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小説を書いてます。 『不埒な果実は春を見ない』完結。 noteでは主にエッセイを掲載。

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マガジン

  • はじめてのQUILL【入門編!!】

    新規読者の方に向けて読切の小説作品や、取っ付きやすいエッセイを集めました。著者のおすすめ順になってますので、是非参考にしてください。 陰鬱注意!!⚠️

  • 第一エッセイ集『憧憬の道、造形の街』

    完結済み、全15編。 大学の登下校中に考えたことや、妄想。旅先で我が身に降りかかった災厄や、まことしやかに囁かれる噂。創作をもって、現実社会に静かな怒りを表明する。フィクションあり。

  • 長編小説『不埒な果実は春を見ない』

    【あらすじ】  マッチングアプリで異性を漁ったり、虚しいと分かるのに風俗で性欲を満たしたり、人生とは所詮、そんなくだらない事の連続だった。初恋をしたことのない「私」の元に現れた、ひとりの運命みたいな男。沼のような夜、果実のようなキス、そして、煉獄の如く燃ゆる嫉妬の炎——。誰かを愛そうとするだけで、こんなにも日々は苦しかった。目に染みるような眩しい東京の景色の中で、私たちは悶え、そして「愛」とかいう曖昧な言葉の意味を探していく。 【鑑賞にあたって】 本作は、恋愛感情と性欲の境界、嫉妬や破壊衝動の源、愛ゆえの献身やそれすらも裏切る人間の思考について迫る小説です。そのため、一部差別的な発言や暴力描写、性描写、残酷描写を含みます。

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不埒な果実は春を見ない|ep.Eri 1/2

~10月~  夕飯をコンビニで買っていたら、通り雨が降り出してきた。私はレジ横のビニール傘を買おうとしたが、日当が入っていないので当然買えるわけもなく諦めた。仕方なく、レジ袋を傘の代わりにして、職場まで駆け込むことにする。左右から自転車などの通行が無いか確認して、私は颯爽と走り出す。しかし、くっ……、思ったより雨は強い。綺麗なお洋服が濡れてしまっては仕事に支障が出るので、一先ず雨宿りでもしようと思った。だけど、ここは港区赤坂の通り。気軽に雨止みを待てるような店は無い。私はた

    • 初のメンバーシップ限定コンテンツとなる「ズレズレ日記」を先日投稿致しました。週2更新はまだ難しそうですが、試験的にスタートしております。また、初読の方に向けたマガジン「はじめてのQUILL」を公開しました。こちらも是非、ご確認ください。以上、クイルでした。

      • ズレズレ日記【第一回】

        自分のズレを気にして世間の動向を追うことがストレスだと気付いたのが今年の3月ぐらいのことで、それからあまりニュースを見なくなった。正確に言うと、世間に関心を持って情報を収集する時間というものを、限りなく潰して他に当てたということだ。だけど、自分が自分で言う普遍的なズレがどこから齎された感覚なのかが分からない。それを探りたくなった。

        • 『憧憬の道、造形の街』が完結しました。最終話を書くために、一年間頑張って連載を続けてきました。成果といっては大袈裟だけど、自分が一番好きな作品を書けたと思います。このシリーズは終わりますが、お別れではありません。ひとまず、ありがとう。 https://note.com/quill439/n/nf87fe217153a

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        不埒な果実は春を見ない|ep.Eri 1/2

        • 初のメンバーシップ限定コンテンツとなる「ズレズレ日記」を先日投稿致しました。週2更新はまだ難しそうですが、試験的にスタートしております。また、初読の方に向けたマガジン「はじめてのQUILL」を公開しました。こちらも是非、ご確認ください。以上、クイルでした。

        • ズレズレ日記【第一回】

        • 『憧憬の道、造形の街』が完結しました。最終話を書くために、一年間頑張って連載を続けてきました。成果といっては大袈裟だけど、自分が一番好きな作品を書けたと思います。このシリーズは終わりますが、お別れではありません。ひとまず、ありがとう。 https://note.com/quill439/n/nf87fe217153a

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        • はじめてのQUILL【入門編!!】
          13本
        • 第一エッセイ集『憧憬の道、造形の街』
          15本
        • 長編小説『不埒な果実は春を見ない』
          3本

