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映画レビュー【映画の中の人生】

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悩み事だらけの私は、映画で描かれる人々の生き方を観て、励まされ、救われ、生きる術を学んできました。そして、わずか2時間前後のストーリーに凝縮されたキャラクターたちの人生から、本当… もっと読む
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2021年6月の記事一覧

ゲーム(1997)

ゲーム(1997)

フィンチャー監督のサディスティックな挑戦状
死を賭けたスリリングなゲームの行方

『セブン』(’95年)の陰鬱な映像と衝撃的なストーリーで一躍先鋭的な映画監督として注目を浴びたデヴィッド・フィンチャー監督が『セブン』の次作として発表したのは、またしても不穏な雰囲気が漂う作品でした。

テーマは〈死を賭けたゲーム〉です。

【ストーリー】
冷酷な投資家のニコラス(マイケル・ダグラス)が48歳の誕生日

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傷だらけの男たち(2006)

傷だらけの男たち(2006)

トニー・レオンと金城武が心に傷を抱えた男を熱演
“男臭さ”からの脱却を図った美しい香港アクション映画

香港の裏社会を舞台にした人気ノワールアクション映画『インファナル・アフェア』シリーズのスタッフが再結集し、香港映画界のトップ俳優トニー・レオンと金城武を主演に迎えた刑事アクションドラマです。

【ストーリー】
恋人の自殺をきっかけに刑事を辞め、私立探偵となったボン(金城武)と、彼の元上司の刑事ヘ

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ボーン・スプレマシー(2004)

ボーン・スプレマシー(2004)

記憶をなくした暗殺者ボーンの自分探しの旅はまだ続く
演技派俳優マット・デイモン主演のアクション大作第2弾

CIAの超機密計画により完璧な暗殺者として育成された元スパイ、ジェイソン・ボーンの活躍を描いたサスペンスアクション『ボーン・アイデンティティ』の続編です。

前作に続き、ボーンを演じたマット・デイモンにしびれます。演技を超えて、完全にボーンになりきり、まるで自分の過去を探すひとりの男を追った

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アーロと少年(2015)

アーロと少年(2015)

不安や恐怖を乗り越えた先にある素晴らしい世界
予想外の出来事に溢れた珠玉のCGアニメーション

愛すべきキャラクター、美しい映像、そして、心に染みるストーリー。ヒットメーカー、ディズニー/ピクサーによる珠玉のCGアニメーションです。

【ストーリー】
主人公は、甘えん坊で弱虫の恐竜の子どもアーロ。しっかり者のパパと優しいママ、2人の兄、姉と共に穏やかに暮らしていますが、気弱で臆病な性格から何をやっ

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A.I.(2001)

A.I.(2001)

2人の巨匠のコラボレーションが注目された壮大なSFファンタジー
人間と感情のあるロボットたちが共存する未来社会の光景とは?

「人間は愛がなくては生きられない生物だ。それが人工知能(A.I.)によって生まれたバーチャルな愛だとしても、愛し愛される対象を求める――」

原作はSF作家ブライアン・オールディスの短編『スーパートイズ』。子どものいない人間の家庭で、子どもの代用品として育てられる少年型アン

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ウォッチメン(2009)

ウォッチメン(2009)

アメリカの歴史的事件にも関与した不気味なヒーロー集団
複雑で壮大な謎に満ちた新感覚アクションスリラー

黒い模様がうごめく白マスクをかぶった〈ロールシャッハ〉、全身が粒子状の〈ドクター・マンハッタン〉など、謎めいた姿とさまざまな特徴を持つヒーローで構成された〈ウォッチメン〉。

アメリカでカルト的な人気を誇るグラフィックノベルが映画化されました。

【ストーリー】
1985年、ニューヨークの高層マ

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アポカリプト(2006)

アポカリプト(2006)

野蛮人の恐怖をリアルに描いたメル・ギブソン監督
衝撃的な映像は非情な人間たちへの戒めになるか?!

