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#憧憬の道・造形の街
#ウシミツトカゲ__
大学で久々に顔を合わせた友人が、帰り道に妙なことを言い出した。
『俺さ、シモキタの駅で、見ちゃいけないもの見ちゃった気がするんだよね』
私は怯えを必死に隠しながら、「どうせ見間違いだろ? お前昔から変なこと言ってるから心配だよ」と言った。しかし友人は、食い気味に『お前は見てないからそんなことが言えんだ!』と叫んだ。
「いきなり大きな声出すなよ。そんで、何を見たんだ?」
私は一旦、彼を落ち着かせるた
秋は短し、滅べよ自意識。
「おや、こんな所でお会いするとは」
貴方は僕に向けて余所々々しく言った。
「この列車が何処に向かっているのか、あなたは知っていますか?」
僕はよく分からなかったから、首を横に振った。ポケットの中から切符を取り出すと、それは掌の中で落ち葉のように粉々になり、まだ名前のない風に攫われていった。貴方は構わずに続ける。この列車には、終着点が無いのだと。
列車の中では、乗客が事ある毎に深呼吸をしてい