世界の花と草木の民話
日本以外の国々の、植物に関する民話を集めた本です。
題名に『世界の』とありますが、ほとんどがヨーロッパの民話です。
それに、アジアと、北米、中米が、少し入っています。アフリカとオセアニアの民話は、一つもありません。南米の民話は、コラムで取り上げられているだけです。
「世界」というには、偏りがあるのが、ちょっと残念です。
それでも、植物に関する民話が、ここまでまとまった本は、めったにありません。特に、ヨーロッパの民話について知りたい方は、必読でしょう。
数は少ないものの、アジアの民話に、興味深いものが多いと感じました。
一冊の中に、いろいろな国の民話があるため、直接、他の国の話と、比べることができます。それが便利ですね。
中には、日本の民話にそっくりなものもあります。もしかしたら、どちらかの国が、もう片方の国に、影響を与えたのかも知れません。
けれども、遠く離れた国同士であっても、民話には、似た話が多いものです。「人間の考えることは、どこの国でも、似ているのだな」と、ほほえましく思います。
一つ一つのお話は、短いです。気の向いたところから、少しずつ読んでゆくのも、良いですね。
以下に、本書の目次を書いておきますね。
はじめに
一章 誕生と転生
1 桃の花の仙女 中国
2 ザクロ姫 インド
3 桃から生まれた子ども 韓国
4 トウガラシ姫 インド
5 三人の娘 ロシア
6 狩人と美しいラウレアーナ イタリア
7 丁香花――ライラックの由来 中国
など
コラム インドの昔話と植物
二章 幸せを呼ぶ・災いを招く
1 レプラコーンとタンポポ アイルランド
2 福を呼ぶスミレ ドイツ
3 シダの花 リトアニア
4 ジェリコのバラ イタリア
5 呪いを解く花 ドイツ
6 死の花、宝の花、恵みの花 ドイツ
7 ツォルネボーのスミレ ドイツ
など
コラム グリム昔話集における植物
三章 神の奇跡
1 足に生えた木 アイルランド
2 桑の葉の伝説 イタリア
3 クリスマスツリーの伝説 イタリア
4 菩提樹【ぼだいじゅ】と樫【かし】 ルーマニア
5 樫の木の礼拝堂 ドイツ
6 木の中の宝 アイルランド
7 ハシバミの茂み ルーマニア
など
コラム ヨーロッパの本格昔話と植物
四章 薬草の力
1 百リラのシトロン トルコ
2 薬草の秘密――医術師ディアン・ケヘト アイルランド
3 ヘビの薬草と舌 ドイツ
4 ヘザーのビール イギリス
5 人魚とヨモギ イギリス
6 妖精を恋人に持った男 イギリス
7 命の果実 ドイツ
など
コラム アイヌの花と草木
五章 命のしるし・愛の証し
1 三人兄弟と三匹の犬と三本のバラの木 フランス
2 ヘビと金のリンゴ ルーマニア
3 白樺【しらかば】と男の傷 チェコ
4 木に打ち込まれる釘 フランス
5 冷たい木 ドイツ
6 杉枝で作ったフルート ラコタ族(アメリカ)
7 不思議な銀杏【いちょう】の木 韓国
など
コラム 植物の俗信――イギリスを中心に
六章 由来と起源
1 稲に籾殻【もみがら】ができたわけ 韓国
2 トリックスターとメープルツリー アニシナベイ族(アメリカ)
3 おばあさんはトウモロコシ チェロキー族(アメリカ)
4 トウモロコシの起源(1) チナンテコ族(メキシコ)
5 トウモロコシの起源(2) クイカテコ族(メキシコ)
6 三色スミレ スイス
7 飯子菜【ままこな】 韓国
など
コラム ラテンアメリカの栽培植物の起源
七章 異界への扉
1 四つ葉のクローバーと妖精たち イギリス
2 魔よけの四つ葉のクローバー ドイツ
3 リンゴの木の小人 ドイツ
4 エンドウ豆と小人 ドイツ
5 セント・ジョンズ・ワート イギリス
6 呪われた樫の木 ドイツ
7 緑のおばあさん ドイツ
など
コラム ベトナムの植物の話
八章 不思議な植物
1 五代続いた火種 韓国
2 姿が見えなくなる木の葉 韓国
3 クリスマスの夜のホップ ドイツ
4 盗まれた亜麻 イギリス
5 マンドレークの木 イギリス
6 泣く木 フランス
7 空を飛ぶ木 インド
など
『グリム昔話集』に出てくる植物
出典
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