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私の好きなことば【歌詞編】トップ10!

 この世に言葉がある以上、素晴らしい歌詞は生み出され続ける。僕は幼い頃から音楽に身を任せて身体を揺らすのが好きだった。けれども、歌詞をしっかりと聴いて、共感ができる部分を見つけて味わうようになったのは、意外と最近かもしれない。映画の好きなシーンを何回も観てしまう人がいるというが、何度も同じフレーズを聴くために音楽を再生してしまう癖は、これと似た感覚だと思う。

カラオケで大切な人の前で声が裏返って赤っ恥をかいた曲や、バンドメンバーと何度も意見をぶつけ合いながら作ったオリジナル曲、人生で初めて失恋をした夜に刺さった曲など、そのそれぞれに想い入れのある歌詞がある。文学を学び始めて、音楽の聴き方も若干変わったような気はするが、ひとまず小賢しい説明はやめにしよう。僕の心を突き動かした曲の歌詞を、そのポイントやエピソードを簡潔に紹介していく。

選・火伏文悟

King Gnu『Sorrows』

優しい嘘をついてくれよ
現実は残酷だもの

これマジで刺さったなぁ。ファンキーな曲調なんだけど、この世界から目を逸らしてない感じ?キングヌーの歌詞の主人公ってどこか内省的で、明るくはないんだけどしゃあねぇから走るか、みたいな諦念を感じて凄く好き。

PEARL CENTER『Orion』

雨に打たれることで
花も色づくのなら
君を忘れることも
新しくなるため

聴いた時、ふぇえええっ!?切なすぎるんだが!?となった歌詞。この、互いが互いを愛し合ってるからあえて別々の道を歩み出す決断をするみたいなやつ、マジで刺さっちゃうからダメ。勘弁してくれ😢

yama『世界は美しいはずなんだ』

あの銃もあの花も
最初は一つだったんだ

この歌詞の破壊力、エッグい。言葉の定義が真逆なこのふたつが、ひとつの惑星から生まれているという紛れもない事実。分かっているようで、私たちはどこか忘れている節がある。それを認識させられて、大いにハッとした。

yonige『健全な朝』

憧れていたあの人は、
天才なんかじゃなかった
それでもいいから、どうか演じきってよ

yonigeの歌詞って、どこか人生哲学っぽくて好きなんだよな。この歌詞とか良すぎるもん。自分が天才って仰いでる人にも仰ぐ師がいるのは事実だし、人間である以上は完璧な人間なんていないから、心底がっかりしたりするんだよな。ただ、人生においてロールモデルとかを持つことは良いことだから、その人に髪型とかファッションとかで一歩近づけたら素直に喜ぶとかってのが、ここでいう〝健全な朝〟なのかもしれないな。

きのこ帝国『ラプス』

光るナイフを強く握れば
握るほどに赤い血は溢れるのに
なぜ疑うことだけ上手になるの
誰かを信じたい それだけなのに

きのこ帝国ほど良い歌詞を沢山残したバンドは、そういないんじゃないかと思う。俺はマジで活動休止してから好きになったニワカだけど、狂うほど彼らの歌詞が好きだ。その中でも一番好きなのがこれ。初めて聴いた時は自分のこと書かれてんじゃないかってくらい真っ直ぐに刺さって、頬を流れる涙が止まらなかったのも良い思い出。

電脳猿轡『反吐息』

吐きそうになるわ 忌わしい
それが私の日常で
どうしてだろう 息苦しい
お願いダーリン褒めないで
綺麗だなんて言われたら
割れた鏡の破片すら
私、愛おしくなってしまうのよ
壊される前に壊したかったのにな

これも綺麗な歌詞だよなぁ、また。
褒められても貶されても、結局俺は息ができなくなってしまうんだけど、そんな時強がっちゃうのすげぇ分かるな。歌詞の解像度が高い。
最近推してるバンドの一つ。

KIRINJI『再会』

交差点の向こうに君を見つけて
思わず駆け寄った
季節はいくつ廻ったろう
馴染みの店も新しいスタイル
他愛ないことばかり
話は尽きない
並んだ料理も冷めてしまいそう
待ちわびていた
待ちわびていた
この日を
この時を求めてた
グラスをかかげ
肩を寄せあおうよ
嬉しくてみんな笑う
夜どおし歌い踊ろう
人熱れにクラクラ
背中と背中
揺れる君の体温
そんな夢を見た朝

