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檸檬読書日記 本は増殖し、梅雨を呼び終わる花は、沈みゆく日光の微塵。 6月10日-6月16日

6月10日(月)

欲しい本が多すぎる。

特に最近ちくま文庫が、出る本出る本惹かれるものばかりで困る。

山尾悠子『初夏ものがたり』
宮崎智之『平熱のまま、この世界に熱狂したい』
安田謙一『神戸、書いてどうなるのか』
洲之内徹『洲之内徹ベスト・エッセイ』

5、6月の新刊で気になる本。

でも中央公論社文庫も多いんだよなあ。
坂口安吾『安吾探偵事件簿』とか凄く気になるー。
本屋で確認するか図書館で借りて見るかして、良かったら買おうかな。

でも積読本が相当溜まっているんだよなあ。あんまり書いていないけど、結構ちょこちょこ買ってるから本が減らない。読むのが早い方でもないのに買ってしまうから、減るどころか寧ろ増えていく。
1冊読み終わる事に5冊増えている気がする。一生減る気がしませぬ。(買わなきゃいい話)

本読めば 本本本と 増殖す 何故か終(つい)えぬ 本地獄なり

不思議だあ。(買わずに我慢すれば減る話)





6月11日(火)


今年も梅を漬ける。梅干し!楽しみ。
1度凍らせた梅を使用(そうすると皮が柔らかくなる)。1キロに対し、塩と砂糖100ずつ入れ、後入れ赤紫蘇。

隣は酢らっきょ。結構頑張った小粒のやつ。



『&プレミアム』を読む。雑誌。
読書案内の特別号。

読みたい、気になる本が多すぎて困った。
リストが増えてしまったよ。

特に詩集歌集が気になった。

『定本 山口貘詩集』
『明石海人歌集』
『中野重治詩集』
『西脇順三郎詩集』 

まず図書館で借りて、良かったら買おうかな。



『テニスン詩集』を読む。

『ブラウニング詩集』同様、ポーの『大鴉』は、テニスンの『ロックスリー・ホール』を真似て書いたとあって、気になって読んでみた。ただこれもブラウニング同様その詩は載っておらず…。
けれど『クラリベル』で「クラリベル臥す墓の辺に」が繰り返されていたり、『マリアナ』でも「乙女はただ『わたしの人生は侘しいわ。あの人が来ないから』と言った。乙女は(略)」が末尾で繰り返されていたりと、そういう所を真似たり参考にしたりしたのかなあとは思ったり。

テニスンの詩は、神話を絡めたものが殆どで、知識があると面白く劇のような楽しさがあるのだろうなあと感じた。自分は残念ながらあまり知識がなく、よく分からぬなあが殆どだったけど…。残念。

Blueskyで、ブラウニングの名前が『赤毛のアン』で出てきたと聞いたのだけれど、どちらかというとテニスンの方がアンぽいなあと思った。空想が広がりそうな物語感が、夢見る乙女が好きそうな。


ひもすがら夢見るような館の中では、
       扉の蝶つがいはキーキーきしみ、
蒼蠅は窓ガラスでブンブンうなり、わずみは
       崩れかかった羽目板のうしろでチューチュー鳴き、
裂け目からチロチロ顔をのぞかせた。
       昔馴染みの顔がドアを通してぼんやり光り、
       昔馴染みの足取りが二階を歩み、
昔馴染みの声が外から乙女を呼んだ。
              乙女はただ「わたしの人生は侘しいわ。
              あの人が来ないから」と言った。
           乙女は言った、「寂しくて、寂しくてしょうがない。
              もういっそ死んでしまいたい!」

「マリアナ」


この部分は、T.S.エリオットも褒めたところであるらしい。エリオットの詩を最近読んだだけに、ほぉとなった。ほぉ。






6月12日(水)

『アンナチュラル』の映画がやるのかぁ、観たい。と思ったら、アンナチュラル側は脇役らしい。凄い豪華だな。主題歌も米津玄師だし。凄い。

映画も嬉しいけれど、続編とかやらないかなあ。凄く好きだったんだよあ。ドラマの中で五本の指に入るくらい好き。(日本だけで)
シリアスだけどコミカルさもあって、あのバランスが素晴らしい。ミステリーな面も最後までどうなるか分からなくて、ドキドキハラハラ。
基本1話完結だけど、1つの謎、大きな事件(凶悪連続殺人犯)の謎に1話ごとに少しずつ迫っていく感じが、海外ドラマの『メンタリスト』のようで面白い。

あぁ、そういえば『メンタリスト』も好きだったなあ。海外ドラマでは五本の指に入る。
何より主人公・ジェーンのお茶目さが魅力的で、元詐欺師(霊媒師)なだけあって、犯人や周りさえも欺く手口?やり口?がなんとも爽快。人の心を操り捜査し、真実を暴いていく心理術には毎回ワクワクさせられた。

