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エッセイ~日々の戯言、独り言~

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猫の話、酒の話、どうでもいい話。日々思い浮かぶことを綴りました。
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2024年5月の記事一覧

大きな琵琶の木の下で

大きな琵琶の木の下で

梅雨入りしそうでしない、アンニュイな気候が続くこの季節。スーパーのフルーツコーナーで毎度驚くことがある。

「ビワって、こんなに高かったっけ?」

去年の夏、小学校時代の友人たちと、鴨川シー・ワールドへ行った。千葉はビワが名産だそうで、お土産屋さんを周りながら、やはり、この話題になった。
子供の頃は、おやつに2つ、3つ、普通に食べていた。
でも現在、スーパーで見るとだいたい1個100円前後する。

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いつか、4杯目の乾杯を

いつか、4杯目の乾杯を

「お酒は3杯までって、決めているの」
なっちゃんは、決してそれ以上は飲まなかった。
飲み足りない私はいつだって、もう一杯くらいいいじゃないのと誘うのだけれど、なっちゃんが4杯目のお酒を注文することはなかった。

なっちゃんは、大学時代、よくつるんでいた友人の一人。
名前に「夏」の文字が入る。
梅雨が明け、前期試験が終わってほっとする頃になると、彼女はいつもこう言っていた。

「いよいよ夏が来るよ。

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ランチタイム・メモリー

ランチタイム・メモリー

昔、派遣社員として日本橋の証券会社に通っていたことがある。
世はバブルの真っ只中。周りはエリート証券マン。
当然のように、ランチタイムは毎日、外食だった。オフィス内でお弁当を食べる、という習慣がなかったのだ。
昼時になれば外に出て、1000円前後のランチを食べ、ついでにお茶してオフィスに戻るのが常だった。
もう30年も前のことだから、今はどうかわからないけれど、日本橋はランチ処が選び放題だった。

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母のいない母の日に想うこと

母のいない母の日に想うこと

母の日ですね。
カーネーションの花束を買って、仏前に供えました。
普段より3割くらい高いかなー、足元見てるなー、と悪態はつかないでおこう。

遥か昔のこと。
あれは母の日ではなく、誕生日だったかな。
お小遣いを握りしめて、私は近所のお花屋さんに走り、店頭に並んでいた花束の中から、ひとつを選んだ。持っていたお金で買えるものが、それしかなかったのだ。

差し出した花束を見て、母は驚いた。
「これ、仏様

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トラブル・ピーチ、トイレ・トラブル

トラブル・ピーチ、トイレ・トラブル

常習的にお酒を飲むようになったのはいつの頃からだろう。惰性と怠慢の極みであるバブル直前の文系大学生だった時、恋してはフラれ、やけになって覚えた深酒。
今思えば本当にアホらしい。
あんな奴の一体どこが良かったんだって、思う日がきっとくるよと、当時の自分に教えてあげたい。

恋が終わっても、晩酌習慣からは抜け出すことができぬまま、私も社会人となった。
電車通勤で困ったのがトイレ問題。呑兵衛さんは身に覚

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初めての菖蒲湯

初めての菖蒲湯

昨日、菖蒲湯に入ったことがないという話を書いたら、なんと、今日、代々木上原の商店街で菖蒲の葉を配っていた!

この世に生を受けて半世紀、初めての菖蒲湯に入ります!
これできっと長生きできるわー!

さて、明日でGWもおしまい。
遠出はせずに近くの公園を散歩したり、イベント会場を巡ったりと、安上がりな休日だった。

今日は代々木公園へ。
家族連れにカップルに友人同士、シートの上でピクニック。

円安

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憧れの菖蒲湯

憧れの菖蒲湯

でかいニラだな。
と思ったら、菖蒲の葉だった。
あ、そうか、子供の日が近いんだな。
私にとって、菖蒲湯は憧れだった。
菖蒲湯だけではない。
子供の頃、入浴剤を入れた色付きのお風呂が、羨ましくて羨ましくてたまらなかった。

伊豆で宿を経営していた私の実家の風呂は、当然のことながら温泉だった。1年365日24時間、絶えることなく温泉が涌き出ていた。予約があろうがなかろうが、群発地震のおかげで閑古鳥が鳴

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