あっ、突然長くてごめんなさい。
KIRINJIの歌詞がマジで狂うほど好きなんですけど、これヤバくないですか? 夢オチですよ、夢オチ。なかなか歌詞では見たことがないよね。それに楽しそうな再会のパートを丁寧に描くことで、サビ終わりの一文も威力が最大になってるんだぜ。この曲は、コロナ禍の最中に発表された曲らしい。誰かと現実で再会したい、でも、そう簡単には外出するわけにいかない。そんな切実な想いを歌ったミディアムナンバーだ。

KIRINJI『恋の気配』

秋の日は短い
瞬く間に暮れる
ほら太陽は坂道を転げ落ちる林檎
日に日に影は長く
日に日に影は長く
昨日とは違う光の中にいる
今はもう

2連続すまん! これは外したくなかった!
シンプルに言おう。エロい歌詞だなと思ったんだよ。大人の色気みたいのがムンムンするのも、KIRINJIの曲の特徴なんだな。なんだよ、「ほら太陽は坂道を転げ落ちる林檎」って。お洒落すぎて、詩人や小説家も嫉妬するよ。この曲は、個人的に今年の秋のテーマソングにしてました。是非一度聴いてみてください。

RADWIMPS『新世界』

見てたいものだけに ピントを合わせては
あとはモザイクで 地球を覆ったの

RADWIMPSの社会を皮肉る感じの曲が、好きで好きで。これもめちゃくちゃ良いよね。歌詞が目の前に絵で浮かんでくるような感じ。

tuki.『晩餐歌』

君を泣かすから だから一緒には居れないな
君を泣かすから 早く忘れて欲しいんだ
人間だからね たまには違うものも食べたいね
君を泣かすから そう君を泣かすから


でも味気ないんだよね
会いたくなんだよね
君以外会いたくないんだよね
なんて勝手だね
大体曖昧なんだよね
愛の存在証明なんて
君が教えてくれないか

聴いた時マジで鳥肌立った。
恋愛面における我儘な欲求を晩餐になぞらえて書いてるって点と、相手に求めてばっかの状態を剥き出しにして書いてる点に。俺は産まれてなかったから分からないけど、この曲を初めて聴いた瞬間は、世の中が宇多田ヒカルの音楽と邂逅した時くらいの衝撃を受けた気がする。密かに応援してるシンガーソングライター。

indigo la End『カンナ』

朝に吠える犬 隣で寝てる美人
壮大な予告編も霞む日常
満ち足りたカップを覗いた
映りそうで映らない顔
予感めいたものはなかった

もうね、彼らの歌詞は色々ツッコんで考察したくなるのよ。言葉が綺麗だし、曲調も好きなんだけど、一曲通してちゃんと物語になってるんだよね。この曲は所謂、夢でしか会えない〝幻の存在〟に恋してる主人公が醒めるまでを描いてるんだけど、技巧的に切ない表現があって。上の歌詞は曲の冒頭で、「予感めいたものはなかった」って予期せぬ恋の始まりを歌ってるんだけど、この一文が後々もう一回出てくるんだよね。

朝に鳴ったアラーム
予感めいたものはなかった

これだよ、これ。インディゴの真骨頂。
朝にいつも通りのアラーム音で目覚めて、「あぁ、今日も何も起こらない平穏無事な一日が始まるのか……」ってなるっていう。いつもと違って明るいサウンドだから、夢で感じていた幸せと現実のギャップに打ちひしがれるっていうね。俺はやっぱり、こういう歌詞が好きなんだよ。良いだろ。


 いかがだっただろうか。
今回は、好きな歌詞を10個取り上げてみたんですけれども。俺の好きな言葉の傾向が少し分かったでしょうか。俺の好きな曲を沢山詰め込んだプレイリストはこちらなので、もし良ければ聴いてみてください。もちろん、今回ご紹介した曲は全部入っていると思います。それでは、今日はここまで。言葉を通してまた会おう。

【完】

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