そして、これらの知識と経験は時間の経過とともに日々蓄積させていくことが大切です。
この蓄積した知識や経験が観察力を高め、予測する力や状況に応じた判断、思考力に変わっていくんです。
その結果、私たちの頭の中には「おそらくこうだろう」というイメージができるようになるんです。
このイメージができることにより、今考え得る最も良いケアの提供や迅速なサービスの提供に繋がります。
そのため、このこと自体は悪いことではなく専門職として必要なことだと言えます。
しかし、「おそらくこうだろう」という見方だけに偏ってしまってはいけません。
そもそも患者様や利用者様の思い、希望は何かというニーズを把握することからがスタートであり、これを抜きにしての勝手な判断や思考になってしまうと「誰にとっての何が問題なのか」がわからない状態になってしまいます。
この大原則はわかっていはいても、ついうっかり思考してしまうものであり意識しなければいけません。
【実例】不安は私たちの予想していないところに…
ここからは、実際に私が体験した「おそらくこうだろう」が全くの見当違いであったケースについてご紹介します。
先日、はじめてサービスを受けられる方(仮名:Aさん)の自宅に伺い、様子をみさせていただいた時のことです。
私はチャイムを鳴らし玄関前で「こんにちは」と挨拶をしました。
すると「どうぞ」と中から声が聞こえたため、扉を開けました。
杖をつきながらこちらに笑顔で向かって来てくれるAさんの姿がありました。
「今からお出かけでもされるのかな?」と思うほど、身なりは整っています。
杖をつきながら歩いてこちらに向かって来られたのですが、多少ふらつきが見られ、安定しているとは言えない状態でした。
二人で座った後、私は以下のようにAさんとお話ししました。
私:病気をしたことで諦めてしまったことや、やりたいけどできないことなどありますか?
Aさん:そうやねー。温泉でも行きたいけど…行けないよね。これじゃ。
私:温泉がお好きなんですね。気持ちがいいですよね。
(私の頭の中:確かに今の歩き方じゃ、お湯で濡れている滑りやすい床の上を歩くのは怖いかもしれないなあ)
でもAさんは温泉に行けないと感じているんですね…どんなところが心配ですか?
Aさん:お通じがね。便秘で体調崩すからそれが心配で行けないのよね。
私はてっきり歩くことや温泉で転んでしまうことが不安なのだろうと予想していました。
しかし、実際にAさんが不安に感じていたのはお腹の調子のことだったんです。
………
知識や経験から「おそらくこうだろう」と考えてしまっていましたが、しっかりとご利用者の思いを聞くことは大事であるということを改めて感じました。
私は危うく「Aさんが何を問題と思っているのか」を見落とすところだったんです。
「思い」の答えは患者様と利用者様が持っている
自分が積み上げてきた知識や経験がすべてだと思っている人は少ないかもしれませんが、知らず知らずのうちに思い込みがあったり、自分の考えや判断が偏ってしまっている人は多いんです。
私たちは知識や経験により「過去のケース」を知ってはいますが、目の前の患者様や利用者様の「思い」を知っているわけではありません。
過去のケースとサービスを受けられる目の前の方は同じではないんです。
もっと掘り下げて考えると、目の前の方思いというのは午前と午後でも違う可能性があり、数日後には全く違う思いを持っていることすらあるんです。
例えば、カレーライスが好きな人がいたとします。
カレーライスが好きな人はいつでもカレーライスを食べたいと思っているかと言えば、そうではないはずです。
カレーライスが好きな人の中でも、食べることが好きな人もいれば、作るのが好きな人もいます。
カレーライスを食べるのが好きな人であったとしても、熱が出て喉が痛い時にはカレーライスを食べたくなくなることだってあります。
このように、人の思いや考えは常に変化するものであり、今どのような思いを持っているのかという答えは私たちの頭の中にあるのではなく「患者様・利用者様がもっている」ものなんです。
百考は一行にしかず(対話が重要)
百考は一行にしかずとは「考えるばかりではなく、行動することが大切だ」という言葉です。
少しにニュアンスは違いますが、医療福祉業界でも通じる言葉です。
知識や経験を重ねれば重ねるほど、引き出しが多くなって様々なことを考えられるようになりますが行動(実際に聞くなどのアプローチ)が大切です。
いくら知識や経験があるとはいえ、それは過去のもであったり理論上のことであり、現実や目の前の患者様や利用者様と一致するとは限りません。
特に人の思い(ニーズ)については、その方の背景や今まで大切にされてきた価値観、その時の状況や置かれている家庭環境、将来の状況など様々な要因が絡み合ってわからないことばかりです。
そんな時こそ対話することが大切です。
自分の理解と相手の思いや理解を重ね合わせ、話合いながら方向性を決めていくことを心がけましょう。
大事なのは互いを知り合い、互いに何が出来て何を目指すのかということを理解しあうことです。
患者様や利用者様が中心と言えど、全てが言われるがままの状態となると専門性を提供することができなくなってしまいます。
とは言え、知識と経験という専門性ばかりを押し付けてしまっては本当の思いやニーズを見落としてしまい、一方的なサービスになりかねません。
積極的に対話を行うことで、今の状況をより掘り下げて理解しあえるだけでなく、サービスを提供する側だけでなくサービスを受ける側も行動意欲を持てるようになり、信頼や安心感にも繋がってより良いサービスの提供に繋がっていきます。
”誰の現在と将来を大切にするのか?”
私たち医療福祉従事者はこの言葉を常に考えて行動していくことが大切なんです。
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