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いつかのための詩集

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どこかで酒と出会うための詩集。
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2018年11月の記事一覧

別れのグラスに君を注いで。

別れのグラスに君を注いで。

別れのグラスに何浮かべるだろ

君と僕との最後のグラスに

酒を浮かべて笑みを映して

これでよかったと飲み干すだろか

出会った喜び語るときには

間逆に別れを考えていて

沈思黙考したフリをして

「どうでもよいか」とまた飲む僕さ

顔も知らずに挨拶するとは

ハローたぬきさん どうしたことだろ

こちらは今々雲が晴れゆく

君の空は何色だろうか?

顔も知らずに別れ思うとは

ハローたぬきさ

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あいまい日記

あいまい日記

ややアンニュイな日でした。喜んでいるわけではなく、誰に対しても怒りはわかず、少しの悲しみもない、つまるところ脱力した楽な日でした。私は楽。

少し暖かい日でした春の日かと思うくらいの日差し夏の日のような総毛立つ空気秋の日かと思う空の高さ今は冬でした。私の冬。

北に向かって一度も立たなかった。西も東も嫌いです。だから南を向くしかない。植物みたいだ。私は南向き。

古の偉人伝はありません。ここでも、

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ほとりで ふたりで

ほとりで ふたりで

こんな夜には

はるかな泉の奥までも

くしゃみの音がひびいてゆきそで

なんだかふたりは ためらってしまう 
 
 
 
キャンプファイアの

地鳴りは消えた

うるさいあいつも

山鳥よろしくだんまりになって
 
 

ねえねえ きみは きみは と

尋ねるきみのそばで

僕はくしゃみをこらえていた

ひっそりと
 
 

顔を見たならきみにそのケが 

つまりはくしゃみの

ケがバレそうで

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君と僕、あるいは…

君と僕、あるいは…

泣いてんな 泣いてるよ

まるいな (まるいよ)

ちいせぇな (ちいせぇよ)

動いてんな (動いてるよ)

飲んでんな (飲んでるよ)

触ってんな (触ってるよ)

見てんなあ (見てるよ)

ニヤけてんなあ (ニヤけてるよ)

這ってるなあ (這ってるよ)

食ってるなあ (食ってるよ)

立ってんなあ (立ってるよ)

喋ったな! 喋ったぞ!

(立ててたなあ) 立ててたのにな

(食っ

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宵の口 酔の口 よいの、口?

宵の口 酔の口 よいの、口?

この一口で何を思い出すだろ

杯 かたむける かたむける

なめろうまでが 苦い

隣の客が うるさい

この一口で何を思い出すだろ

杯 かたむける かたむける

口紅が とけてゆく

くらいの ひややかな

この一口で何を思い出すだろ

杯 かたむける かたむける

部屋の整理は終わり あとは鍵を返すだけ

不幸脱ぐ不幸脱ぐ 私及び君

この一口で何を思い出すだろ

杯 かたむける かたむける

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寒空にテント

寒空にテント

寒空にテント

広げてあなたと眠りましょう

なあにすこしの

距離はありますが

広げてあなたと眠りましょう

寒空にテント

ペグを打ちつつ笑いましょう

たまに指でも

負傷しながら

ペグを打ちつつ笑いましょう

寒空にテント

風が吹いたら飛ばされましょう

右手があれば

怖くはないかな

風が吹いたら飛ばされましょう

寒空に、点、と

寒空に、点、と

寒空に、点、と

つなげてあ

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ふつうのしあわせ

ふつうのしあわせ

ふつうふつうふつう

わからなくなった時は

ふうふうふう

息を切らしましょう

ふつうふつうふつう

つまらなくなった時は

うふううふううふう

喉を鳴らし飲みましょう

ふつうふつうふつう

やりすぎた時は

つうふうつうふうつうふう

痛いこともあるかもしれない

ふつうふつうふつう

恨みたくなったときは

うふふうふふうふふ

まゆを垂らしてわらいましょう

ふつうふつうふつう

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住食衣tc.

住食衣tc.

じりっとする じりっとする

春日色の薄氷を踏む 頭

じりっとする じりっとする

右手が震えてる 光 朝

じりっとする じりっとする

体温計のにおい ひんやり

じりっとする じりっとする

メロディーを奏でてる 自動に

じりっとする じりっとする

お水をください 冷えたやつ (ダメ)

じっとりする じっとりする

あたたまっては ひえて ゆく

じりっとする じっとりする

ノーベ

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巡る覆水ばかり

巡る覆水ばかり

水風船われた 君のそばで 水風船われた

水風船われた 水風船われた

あいつにかかった 水風船われた 澄んだ極彩色が 

水風船われた 月がしめった 枕が香った 水風船われた

気がした

水風船われた 水風船われた 水風船われた

君が笑って 水風船われた 水風船われた

ぬれてしまった 水風船われた 

水風船われた 麦わら帽が麦茶味

水風船われた 水風船われた

20年越しで 水風船われ

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からからっていう音が

からからっていう音が

車を走らせてる からから から

氷をいれてる からから から

かざぐるまがまわる からから から

くじびきしてる からから から

砂漠をあるいてる からから から

色とりどりの回想が巡る からから から

おんなのこが踊る からから から

ストーブが空回りして からから から

いやいや いや

君らがいないから からから から

からから

なのだった

からから から
からから か

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ねがいごと

ねがいごと

ねえ、雪が降るね
そうだね
あたりは真っ白
そうだね
ペヤング食べちゃった?
うん
冷凍庫の爽は?
うん
そっか

豚がいい?
ん?
鶏にしよっか?
うん
すだち?
ゆず
チューブで買っておいた、一応
うん

マフラーしていきなよ
うん
寒いんじゃないかなあ?
んー
靴下薄くない?
んー?
こっちにしなよ
うん

星がきれい
うん
初めて見た、こんなの
普通じゃない
普通じゃ、ないよ
そう
そうだ

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浅い朝のもごもごなど

浅い朝のもごもごなど

ひかりの粒で起きました、どうやら今日は触
覚が備わっているようです、目に入るゴミが
私の中を丁寧にかき回しているようなそんな
気がしていてびっくりドンキー、と書くのは
昨晩の夕飯を思い出しているのではなく一種
のギャグではあるのだけれどというには、び
っくりを引き出すための言葉としては「ドン
キー」は少し重いかなと思い前、墓地のある
前方に手を伸ばして髪のボサボサ、通りをゆ
くクラシックカーのエン

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なんとなくミレニアム

なんとなくミレニアム

1000年眠る前に

きみとスタバでマキアート

その後とらやの羊羹をかって

神社の石段を上がっちゃおう

裂けた紅葉の隙間から

ベレー帽が見えた 紺のさきっぽ
 
 
 

1000年眠る最中に

気まぐれな太陽に祈る人たち

青い構造物など

悠久の夢をみてた

側で

寝転んでいた 落ち葉が

積もり積もってわたしたちは

消えてく はあ
 
 
 

1000年眠った後

わたしの咳の

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世界はいつでも五分前

世界はいつでも五分前

街にイチョウの絨毯

彼は揚々と横断

言い訳は同断

彼女の左手でぶたれる 五分前
 
 
 

校舎の裏側で登壇

3組のあいつは糾弾

給食費泥棒が驚嘆

薄暗い側溝に散る 五分前

 
 

モールの階段を数段

上がってコケて寸断

アキレス腱を気にしてワイダン

評判が地に落ちる 五分前
 
 
 

砂が舞い上がり両断

唇と唇を両断

見える瞳ふたつ感嘆

ひとりとひとりに戻る 五

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