記事一覧
【超掌編小説】あの頃の、君はもういない。
どこか寂しそうに笑う君が好きだった。だから、何かと理由をつけて、近づいた。
徐々に寂しそうな君を見れる機会は減り、ついにこの日を迎えてしまった。
「それでは、誓いのキスを」
神父の声でヴェールを上げる。
ひとっつも寂しくなさそうな、その顔を見つめる。
あの頃よりも、もっと素敵な君の笑顔を。
【超掌編小説】まちがいさがし
友人に二つの画像を見せる。
「どこが間違ってると思う?」
「うう~ん」
「くっくっく。難しいだろ?」
「……これのどこが間違いなんだよ」
「……ん?」
「みんなちがってみんないい。それでいいじゃないか!」
「いや、確かにそれは一理あるけど……」
これ、まちがいさがしって遊びなんだよなあ。
【140字小説】腐っても人
念願のフォロワー10万人を達成。
しかし、インプレ稼ぎでコメントをするやつらが増えた。
煩わしいことこの上ないので、試しに反応しなさそうな迷子犬に関しての呟きを投稿。
すると普段はコピペばかりのインプレゾンビどもがひたすら拡散。
結果として迷子犬は飼い主と再会。
どうやら腐っても人らしい。
140字小説【俺の嫁】
「最近冷たくない?」
「べつに」
「もしかして浮気?」
「そんなわけないだろ!」
「スマホいじってばっかじゃん」
「実はな……これを見てくれ」
彼が見せてきたスマホには、可愛い女性キャラが。
「何この子」
「最近ハマってるゲームの育成アイドル。めっちゃ可愛いだろ?」
「浮気じゃねーか!」
【エッセイ】コンビニに救われる
寄ろうだなんて、正常な頭では考えるはずもないのに。
帰り道、道路わきのコンビニに、惹かれる。
陽の落ちたうす暗闇にたたずむ光る箱。
飛んで陽にいる虫みたいにして、車たちが駐車場に吸い込まれていく。
仕事中、必死で浮かべていたうすっぺらな笑顔が、自動ドアに迎え入れられると同時に剥がれかける。
買うものは決まっている。
それなのに他にも買いたいものを探してしまっている。
ここには選ぶ自
【いちばんかっこいい必殺技】
「いちばんかっこいい必殺技考えようぜ!」
「最強パンチ」
「クレイジーキック」
「う~ん、メガちんはどう?」
突然話をふられ、戸惑いつつもメガネの少年が言う。
「……エ、エンシェントヘルブレイズ」
「「「うおー、かっけえ!!!」」」
彼らの友情が、エターナルに続くことを祈ってやまない。