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「BOOK HOTEL 神保町」に泊まってきた。

――階を巡って本探しの旅に出かけ、気になった本を手に、部屋に戻って読書をする。高級なベッドの上で身体を休めながら、読書灯だけをたよりにしてページをめくっていく。この一連の流れにこそ体験価値が詰まっていると僕は思うのです。


人生は物語。
どうも横山黎です。

作家、木の家ゲストハウスマネージャー、FMぱるるんのラジオ番組「Dream Dream Dream」のパーソナリティーとして活動しています。

今回は「本のあるゲストハウスを考える」というテーマで話していこうと思います。



🏨「BOOK HOTEL 神保町」に宿泊!

一昨日、僕は東京神保町にある「BOOK HOTEL 神保町」に泊まってきました。その名の通り、本のあるホテルです。「わたしの本」を見つけることをコンセプトにした宿泊施設なんです。

本好きだし、4月からゲストハウスで仕事を始めたし、いつか本のあるゲストハウスをつくるつもりだし、いろんな理由からずっと行きたいと思っていた場所でした。やっと泊まることができたんです。

外観

BOOK HOTEL 神保町は12階のビルのなかにあります。各階に本棚があるんですが、階ごとに置かれている本のジャンルが違うんです。泣ける本が並ぶ階、エッセイが並ぶ階、ミステリー小説が並ぶ階……といった具合です。

部屋に全部で3冊まで持ち込めるので、階を巡りながら気になった本を手にして自分の部屋に戻り読書にふけるという優雅な夜の時間を過ごすことができるのです。

この日、僕が読んだのは、日向理恵子さんの児童文学『雨ふる本屋』、タクマクニヒロさんの写真集『ブルーノート』、水野敬也さんと鉄拳さんのコラボ作『あなたの物語―人生でするべきたった一つのこと―』、谷川俊太郎さんの名作詩を絵本化した『二十億年の孤独』です。

どれもさくっと読める本ではありますが、何冊も本を読もうと思えたのは、居心地の良い憩いの場所で、高級な寝具に包まりながら読書ができる環境が整っていたからなんじゃないかなと振り返っています。

レセプションの隣の本棚


🏨「読書」を特別な体験に

読書って、いってしまえばどこでもできるじゃないですか。本さえ持っていれば、家のリビングでも、電車のなかでも、公園のベンチでも、どこでも読めるんです。ただ、そこに体験としての価値が発生しているかといわればそんなことはなくて、日常を少しだけ豊かなものにしてくれる行為です。

しかし、僕がBOOK HOTEL 神保町で経験したのは、それらとは一線を画したくなる「読書」だったんです。本を読むことに変わりはないんだけれど、体験価値がまるで違いました。それは、さっきも触れましたが、環境のせいだと考えます。

天井まで続く本棚の横のレセプションでチェックインする。ルームキーをもらって自分の部屋を訪れる。部屋に入るとその部屋ならではの本たちが出迎えてくれる。階を巡って本探しの旅に出かけ、気になった本を手に、部屋に戻って読書をする。高級なベッドの上で身体を休めながら、読書灯だけをたよりにしてページをめくっていく。

この一連の流れにこそ体験価値が詰まっていると僕は思うのです。隙間時間にさくっと読書をするのではなく、本を楽しむことを目的に読書と向き合う。自ずとそんな姿勢になるからこそ、BOOK HOTEL 神保町でのひとときは満足度の高いものだったのです。

読書灯で本を読む夜


🏨本のあるゲストハウスを考える

冒頭にも触れたように、いつか本のあるゲストハウスをつくりたいと考えています。

作家として活動していたり、ビブリオバトルで全国大会に出場してきたり、「FAVORITE!!―お気に入りの本を紹介する会―」というイベントを運営して本の場づくりを追求したりしてきました。また、木の家ゲストハウスのマネージャーとしての仕事を始め、宿泊業や場所を持つことの面白さを身をもって知ることができています。

そんな僕が、本のあるゲストハウスをつくりたいと考えるようになるのは突拍子もないことではありませんよね。むしろ自然な思考の流れといえます。これからも本の場所や宿泊施設を巡って、自分の目で見て、頭で考えて、心で感じて、自分なりのイメージを形作っていくつもりです。

第6回「FAVORITE!!」

今回の「BOOK HOTEL 神保町」の話でいえば、部屋にその部屋ならではの本が並んでいることは良いなと思いました。自分の泊まる部屋に愛着が湧くし、他の部屋はどんな本が並んでいるんだろうと想像が膨らみ、次泊まるときは別の部屋がいいな、と自ずとリピーターになってしまう流れも生まれる。

また、階を行き来することができるのも良いなと思ったし、1階のエントランスに大きな本棚があるのも目を惹いていいなと思いました。

本が1冊サービスされるプランも良いなと思った。

ホテルではなく、ゲストハウスだからこそ追求できる可能性もあります。たとえば、ゲストハウスは共用スペースがあるから、そこで他の宿泊者とのコミュニケーションが生まれやすい。もちろんホテルにもロビーやバーがあるから、交流のきっかけが全くないわけじゃないけれど、ここに関してはゲストハウスが勝っていると考えます。本をきっかけに、一期一会の出逢いを果たせるのは、本のあるゲストハウスならではの体験かなと思います。

したがって、これからも本×ゲストハウスの視点で、本の場所、宿泊施設を巡っていきますね。おすすめの本屋さんやゲストハウスがあればコメント欄で教えてください。機会をみつけて、行きます! 最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

20240724 横山黎



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