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          ズレズレ日記【第一回】

          「スタンダードプラン」に参加すると最後まで読めます

          自分のズレを気にして世間の動向を追うことがストレスだと気付いたのが今年の3月ぐらいのことで、それからあまりニュースを見なくなった。正確に言うと、世間に関心を持って情報を収集する時間というものを、限りなく潰して他に当てたということだ。だけど、自分が自分で言う普遍的なズレがどこから齎された感覚なのかが分からない。それを探りたくなった。

          ズレズレ日記【第一回】

          箱根一人旅行記

          「スタンダードプラン」に参加すると最後まで読めます

          【はじめに】 今から一か月前、訳あってひとり旅というものに出掛けることになった。理由はタイトルにもある通り、原稿合宿をしなければならない程、締め切りに追われていたからだ。しかし、この旅行というものが中々に壮絶で、波乱万丈な三日間だったのだ。箱根という未開の地で、俺が経験したことをなるだけ脚色なしでここに残しておきたい。ただまぁ、期待はできないだろう。きっと彩りに満ち満ちた旅行記を俺は書いてしまうのだろうから。 QUILL 【1日目】2024.3.11(mon)旅行の準備

          箱根一人旅行記

        記事

          【終】憧憬の道、造形の街

          その街に行くには、十九年もの間、罪を一度も犯していないという褒賞が必要になる。自由を受け取るために、不自由を選ばなければならない最低年数が十九年だという話である。その街に繋がる道は、この世の何処かに現れるという。しかし、その街での日々を綴った記事は、ネット中どこを漁っても見当たらない。書籍も無い。噂に聞いた街の断片を、繋げてひとつの物語にしてみる。そして自分を、いや世界すらも騙して創り上げる。 「憧憬の道、造形の街」俺はこの1年間、自分を欺いてきたのだ。空から言葉が、思想が

          【終】憧憬の道、造形の街

          箱根一人旅行記

          【はじめに】 今から一か月前、訳あってひとり旅というものに出掛けることになった。理由はタイトルにもある通り、原稿合宿をしなければならない程、締め切りに追われていたからだ。しかし、この旅行というものが中々に壮絶で、波乱万丈な三日間だったのだ。箱根という未開の地で、俺が経験したことをなるだけ脚色なしでここに残しておきたい。ただまぁ、期待はできないだろう。きっと彩りに満ち満ちた旅行記を俺は書いてしまうのだろうから。 QUILL 【1日目】2024.3.11(mon)旅行の準備

          箱根一人旅行記

          冬の棘

          むかしむかしある所に、ひとりの少年が産まれたらしい。その少年は自分が産み出された側にも関わらず、それを忘れて、自分が産み出す側だと宿命のように感じていた。 少年は自分が少年だと呼ばれなくなった頃、周囲が色めき始めたのに気付く。浮かれた男女を見て、しょうもなくて下品な奴らだと見下し始める。しかし、彼はまだ知らなかった。自分が一番下劣で、将来に何の望みも持てない人間であることを。 少年がまだ幼い頃、公園の遊具には目もくれず、かといってサッカーやキャッチボールをやっている集団に

          冬の棘

          不埒な果実は春を見ない|ep.Satoru

          序章・エリの視点はこちらから↓  バンドメンバーの一人が「俺、もう抜けるわ」と唐突に言い出して、俺らは演奏を止めた。さっきまでは心地良い音の中にいたのに、それを急に遮られたことに少し不快感を覚えて、俺は顔を歪めずにはいられなかった。 『え、今なんて?』 「だから、抜けるんだよ、バンドを」 この宣言に、俺は正直なんて返していいのか分からなかった。こういうところで茶化そうとしてしまうのは俺の悪い癖で、当然その癖はこの期に及んでも発動した。 『えっ……!? なんだお前、ど

          不埒な果実は春を見ない|ep.Satoru

          セルフ純喫茶セット【エッセイ】

          前回の更新から、だいぶ時間を空けてしまった。俺は悩んでいた。創作が足枷のように感じてしまい、自分自身が最も好きでいれる文章を書くという信念を見失いそうになって、小説連載を中止したのだった。それからも、連載が終わっていないことや、それ以外に実生活で迫ってくる様々な期限に心は粟立ち、終電で帰る我が家はいつも消灯されていた。電気は消えていてもすぐに付けられるが、自分の厭世観や孤独感を明るく照らすような光は見つからなかったし、現時点でも見つかっていない。夜明け前、何も欲しくないのにコ

