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これからの、小売の話をしよう。

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ショップは、ただモノを"売る"だけの場所ではなくて。そしてお客様は"買ってくれる"だけの相手でもなくて。明日がくるのが楽しみになるような、そんなショップがそこら中にある世界につい…
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#店舗

店舗というメディアにしかできないこと

店舗というメディアにしかできないこと

店舗はメディアになる。
これは「小売再生」の中でダグ・スティーブンスも語っていたことだ。

私も百貨店で働いていたとき、ずっと「これから百貨店のライバルは雑誌になる」と考えていた。

「売る」という機能も「新しいものを紹介する」という機能も店舗の専売特許ではなくなった今、店舗に求められる役割は何なのか。

この数年、そのことをずっと考えてきた。

先週月刊koeの創刊イベントとして月刊koe編集長

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いい体験には「横の感動」がある

いい体験には「横の感動」がある

『店舗は体験の場になる』といたるところで言われているが、具体的にどんな体験に私たちは感動し、ブランドのファンになっていくのだろうか。

インスタ映えする綺麗な空間を作ること?
新しいテクノロジーを活用すること?
商品を実際に試せること?

私たちがブランド視点で『体験』を考えるときはこうした手段を思い浮かべがちだが、実際に自分が感動した体験を思い返してみると、そこに共通しているのは『横の感動』なの

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「日本的なる」戦い方

「日本的なる」戦い方

日々海外ニュースを追っている中で感じるのが、『米中と正面から戦っても仕方ないよな』ということです。

アメリカならGAFA、中国ならアリババとテンセント。

彼らの動きはとてもスピーディーで、無人店舗やニューリテール、キャッシュレスなどちょっと目を離しただけで新しい技術や店舗が次々と生まれ、そのダイナミックなスピード感に、記事を読むたび驚かされます。

さらにそうしたプラットフォームを活用した新し

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【vol.6】アパレルとK-POPアイドルの関係性

【vol.6】アパレルとK-POPアイドルの関係性

韓国視察レポート第六弾は、韓国ならではの『アイドルがアパレルに及ぼす影響』について解説します。

これまでの記事は下記からどうぞ。

【vol.1】韓国でスタンダードになりつつある "売らない店舗"たち
【vol.2】韓国が常に "旬"な理由
【vol.3】美容大国・韓国ならではのインフルエンサー×コスメ事情
【vol.4】レコードショップを運営する意外な企業の秘密
【Vol.5】韓国の書店トレン

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『店舗』というメディアの意義は、異世界へのなめらかな移動にある

『店舗』というメディアの意義は、異世界へのなめらかな移動にある

『店舗はメディアである』と言い続けて早7年以上が経ちますが、『メディア』の中でも私が好きなのは店舗や雑誌、本といったフィジカルなメディア。

こうした身体的接触性の高いメディアがWebメディアやアプリなどのデジタルメディアと大きく異なるところは、あとから削除や修正がしづらい『不可逆性』にあるのではないか、ということに最近気づきました。

IT出身の人とメーカーや小売などリアルなものを扱ってきた人と

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【vol.1】韓国でスタンダードになりつつある "売らない店舗"たち

【vol.1】韓国でスタンダードになりつつある "売らない店舗"たち

韓国視察レポート第一弾は、今回一番感銘を受けた韓国の実店舗事情をご紹介。

実店舗は世界的に見てもAmazonとアリババが殴り合いを繰り広げ、『ニューリテール』を合言葉に2社の取り組みに続けとばかりに各社しのぎを削っている分野でもあります。

アリババのスーパー・フーマーの例を見ていても、やはり中国がもっとも進んでいると思っていたのですが、韓国は別の意味で世界最先端をいっている!と今回の視察を通し

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【Vol.0】韓国視察レポート「今、私たちが学ぶべき韓国のリアル」マガジン連載はじめます!

【Vol.0】韓国視察レポート「今、私たちが学ぶべき韓国のリアル」マガジン連載はじめます!

Twitterでもギャーギャーお伝えしていましたが、9/1〜2で韓国の注目ショップを巡る旅をしてきました!

今回の視察旅行では、 #店舗メディア コミュニティのSlack上に #korea_report というチャンネルを作ってリアルタイムに行った場所や気づき、聞いた話などをガンガンアップしていたところ、それが大反響!

