記事一覧
映画『福田村事件』――ホラーで愛国でリテラシーな超問題作
ちょうど100年前の明日(1923.9.6)、現在の千葉県野田市で発生した虐殺事件をベースにした、異色の劇映画『福田村事件』(森達也監督)。“特別支援者”6人の一角に敢えて顕名で連なった者の責任として、全国公開を機にコメントを記しておきたい。
観終えても続くホラー
とにかく、これは今まで僕が観た中で最恐のホラー映画だ。他のホラーは、ゾンビだったり特異な殺人鬼だったりと恐怖の対象が《他者》なのに
安倍事件1ヵ月…進む《3つの神格化》
安倍元首相銃撃事件から、今日で1ヵ月。蛮行への憤りは収まらないが、私たちは今、[統一教会・山上容疑者・安倍政治]の《3つの神格化》が静かに同時進行している可能性に敏感でなければならない。
【1】統一教会の神格化
この1ヵ月の大々的な統一教会報道の中で、先月下旬、私が開講しているメディアリテラシー系の授業の感想欄にある学生がこんな質問を書いてきた。
どんなに批判的なトーンの報道であっても、“
「批判的思考」なんて勇ましいコト、私は言わない
“?” とか “!” とか、“☆” とかアンダーラインとか。私はいつも、色々と衝動的に書き込みながら本を読む。でも、↑こんな風に表紙の言葉にマルを付けたのは、たぶん初めてだ。最近出た、ちょっと耳新しいサブタイトルの本「吟味思考を育む」ーーー“吟味思考”って、何だ?
同書の編著者の山脇岳志さんが、その問いに答える論考を昨日「朝日新聞GLOBE」に載せた。メッチャ共感なので、後で全文お読み頂きた
「Fukushima50」とNHK「最悪のシナリオ」
10年前の3月11日、私は民間任用(2年満期)の内閣審議官として、メディアが立ち入れぬ首相官邸の最奥部で、事態の渦中に居合わせていた。
そんな人間の1人として、テレビ各局の「3・11」10年関連特番を見ていて、特に心揺さぶられた番組が2つあった。
1つは、日テレの金曜ロードSHOW!「Fukushima50」(去年の劇場公開とは違った意味で) 。 もう1つが、NHKのETV特集「原発事故 ”最
生徒達との対話/メディアリテラシーFAQ①
光村図書と私がコラボした「コロナの不確実情報に振り回されないための動画」教材が、先月から各地の学校現場で授業の中に採り入れられている。教科書会社が、授業中の単元(小学5年国語「想像力のスイッチを入れよう」)を現実の時事問題に適用した教材を緊急配信するというのはかなり異例のことで、お陰様で感度良好な先生方から歓迎していただけた。
私がこうして全国の小・中・高・大学を訪問して(or最近ではリモートで
追悼 大林宣彦さんーー訃報が触れていない、もう1つのライフワーク
大林宣彦監督が亡くなった。昨日一斉にそれを報じたメディアの追悼記事には、数々の映画作品の功績や、平和を強く希求した人物像が揃って描かれていた。
だがーーー私が直に拝見してきた大林さんには、それらの記事にほとんど言及されていない《もう一つの思い入れ》が、確かにあった。
童話を作る子ども達に、余命宣告後に語ったこと実は大林さんは、自分が映像の作り手のプロであるというだけでなく、アマチュアの人たちの
デマに負けないーー“コロナ後”に向けて、ヨルダンの ある情報教育プラン
コロナ禍で、世界中のNGOなどの市民活動も今、活動停止などの窮地に直面している。各地で子ども達の教育支援を実践している国際NGO「国境なき子どもたち」も、その1つ。
例えばヨルダンでは、松永晴子派遣員が頑張ってきた。彼女の活動拠点の1つは、シリアの内戦から脱出して来た人々が数万人も暮らす、ザアタリ難民キャンプ[写真上/8bit Newsより]。東京ドームの112倍という広大な“仮の町”にある仮設
今すぐ! コロナ報道が取るべき“戦時態勢”
コロナ禍が、いよいよ深刻な段階にさしかかってきた。メディアも、いよいよ平時とは発想を切り替えた《戦時下の報道》のあり方を考えるべき時だ。
戦時の報道と言うと、大本営発表の情報統制がすぐ連想されるが、今回そこに陥っていかないためにも、各報道機関の先手を打った《自律》が強く求められる。
[1] まずは買い占め現象の報じ方、大至急抑制を!直近の課題は、買い占め現象の報じ方。昨夜の都知事緊急会見以降、
地下鉄サリン事件ーー25年目の全駅献花巡り
今日(3/20)、東京都心の6ヶ所の地下鉄駅構内に、こんな献花台がひっそりと設置された。ちょうど25年前の今朝8時頃、丸ノ内線・日比谷線・千代田線を大混乱に陥れた、世界史上初の都市型化学兵器テロ事件。その犠牲者が出た現場だ。
毎年この日は、テロのメイン・ターゲットだった霞ヶ関駅にメディアが集中するが、実はその6駅全てを巡って静かに献花している事件被害者(とその支援者)の一団がいる。ガイド役を
緊急事態に臨んで――― 3・11当時の官邸から、今の官邸に伝えたい事
2011年の今日3/11―――突然大震災と共に襲ってきた、福島原発事故。危機は短時間でピーク状態に駆け上がり、首相官邸は、目に見えない放射性物質の拡散と格闘。事故現場の状況を判断するデータが得られぬ中、正解も出口も見えないままに時々刻々の判断を迫られていった。
そして、2020年―――今度はじわじわと襲って来た、新型コロナウィルス。危機は次第に増大してゆく形で始まり、首相官邸は、目に見えないウィ