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2020.4.25 初夏田園に逝く
でんえんに響くプルタブの音、おと
つちをいじる 粗さ 愛で方も知らず
風にまじっている黒ラベル
すりーふぁいぶ フィフティー
同じくらいの背丈を道に並べる
水死体の午後 悠然と
「これだけだよ 飲んでいいのは」
先生はよく笑う
日がかたむく前に見ておくのだ
ホワイトスリーブから
かおるものを
(水死体だけにかおるものを)
からっとした目の前の水田
ぼくたちがうかぶすいでん
湖面と、あと残ったなにか
卵黄が沈む湖をみて
息を凍らせながらまばたきをする
誰もここにはいない
失われることのないからきしの凪
指先から また 別の
五本揃って そのあとの
黒髪を弦にして
水面に波紋が響き始める
た たた たた た
たたたた た たた
た た た たたた
たた たた たたた
木々が葉を散らす
食いちぎって深緑の中に
新緑をむき出しにする
香りまでもが までもが
たんに反響するのではなく
一音一音
怪獣の群れ 怪獣の群れ
はあ 怪獣の群れ 3匹の
闇夜に差す光 調光の最低
オレンジ色の寝息を嗅ぐ
それは自分にどこか似ていると
今日は中庭に月が浮かぶ
昨日は雲だけが
影を追う散歩はおわって
砂をいじる きみの手を拾う
殴らない殴り合いの
いや 殴らないということが殴ってくる
そんな日々にあって
バランスの悪い関係だよ 果物をあげるよ
月が 照らされ 照らすのに 飽きる 頃に
ちっこい右手が わたしの脇腹に
殴ってはいません わたしたち
春の嵐が
ふきあれる夜に
ひっそりと
殴り合いをしています
殴り合いをしています
殴り合いを
髪の先をなでます
殴り合いをしています
夕飯の献立が
ああだろうと こうだろうと
どうでもいいのですが
殴り合いをしています
生協でも 西友でも
構わないのですが
殴り合いをしています
殴り合いをしています
殴った先っぽから
蜜が溢れて
それは夢を見させます
垣間みる先の先の先の
イメージを殴り
自らと肉に過剰なY氏の一日
余ってしまった
おなかの肉を
眺めながら
思い出すことなど
余分がなかった頃
思いは一杯で
まさに 余裕はなく
あなたが大好きでした
余ってしまった
おなかの肉を
眺めながら
思い出すことなど
腹が欲と釣り合うことはなく
歩くのが大変でした
欲は大きくなった
好きだ
余ってしまった
おなかの肉を
眺めながら
思い出すことなど
人生において
用がないと思ってた
XLのパンツを買って
赤面し
苦しい夕べ きみがかわいくなる
かわいい
メリーゴーラウンドは回り続ける
華やかな都会の空気の中で
同じ香りを吸っているぼくがいる
銀杏並木を通り抜ける
低速で それは低速で
ぎら ぎら ぎら と
吐気になにか混ざる なにか
坂の多い街で
投げ捨てたもの
大きなかばん と
それにつめるものたち
コップに星空が映る
今日も
きみに見えていて
ぼくには いや 見える よ
かわいい
メリーゴーラウンドは回り続ける
華やかな都
それならあの木のしたで
踊りましょう
飲みましょう
忘れましょう
あとに残るのが愛情です
路地を通って帰っていた3月の夜
今日の面接は
マックの端っこのポテトみたいだった
固 塩
夕飯に味噌汁の香りなどはなかった
冷蔵庫は空だった
ぶ うぅううぅ ん
黄色いライトが照らすのは足りない指
もしここが
タイムスリップのディスコだったり
して きょとんとふたり これ
踊るだろうか 踊るだろう
できの悪いソファベッドにね
ひっそりと春ひっそりと
川の流れる ただ川の流れる
花びらをちぎってくれてやろう
どこまでもいけばいい
わたしのいけないところまで
見えない微粒子とふれあいながら
くしゅんとキスをしたのは紫色の夜
ロマンティックのその前に
半額弁当がこよなく光る
アスファルトに星光る
吐息が結晶化して
マフラーを奪う
首元に雲たなびく
ヘッドライトをかわしては
街灯の下で踊る遊び
いつも通らない道を通って
退屈な退屈なアパートに帰
一寸先は青 いつでも
湧いてくるソリッドな感情
深夜3時の松屋の前で
見た目冷たすぎる頬を触って
みためっぽう暖かかった
花見の場所取りは予定通りで
雪が降ったりおでんを買ったり
芝生芝生芝生芝生
凍る毛先を愛でる若さ
なんだろう
今より少し前の月日は
なにかしながら必死で
別の何かを考えていたり したか?
自動車学校の思い出話
をする あなた
友人 友人 知人 他人
一緒くたに嫌いにくくるぼくは ハートランド
ジュヴドゥレオゥスィーアンヴァイユ・(ス?・)パケ・オ・ジャポン
そしたら右手を取るのです
意図はあってもなくてもよくて
晴れた日に両手をかざして
血が香ったなら 今日は吉日
目が覚めて 身体が冷めて
夢から二度覚める青ざめる 空まで
毛布の感触がわざとらしくて
背骨と背骨を重ねて眠る
誰も訪ねないその場所に
?の羽で降り立った
スウェットとジーンズを出して
河川敷へゆく みんながゆく
目玉焼きと
昨晩の残りの惣菜とを
白米で食べて
無印良品へでかけて で
今夜は雨か それならいいや
もしも涙が鳥になったなら
今度こそ 届くだろう
長い間 長い間に
沈殿した砂 海の底 いきものの眼
まぶたの裏側には
霧雨が降る 霧雨が降る森
飛翔する 羽 空 青
誰に遠慮することもなく 雨
千切って 千切られるもの
争いごとの裂け目をなぞると
思いの外 流血している
蹴っている君のほうが
さあ ピクニックに行かなくては
水彩画に描かれた城
湖上の
渡れれば決して 虚像ではない
ネオンサ
オフィスワーカーは思い出すのが仕事なのであった 途方もなく
地球のうらがわから
来てくれますか
わらじとかで
焼ける野原で抱擁したいのです
告白します
エアコンもない教室で
ある夏の日
眺めていました 舐めるように
白い袖からでてくる うで
にしたたる
汗の向こうの赤いくちびるを
ごめんなさい
こうしてデスクワークをしていると
砂漠の真ん中の
いいえ
宇宙の真ん中のよう オアシスは
それでもわたし
眺めていたのです
扇風機すらない教室で
髪留めのそ