マガジンのカバー画像

痔除伝

15
とある肛門疾患の発症から完治まで、10年近くの戦いのまとめ。面白おかしく描きました。ぜひお付き合いください!
運営しているクリエイター

#手術

痔除伝 第十一章 後編 Have you ever smelled the Baked asshole?

痔除伝 第十一章 後編 Have you ever smelled the Baked asshole?

オペ室は、思ったよりも狭かった。大体12畳くらい。もっと広いイメージだったが、手術の内容、難易度などによって広さが変わるのかもしれない。

執刀医やオペナースは、オペ中に赤いもの(血液や内臓など)ばかり見ることになるため、部屋の内部が寒色系の内装になっていると聞いたことがある。赤いものばかりを見続けた後に白いものを見ると、反対色である青や緑などのシミが見えるようになるらしい。

確かに、オペ室の壁

もっとみる
痔除伝 第十一章 前編 Have you ever smelled the Baked asshole?

痔除伝 第十一章 前編 Have you ever smelled the Baked asshole?

夜中、最後にスマホの時間を見たのが3:30頃だった。看護師さんに起こされ、検温したのが6:20頃。優しい笑顔で、眠れましたか?と聞かれ、世の中のすべてに裏切られたような、アウトローな男の表情で「いや……」と答える。

看護師さんは、理解を示すような苦笑いを浮かべ、

「急に環境変わると、そうですよねぇ。不安もあるだろうし……」

と、同意してくれたが、心の中で、「そういうことじゃねぇんだよ!」と叫

もっとみる
痔除伝 第九章 怒りの金曜日

痔除伝 第九章 怒りの金曜日

入院の1週間前から、実際にテレワークへの移行が始まり、自宅に職場のPCを設置する。

緊急事態宣言により、通勤電車に乗らなくて良い、人と会わなくて良い、ということも公に推奨された。

人前に出なくて良いということは、その気になれば、着替えなくてもいいどころか、髪をセットする必要もない。

仕事中に暑いと思ったら、こっそり放り出したままのおキャンタマちゃんに、氷嚢を当てることだってできる。

私は塩

もっとみる
痔除伝 第七章 modulation

痔除伝 第七章 modulation

「要するに、前回みたいに排膿してしまえば、一時的に楽にはなるけど、繰り返す。根本的に解決するなら、ここでは出来ないけど、大きい病院で手術ですね」

正直、そうだろうなぁとは思っていた。地獄司教(北の医者)もそんなことを言っていたし、ネットで調べてもそんなようなことが書いてあった。パワーはあえて名称を口にしなかったが、どうやら痔瘻というやつになってしまったようだ。

……なんだよ、痔瘻って。知らねー

もっとみる
痔除伝 第四章 あの日出た粘液の名前をボクはまだ知らない

痔除伝 第四章 あの日出た粘液の名前をボクはまだ知らない

その後も、発作のように、苦しみが続いた。数ヶ月おきに辛い痛みと重みがやってくるも、1週間も経たずに消える。病院へは、行かない。

発作的に起こるつらさは、回を重ねる毎に強くなっていく。しかし、どうせ病院に行っても意味が無いと思うと、行く気になれなかった。見せ損、掘られ損である。

「見られても減るもんじゃない」という言葉があるが、目には見えない何かが、間違いなく減っているという手応えがある。

もっとみる