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個人的に好きな芥川関連記事

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#エッセイ

女(芥川龍之介 小説 独自解釈 1)

女(芥川龍之介 小説 独自解釈 1)

引用:青空文庫 芥川龍之介「女」
芥川龍之介 女 (aozora.gr.jp)

 芥川龍之介先生の書いた小説「女」について考えてみたいと思います。

 この物語の主人公は雌蜘蛛、メスの蜘蛛です。「女」と言う題名から、人間の女性の話かと思いましたが、クモでした。人間の女性を「メス」と表現する事はよくありますが、人間以外の生き物を「女」と表現する事は考えた事もなかったので、さすがだなあと思いました。

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一番気乗のする時(芥川龍之介 小説 独自解釈 1)

一番気乗のする時(芥川龍之介 小説 独自解釈 1)

引用:青空文庫 芥川龍之介「一番気乗のする時」
芥川龍之介 一番気乗のする時 (aozora.gr.jp)

 芥川龍之介先生の書いた小説「一番気乗のする時」について考えてみたいと思います。このお話を書いたのは大正6年ですから、25歳の時でしょうか。

 冒頭で「僕は冬が好きだから、11月・12月が好きだ」と書いています。その理由として、11月末から12月初めの頃、夜遅くに家に帰ってくると、何とも

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或恋愛小説 或は「恋愛は至上なり」(芥川龍之介 小説 独自解釈 1)

或恋愛小説 或は「恋愛は至上なり」(芥川龍之介 小説 独自解釈 1)

引用:芥川龍之介「或恋愛小説――あるいは「恋愛は至上なり」――」
芥川龍之介 或恋愛小説 ――或は「恋愛は至上なり」―― (aozora.gr.jp)

 芥川龍之介先生が書いた「或恋愛小説」について考えてみたいと思います。登場人物は、小説家の堀川保吉(ほりかわやすきち)と婦人雑誌社の編集者。面会室での二人の会話を小説にしています。

 編集者に恋愛小説を書いてほしいと切り出された保吉は、書きたい

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檸檬読書日記 本は増殖し、梅雨を呼び終わる花は、沈みゆく日光の微塵。 6月10日-6月16日

檸檬読書日記 本は増殖し、梅雨を呼び終わる花は、沈みゆく日光の微塵。 6月10日-6月16日

6月10日(月)

欲しい本が多すぎる。

特に最近ちくま文庫が、出る本出る本惹かれるものばかりで困る。

山尾悠子『初夏ものがたり』
宮崎智之『平熱のまま、この世界に熱狂したい』
安田謙一『神戸、書いてどうなるのか』
洲之内徹『洲之内徹ベスト・エッセイ』

5、6月の新刊で気になる本。

でも中央公論社文庫も多いんだよなあ。
坂口安吾『安吾探偵事件簿』とか凄く気になるー。
本屋で確認するか図書館

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神無くして原罪あり  ー芥川と太宰ー

神無くして原罪あり  ー芥川と太宰ー

 福田恆存を読んでいたら、日本近代文学について述べたところで「日本の近代文学は神は不在だったが、原罪はあった」というような文章に出会い、(そうだよなあ)と考え込んでしまった。
 
 私が知っている限りでは太宰治が当にそういう状況を体現していた。太宰がキリストというものへの関心を示し続けたのは、太宰において、そして日本近代文学においては「神はいないが原罪はある」という状況だったからだ。
 
 神はい

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