もともとコミュニティ内で軽くシェアできればいいかなという程度のテンションで

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今、求められている『ストーリー』とは何か

今、求められている『ストーリー』とは何か

大学進学で上京して以来10年以上テレビを持っていない私ですが、この1、2年はなんだかんだでドラマを中心にテレビを見る機会が増えました。

スマホで視聴できる環境が整い、NetFlixをはじめ有料課金コンテンツが当たり前になったことで、これまでテレビを持っていなかった層が逆にお金を払ってでもテレビ番組を観たいと思うようになってきているという流れは面白いなと我ながら思っています。

特に最近は『半分、

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IKEAはなぜ体験型店舗の成功を維持できなかったか?

IKEAはなぜ体験型店舗の成功を維持できなかったか?

先日『IKEAはなぜ勢いがなくなったのだと思いますか?』という質問を受け、思わず考え込んでしまいました。

モノよりコト、まずは世界観で魅了するといったことはいろんなところで語られていますが、IKEAは何年も前からそれを取り入れているんですよね。

5年ほど前までは飛ぶ鳥落とす勢いで、SNSマーケティングの成功事例としてもよく語られていたIKEAですが、最近は海外ニュースを見ていても暗い話題ばかり

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店舗設計は「VMD」から「空間UX」へ

店舗設計は「VMD」から「空間UX」へ

「店舗メディアの作り方」というコミュニティマガジンをはじめてから、以前にも増して店舗というメディア、そして店舗空間での体験について考える機会が大幅に増えました。

私は常に実店舗をWebメディアや雑誌に例えて話す癖があって、例えば

『百貨店のビジネスモデルってWebメディアでいうとアフィリエイト収入しかない状態ですよね』

といった話をしたりしています。

Webメディアや雑誌にひとつの記事を読

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ものを通してつながり、売ることで世界を広げるということ

ものを通してつながり、売ることで世界を広げるということ

「店舗メディアの作り方」マガジンのSlackで、昨日のnoteにも書いたわざわざの平田さんのことを書いていたら、ALL YOURSの木村さんから「ちょうど明日うちのお店にいらっしゃいますよ」とコメントが!

え〜!そんな偶然ある!?これはもはや運命なのでは!?ということで、お言葉に甘えてのこのこ池尻大橋にあるALL YOURSの店舗まで行ってきました。

ALL YOURSさんは、前に有料マガジン

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これからの小売を考える上での必読書に出会った話。

これからの小売を考える上での必読書に出会った話。

意気揚々と「店舗メディアの作り方」という月額マガジンをはじめたのですが、うっかりさんなので単品マガジンで作ってしまい、落ち込んだりもしたけれど私は元気です。(すでに購入してくださった方には別途ご案内のご連絡します!)

まあミスしてしまったのは仕方ないので、気を取り直してマガジンはじめたらすぐに書こう!と思っていたことを書きます!

それは数日前のこと。

NewsPicks編集部のまわりをうろう

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「気持ちよくお金を払えるポイント」をどれだけ作れるか

「気持ちよくお金を払えるポイント」をどれだけ作れるか

小売業、その中でも特に実店舗が好きな私にとって、「店舗経営」は常に興味の尽きないテーマです。

とはいえ自分の資本で店舗を経営した経験はないので、無責任にあれやこれや言っているだけではあるのですが、最近の私は「キャッシュポイントをどれだけ多く作るか」についてよく考えています。

キャッシュポイントが多いということは、その場を楽しむための方法に多様性があるということだと思うからです。

例えば、小売

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「レコメンド」がすべて機械に置き換わったりしない理由

「レコメンド」がすべて機械に置き換わったりしない理由

「リッチマン・プアウーマン」というドラマをご存知でしょうか?

スタートアップ界隈にいる30代であれば知らない人はいないのではないかと思うくらい、月9の恋愛ドラマであるにも関わらず男性人気の高い作品でした。

億万長者のベンチャー社長・日向徹の言動がいちいちかっこよく、このドラマを見てベンチャーに入ったり起業を目指した人も一定数いるのではないかと思います。

仕事に向き合う姿勢や哲学などの名言が多

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