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クリエイター・リンク集「バスを待つ間に触れられるものを探しています」
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#創作

【創作詩】きじさん、どこゆくの

【創作詩】きじさん、どこゆくの

びゅーーーー

ひゅーーーー

かぜが なる なる

イチ ニの サンで、

はねを ひろげて

かぜに のる のる

きじさん きょうも おでかけ

どこゆくの

『遠足のしおり』

『遠足のしおり』

「9:00am 上野 寛永寺を見学」

幼い手書きの文字で、そう書かれた四折りの紙を片手に、池袋から外回りの山手線に飛び乗る。

いかにも子供の“お手製”といわんばかりの、この『遠足のしおり』は、小学生のわたしが病院のベッドの上で、妄想と憧れに委せて書き溜めていたもののうちの1枚だった。

1週間前。

「君のことはキライじゃないけど・・・」

10年来の彼から、まさかの“恋の戦力外通告”を受けた

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カーテン

カーテン

ふと、雨が止んだ。
気が付いたらいつの間にか雨が止んでいた、というのとは違った。雨の終わりを告げるまさにその瞬間、いま、ここで止みました、という瞬間が私にははっきりとわかったのだ。
なんて不思議な感覚なんだ、私は興奮して、読んでいた文庫本を捲るページを止めた。クライマックスであと数ページという所だったが、何の迷いもなく本をぱたりと閉じ、スカートの裾についたビスケットのかすを払い落とすと、文庫本をさ

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ロマンスの現実逃避26

ロマンスの現実逃避26

わたしには
たった一つだけ
自信を持てることがあります

もしもあなたを
世界中が敵に回しても
あなたの味方でい続けることが
できるという自信なのです
あなたを愛しつづけることができる
と誓えることです

その自信はいったい
どこから来るのでしょう?

それは紛れもない
「愛」という名の得体の知れない
大きな大きな海のようなところから
やってくるのです

この愛についてかんがえる時
「わたし」とい

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ロマンスの現実逃避24

ロマンスの現実逃避24

はじめて幸せが怖いとおもった

半月の夜

2人の間では満月のように
満ちていて
欠けたところは何もなかった

ううん
欠けていたり穴が開いていたり
不完全だったのかもしれないけど
見えなかっただけで
全部がおだやかな光で包まれていた

何を話していても
ことばを通り越して
心の奥の奥の奥に
溶けて溢れていった
それでも
決して過激ではなくて
音もなければにおいも
形さえもなくて
穏やかさだけが

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日々時々詩

日々時々詩

まとまった雨が降るには

時を待たねばならない

ただ時を待つことは

時を長くする

時には詩が必要だ

ぱらぱらと

みじかい詩がほしい
#詩 #創作 #待つ #パラパラ

恋文が届きました

恋文が届きました

恋文が届いた。
夜明けの5時に。

郵便受けの底が カタンとなって
私の浅い眠りをさました。

毛布をかぶり
はだしのつま先を こすりあわせて
私は
玄関のやわらかい光の中に立つ。

腰をまげ
投げ入れられた封筒を
指先だけを使って拾うために。

それは
独り言のように四角い。
宛先がない。

端を用心深くちぎる。

それから
かさかさ、と音を立てて
白くたたまれた
優しい言葉をひらいていく。

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