仇敵の連続殺人犯・レッドジョンは、あまりにも強大で恐ろしすぎて、毎回ハラハラドキドキさせら、1度観たら止められなくなる。
正体は最後まで分からず、分かった時はかなり湧いた。そして結末も衝撃。
でも個人的には宿敵を倒した後の方が好きだなあ。ハラハラが解放されて、安心して見ていられるし、ジェーンの魅力が一段と増す。ニコニコしていて可愛いし、一層やりたい放題で見ていて楽しい。

とかなんとか、随分話がズレたけど、映画、どうしようかなあ。思ってた感じとは違いそうだけれど、でも面白いのは変わらなそうだし、行けたら観に行ってみようかな。



米原万里『打ちのめされるようなすごい本』を読む。


斉藤道雄著『希望のがん治療』によると、驚くほど多くの、しかも医師から見放されたような癌患者たちが、三大医療に頼らずに、人間が本来持つ自然治癒力に従って癌を克服していった事例が紹介されているのだが、その圧倒的多数が、玄米菜食を取り入れているのだ。玄米菜食は、斉藤にるよと、「がんを治すというより、がんを治すためのからだを作る方法」である。


玄米は本当に優秀なんだよなあ。(勿論無農薬)体外に老廃物を出す役割があり、尚且つ梅干しと合わせて食べると体内の公害物質を残さず外に出す働きがあるのだとか。

有名なのが、長崎原爆の話。
原爆直後、ある医師が被害者の患者たちに徹底した食生活、玄米と味噌汁を食べさせた(尚且つ、砂糖は禁止)ところ、その患者たちだけは原爆症を発症しなかったのだとか。
玄米は肝臓を強める他にも、自律神経の働きを調整し、内蔵の働きを強めて新陳代謝も盛んになる、本当に優秀食品。

不調な人には是非とも玄米を食べて欲しいよ。プラス梅干し(無添加無農薬)にわかめの味噌汁が最強。
そして玄米は圧力鍋は厳禁で、土鍋が良いそう。じっくりことこと。急激だと良い成分が壊れて台無しになるのだとか。





6月13日(木)


紫陽花。

紫陽花好きとしては、嬉しい季節。
まだ蕾も多くパラパラで、もうちょいという感じだったけど。これが一番綺麗に咲いていた。

そういえば最近、立葵をよく見かける。立葵も好きな花だったり。真っ直ぐ立ってポツポツと花がついている姿は可憐。一つ一つ大きいのに、品があって、儚さもあって、名前のせいか『源氏物語』の葵の上を思い出す。

立葵といえば、梅雨の花。梅雨の始まりに咲き、梅雨を知らせる花であり、梅雨の終わりに花が散る。梅雨の終わりを知らせる花でもあるらしいが、今やそうではないみたい。梅雨も始まってないのに、大分前から咲いている。梅雨の花ではなくなってしまった…。その変化が少し切ない。日本の良さが少しずつ消えていく。風流が…。

しらんぷり 涙ながせど 止まうとも 葵の君は 教えてくれぬ

光は葵に冷たすぎたよ。いなくなった後では遅いのです。



神野紗季『もう泣かない電気毛布は裏切らない』を読み終わる。


夏も終わりに差しかかったころ。洩れくる朝日に目覚めた息子が、こんなことを言った。
「人は変わらないけど、季節は変わるの?」
箴言めいたひとことにドキッとする。


自分もドキッとする。

俳句のエッセイという、あまりないものだったから手に取って読んでみたが、俳句以外の面でも楽しめる作品だった。
子供は本当に鋭い。その上俳人の子供ならではの視点、気づきにがあって、より興味深かった。

俳句はあまり馴染みがなく、深めたいとは思いつつも取っ付き難さを感じていたが、この本を読んで少し近づくことができた気がする。
俳句の楽しみ方、取り込み方がほんのりと分かったような。
それでもまだ自分には難しいけれど…。だからまずは優しそうな現代俳句を読んで、慣らしていこうかな。





6月14日(金)

金胡麻をポットに適当にバッと撒いたら、大量に出て来てしまって、どうしようとなっている。どうしよう…。
その上出るから分からないからと、3ポットも作ってしまったよ…。調子に乗りすぎた。
大量すぎて正確には分からないけど、100本以上はありそう。最早胡麻農家。
胡麻って確かわりと大きくなるんだよなあ。どうしよう…。誰か欲しい人いないかな。



柏葉幸子『ミラクル・ファミリー』を読む。

少しの不思議と少しの動物が絡む短編集。
どの話も、キーワードは父親。
一般的な父親のイメージってこういうのだよなあが詰まってる。少し情けなくて、少し頼りない。でも父親の語る物語は温かく、心が落ち着く。終わりにニマリとするものがあったりと、どの話も楽しめほっこりとする作品だった。



怒涛の三連チャンが終わった。
本を読む気力もなくてあまり読めなかった。優しめの、文字大きめの、空白が多めの本しか読めなかった。(読んでる)



とうとう米も危機的状況になったかあ。
まあそりゃあそうだよなあ。作ってる人達の平均年齢が70歳だもんなあ。どんどん辞めてく上にこの異常気象で収穫量がガクリ。今年も採れないだろうから、あぶあぶ。
今のうちに買っておいた方がいいだろうなあ。備蓄結構あるけどもう少し買っておこう。

