見出し画像

ファシリテーションとは「壁」をつくること。

――無事に短い時間のなかで、僕を含めて3人のメンバーと共に絵本『桃太郎』の物語をつくりあげることができました。ちゃんと成果を上げることができたので、ひとまず「成功」といって差し支えないと思うのですが、それが実現できた要因には、「壁をつくったから」があると考えました。


人生は物語。
どうも横山黎です。

大学生作家として本を書いたり、本を届けたり、本を届けるためにイベントを開催したりしています。

今回は「ファシリテーションとは『壁』をつくること。」というテーマで話していこうと思います。


📚桃太郎合宿が成功した理由

昨日まで、僕は「桃太郎合宿」をしていました。みんなであれこれ議論しながら、絵本『桃太郎』の物語をつくりにいっていたんです。

僕は今の時代に求められている物語の絵本『桃太郎』をつくろうとしています。鬼を退治する勧善懲悪の物語ではなく、鬼と友達になる共生の物語こそ、これからの子どもたちに進めるべきなのではないか、そんな考えから思い至りました。

「共生」をテーマに掲げるくらいですから、僕自身、それを実現しにいかないと仕方がありません。そこで、絵本『桃太郎』の物語をみんなでつくっていくことにしました。

僕はこれまでに何度か共同創作の企画を進めてきたんですが、そのどれもがオンラインで遂行したものだったので、今回の企画では対面でやっていきたいと思い、桃太郎合宿を執り行うことにしたのです。

詳しくは以下の記事をごらんになってほしいんですが、とにかく実りのある二泊三日でして、「桃太郎」の物語をアップデートさせる意義を確かめられたし、みんなでつくる楽しさを感じられたし、合宿のなかで創作に打ち込む心地良さを知ることもできました。

無事に短い時間のなかで、僕を含めて3人のメンバーと共に絵本『桃太郎』の物語をつくりあげることができました。ちゃんと成果を上げることができたので、ひとまず「成功」といって差し支えないと思うのですが、それが実現できた要因には、「壁をつくったから」があると考えました。


📚「壁」をつくる

今回の桃太郎合宿では、次のような手順で共同創作を進めていきました。

①    「共生」というテーマを確認
②    とりあえずアイデアを出す
③    僕が「起」「承」「結」を決める
④    それぞれ「結」を考える
⑤    僕が大筋を決める
⑥    それぞれ物語をつくる
⑦    議論する
⑧    僕が物語を書く

上記の手順のうち、イメージしやすい「みんなでつくる」を行っているのは、②と④と⑥と⑦ですね。それ以外は企画運営者である僕だけがやることです。

「ひとりで決めるのは違くない?」「みんなでつくる意味がなくない?」という声が聞こえてきそうですが、①や➂や⑤がないと、それぞれの次のステップが生まれなかったわけだし、⑧がないと、「2泊3日で3人のメンバーで絵本『桃太郎』をつくる」という目的を果たすことはできませんでした。

時間の制限もあるし、メンバーそれぞれの好みや価値観があるからこそ、条件を定めたり、選択肢を減らす作業が必要なんですよね。

みんなで議論して終わったとしてもそれはそれで楽しかったねと振り返れるかもしれません。ただ、これは仮にも合宿だし、分かりやすく成果を上げる方がやりきった感が生まれる。描いた未来をみんなで迎えにいくためにも、目的を見誤らず、選んだ道を正解にしていく判断をする必要があるのです。


📚「みんなが作者」ではない

「みんなでつくる」って大切なことだし、今後も僕は追求していきたいのですが、簡単なことではないんですよね。ひとつ間違えば、惰性で議論が続いて、いつまでたっても目的地に辿り着かない事態を招くことになります。今回の桃太郎合宿では3人であれこれ議論しながら物語をつくっていったんですが、それぞれこだわりや個性があるので、全員の要望に耳を傾けていたら永遠につくり続けることになってしまうのです。

共同創作の企画を行う度に痛感するのですが、「みんなでつくる」を「みんな作者」と捉えない方がいいんですよね。作者は作者として作品を仕上げる責任を果たすべきで、たとえメンバーが右へいきたいといっても、作者の出した答えが左ならば、罪悪感を押し殺して、左に伸びる道へ踏み出さないといけません。そして、それを正解にしないといけません。

今回の桃太郎合宿では、二泊三日で3人でひとつの物語をつくることを目的として遂行していったので、議論があちらこちらへ揺れて話が推進しないことが「課題」でした。それを解決するためには、「壁」をつくり、進む道を制限することが必要でした。実際に、「このペースだと終わる気がしないからこうする!」と僕が道を狭めていくことで方向性が定まってきて、その果てに「成功」が待っていたのです。

……と、ここまで偉そうに語っていますが、合宿中はてんやわんやで、今回宿泊場として自宅を提供してくれたメンバー大谷さんの提案が的確で、おかげさまで成功に漕ぎつけたという感じです。本当にいろいろとお世話になったものです。

今後も定期的に桃太郎合宿はいろんな人といろんな場所で開催していこうと思うので、そのときは今回の気付きを踏まえて、より意識的に「壁」をつくり進行していくつもりです。

また、今回の気付きは、仕事やプライベートで場を回したり、みんなで問題を解決したりするとき、総じてファシリテーションが求められる場合にも通じる話だなと思いました。最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

20240321 横山黎



この記事が参加している募集

ふるさとを語ろう

仕事のコツ

with 日本経済新聞

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?