          セルフ純喫茶セット【エッセイ】

          不埒な果実は春を見ない|ep.Eri 2/2

           私は火伏と共にハーレーに乗り、東京へ戻ることにした。東京の自分の勤務先に戻り、退職届を出そうと思った。海岸線に太陽が沈んでいくのを見ながら、私はこれで良かったのだろうかと考えた。しかし、そんなことは考えても仕方ないことで、私たちは逃げるほか無いのだった。夜の帳が降りて、道が暗くなると、パーキングエリアで彼はハーレーを捨てて、レンタカーに乗り換えた。追手が来ているような気がしたが、火伏は「この辺りは取材でよく来てたから」と言ってスピードを上げた。私は根拠もないが、大丈夫かもし

          不埒な果実は春を見ない|ep.Eri 2/2

          『不埒な果実は春を見ない』 【エリ(前編)】完全公開開始!! 感想は#フラハルをつけて、noteで呟いてください!

          『不埒な果実は春を見ない』 【エリ(前編)】完全公開開始!! 感想は#フラハルをつけて、noteで呟いてください!

          【予告】メンシプ・小説連載について

          ①メンバーシップ開設のお知らせその名は『クイルの夜渡り改札口』 【利用額】月々¥700(税込) 現行ではベーシックプランのみ 登録はこちらから ②小説連載が始まります題名『不埒な果実は春を見ない』 本作は12.25よりカクヨムで連載開始、 連載期間終了後にnoteで全編公開されます。 【あらすじ】  マッチングアプリで異性を漁ったり、虚しいと分かるのに風俗で性欲を満たしたり、人生とは所詮、そんなくだらない事の連続だった。初恋をしたことのない「私」の元に現れた、ひとり

          【予告】メンシプ・小説連載について

          私の好きなことば【歌詞編】トップ10!

           この世に言葉がある以上、素晴らしい歌詞は生み出され続ける。僕は幼い頃から音楽に身を任せて身体を揺らすのが好きだった。けれども、歌詞をしっかりと聴いて、共感ができる部分を見つけて味わうようになったのは、意外と最近かもしれない。映画の好きなシーンを何回も観てしまう人がいるというが、何度も同じフレーズを聴くために音楽を再生してしまう癖は、これと似た感覚だと思う。 カラオケで大切な人の前で声が裏返って赤っ恥をかいた曲や、バンドメンバーと何度も意見をぶつけ合いながら作ったオリジナル

          私の好きなことば【歌詞編】トップ10!

          【小説】夜の底の子

          プロローグ  仕事へ向かう道中、見慣れた風景の中に乗り込んできた彼らに違和感を感じたのは、私の気のせいだっただろうか。バスが停留所を離れていき、緩やかに加速する。車窓に映るのは、競合するコンビニエンスストアの群れと、大型中古車販売店。更に信号を曲がると、地域住民の生活を支える役目を終えたシャッター商店街や、中高生の青春のページに何枚にもわたって残るラウンドワンなどがある。この街は、様々な種類のお店が入り乱れていて、一見無秩序にも思える。しかし、実は何か大きな秘密を街全体が抱

          【小説】夜の底の子

          秋は短し、滅べよ自意識。

          「おや、こんな所でお会いするとは」 貴方は僕に向けて余所々々しく言った。 「この列車が何処に向かっているのか、あなたは知っていますか?」 僕はよく分からなかったから、首を横に振った。ポケットの中から切符を取り出すと、それは掌の中で落ち葉のように粉々になり、まだ名前のない風に攫われていった。貴方は構わずに続ける。この列車には、終着点が無いのだと。 列車の中では、乗客が事ある毎に深呼吸をしていた。それは、何のためなのか。あと一歩を踏み出さないようにするためである。我々はい

          秋は短し、滅べよ自意識。

          自己紹介ほか

          ■遅すぎる自己紹介 自己紹介なんて基本的にはつまらないものなので本当はやりたくないのですが、このままどんな人間が書いているのか明かさないままにエッセイの連載を続けていくのも気が引けたので、少しだけ自己紹介をしておこうと思います。 僕は都内に通う大学生で、文学を専攻しています。僕のエッセイをすべて読んでくれている方はほとんどいないと思うので、エッセイの中でさらっと触れていた情報についても押さえていきたいと思います。 僕は太宰治が大好きです。 あと、夏が終わる一歩手前の夕暮

          自己紹介ほか