苦しい夕べ きみがかわいくなる
かわいい
メリーゴーラウンドは回り続ける
華やかな都会の空気の中で
同じ香りを吸っているぼくがいる
銀杏並木を通り抜ける
低速で それは低速で
ぎら ぎら ぎら と
吐気になにか混ざる なにか
坂の多い街で
投げ捨てたもの
大きなかばん と
それにつめるものたち
コップに星空が映る
今日も
きみに見えていて
ぼくには いや 見える よ
かわいい
メリーゴーラウンドは回り続ける
華やかな都会の空気の中で
同じ香りを吸っているぼくがいる
晴天に座礁した船の上で
のんきに雑談をするような
帆布のバッグを持っていた時
ミルクティーの氷が溶ける
からん と がらんどう
飲み干した後に
境内にはもう誰もいない
―きみは木の細工を見ていた虹色の
興味がないと言いながら
見に行った映画など
ポップコーンの色気しか
覚えていない 小麦色
かわいい
メリーゴーラウンドは回り続ける
華やかな都会の空気の中で
同じ香りを吸っているぼくがいる
海が見える町まで行って
海を見ない
海はなみだのようだと そんなことを
すごいおじさんが 言っていたと
最後にガストに行きたくなるのだ
なんでもないハンバーグと
(もちろん おいしい)
と 湯気まで食べてしまいたい
曖昧さに 輪郭を与えるのは
感触であり
輪郭を崩すのも
感触であって (ああ)
かわいい
メリーゴーラウンドは回り続ける
華やかな都会の空気の中で
同じ香りを吸っているぼくがいる
そうだな
同じだと言えないものを
言ってしまうことで
それを愛おしくなる頃から 人は老けた
酒と2人のこども達に関心があります。酒文化に貢献するため、もしくはよりよい子育てのために使わせて頂きます。