イエス・キリストの壮絶な最期を克明に描いた『パッション』(’04年)に続き、メル・ギブソン監督が放った衝撃作。

驚きのビジュアルで綴られる前代未聞のアクションアドベンチャーです。

【ストーリー】
マヤ文明後期。中央アメリカのジャングルで、平和に暮らす部族がマヤ帝国の傭兵たちに襲撃されます。
村の

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チャーリーズ・エンジェル フルスロットル(2003)

チャーリーズ・エンジェル フルスロットル(2003)

エンターテイナーに徹した美人女優たちが
生き生きとしたエンジェル像を構築した痛快アクションの第2弾

映画が退屈なのは作り手が何を描きたいのかはっきりと伝わってこないからでしょう。そこへ行くと本作は明快。だから面白い!

強くて美人なだけじゃない。ユーモラスでセクシーでフレンドリーなエンジェル像がこれ以上ないくらい、生き生きと描かれます。

前作に続く主演のキャメロン・ディアス、ドリュー・バリモア

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チャーリーと14人のキッズ(2003)

チャーリーと14人のキッズ(2003)

エディ・マーフィが幼稚園児を相手に大奮闘
微笑ましい大人たちの姿が共感を誘う

エディ・マーフィが14人の幼稚園児を相手に奮闘するファミリーコメディです。

小さな子どもも楽しめるように作られているこの手のジャンルは観客層が偏りがちで、はなから敬遠してしまう大人も多いでしょう。

でも、本作はエディと子どもたちの壮絶ながらも愉快なバトルを描いただけのドタバタコメディではありません。

無邪気な子供

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ロルナの祈り(2008)

ロルナの祈り(2008)

カンヌ国際映画祭で数々の賞に輝く
ベルギーの巨匠監督ダルデンヌ兄弟が描く愛の奇跡

『ロゼッタ』(’99年)、『ある子供』(’05年)で2度のカンヌ映画祭パルムドールに輝いたベルギーの巨匠ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟の監督が手がけたヒューマンドラマです。

過酷な現実が結びつけた2人の男女に、真実の愛が生まれる軌跡(奇跡)が描かれています。

ロルナの偽りの愛をひたむきに信じるクロー

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長いお別れ(2019)

長いお別れ(2019)

認知症の父が教えてくれる家族の絆の大切さ
普遍的なメッセージが心に響く

認知症を患った父親と家族との7年間の軌跡が描かれます。

直木賞作家・中島京子の実体験に基づく原作を、長編映画デビュー作『湯を沸かすほどの熱い愛』(’16年)で高い評価を受けた中野量太監督が映画化。

切なくも温かい家族の物語です。

【ストーリー】
2007年秋、東京郊外に住む東家の母・曜子(松原智恵子)は、離れて暮らす2

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チャーリーズ・エンジェル(2000)

チャーリーズ・エンジェル(2000)

モデルチェンジを重ねた現代のエンジェルたちが大活躍
人気女優たちの華やかな競演が楽しい痛快アクション

キュートでセクシー、めちゃめちゃ強くてとびきり明るい! 謎のボス、チャーリーから〈エンジェル〉と呼ばれる3人の女探偵たちの活躍を描くアクションコメディです。

1976~81年にかけてアメリカで放送された同名人気テレビドラマが2000年、待望の映画化となりました。

注目のエンジェルたちに扮した

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ハッピーフィート(2006)

ハッピーフィート(2006)

南極の大氷原を舞台にペンギンたちが歌い踊る
気分爽快! とびきり陽気なミュージカルコメディ

1頭身のぷくぷくした体型や、短い足でペタペタ歩く歩き方など、実物のペンギンも愛嬌たっぷりですが、CGアニメにするとその可愛らしさは半端じゃありません!

そんなキュートなペンギンたちがタップダンスを踊り、全身を使って歌う姿は一見の価値あり。お腹を抱えて笑えること請け合いのミュージカルコメディです。

【ス

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ハリエット(2020)

ハリエット(2020)

不屈の黒人奴隷女性の苦闘を描く
心に染みる愛と勇気の物語

アフリカ系アメリカ人として、史上初めて新しい米ドル紙幣に肖像が採用された実在の奴隷解放運動家ハリエット・タブマンの壮絶な闘いの日々が描かれています。

黒人奴隷制度を描いた物語を見るのは本当に辛いです。本作でも、冒頭から白人のブローダス家による冷たい仕打ちにじっと耐えるハリエットら黒人奴隷たちの姿が描かれ、胸が痛くなります。

そして、ハ

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