米がなくなったら困る。米は日本の宝であり、連作障害がこない優秀品なのに…。最近かぶれすぎて蔑ろにしすぎましたね。これからは米中心にしよ。

備蓄、数えたら100キロはあった。もち米とか含めたらもっとかも。想像以上にあって笑う。
前々から感じてたから買おう買おうと思って買ってったらいつの間にかそんなになってたんだなあ。1年以上は買えなくても生き延びそう。
でも心配だからもう少し買っておこうかな。一応ね。





6月15日(土)


買ってしまった。

ポーの本は、1の『黒猫』でかなりハマったから、全部揃えたくなった。
本当は新潮文庫のやつの方が表紙が好みで、新潮を集めたかったけれど、収録数で角川を選択。でも今となっては、角川で良かったかも。2と3の表紙はロートレックで、来月辺りに展示を見に行きたいと思っていたから。ロートレックの絵、良い。ポーに合っている。

そういえば坂口安吾の本は、来月も出るようで。

『不連続殺人事件 附・安吾探偵とそのライヴァルたち』

これも買ってしまおうかな。
Blueskyで聞いて、読みたいと思っていたんだよなあ。ナイスなタイミング。



ガラスのコップが欲しいなあ。
アイスティーとかがたっぷり入るサイズ。長めのがマーローのカップしかないからなあ。それよりももうちょっと長さが欲しい。
なんか良いのないかなあ。
後ガラスのストローが欲しい。今の時期なら売ってそうだから探してみよ。



エドガー・アラン・ポー『黒猫 ポー傑作選1』を読む。
「ユーラリー」を読み終わる。

詩。
神話を絡めた感じが、これまたテニスン要素を感じさせるような。乙女とロマンチック感がある。


澱みたる魂に流れ来たりて、変わり目に
我得たりや、優美なユーラリーをわが頬染む花嫁に--
黄金の髪の乙女ユーラリーをわが微笑む花嫁に


妻のために書いたものという可能性もあるらしいが、疑問があって、髪の色が違うらしい。
詩の中では「黄金の髪」、金髪。それは金髪好きなブラウニング(勝手な想像)の影響だろうか。(多分違う)



『村山槐多全集』を読む。


まばゆきまばゆき眼もとは
たそがれに紫に染まりて
美しき君は泣く為に泣く
薄薔薇の涙は襟にしづくす

君が前の空には
ほのかに集まる、沈みゆく日光の微塵
薄あかりうるはしく慄へつつ
君が涙の眼にうつる

まばゆきまばゆき君が眼
恋人をいざなふたそがれの霞に
涙に濡れたる派手なる金銀の襟に輝ける
宝玉の角にて顔を切らん子は誰ぞ

美し美し雨に濡れし桜は
散らず描ける雲となりて
薄ら明りの風景の一点にかかる
華美なる君が泣くほとりの。

「泣く紫の眼」


なんて色彩豊かで美しいのだろうか。光と色にあふれている。村山槐多は、詩ではなく絵なんだよなあ。

「ほのかに集まる、沈みゆく日光の微塵」

とか、表現が天才的すぎる。


わぁ、アメリカ米出てるよ…怖い。
安さに目が眩まないでくれー。
それで日本のお米を買わなくなったら、本当に日本の米がなくなっしまうよ…。





6月16日(日)

今日は茄子を植える。
空芯菜の種をパラパラと蒔いて、後はいつも通りの収穫。ただ今回はズッキーニを初収穫。最初は結構ウリ虫にやられて瀕死の状況だったりもしたけれど、なんとか、なんとか…。そんなに好きでも食べる訳でもないけど嬉しい。

初収穫ズッキーニ!でんっ。



石井千湖『文豪たちの友情』を読む。
「芥川龍之介と菊池寛」編を読み終わる。

芥川龍之介は社交的で友達を大切にする人だったらしく、菊池寛だけでなく色んな人との友情が載っていた。
特に興味深かったのは、佐藤春夫と猿又(パンツ)事件。
谷崎潤一郎が滞在している所へ2人が遊びに行った際、海に入ろうとなったが、佐藤春夫は猿又を(何故か)履いておらず、それならばと芥川龍之介は自分の履いている猿又を脱いで(何故か)貸した。
何故…。どちらもどちらで面白すぎる。

室生犀星の芥川龍之介が初対面で親しげに話しかけてくるのを油断ならない男だと思っていた、というのもなかなか。

そして内田百閒。
芥川龍之介の死から7年後に書かれたもの。


芥川は、煙草に火を点ける時、指に挟んだ燐寸(マッチ)を、二、三度振って音をさせる癖があった。
芥川の死後、ふと気づいて見ると、私はいつでも煙草をつける時、燐寸を振っていた。以前にそんな癖はなかったのである。また、芥川の真似をした覚えもない。


しんみり。
内田百閒は、しんみりが良く似合う。上手いなあ。





ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
皆様の食がいつまでも豊かでありますよう、願っております。
ではでは。


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