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バカボンの兄 詩集

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詩の末尾に初稿を書いた年月を付していますが、note投稿にあたり加筆しています。投稿後の加筆もあり得るので、ご了承ください。
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#現前

詩/ニルヴァーナ あるいは 言葉の向こう側へ

ニルヴァーナ あるいは 言葉の向こう側へ

意味について
言葉で伝えようとする その無意味さ、
という意味を生じさせてしまう
ジレンマを抱えながらも
それでも伝える、を選択するのは
そのジレンマが
次元への感受性の未熟さに過ぎないから。

物理的な痛みは
甘んじて受けるしかない
時折襲ってくる、強い恐れも
脳のメカニズムに変調をきたした結果としての表れ
その耐え難きを
道端にうずくまって堪(こら)

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詩/刃物/パパゲーノ3

刃物/パパゲーノ3

小学生の時
ボンナイフというものがあって
それで鉛筆を削った
削り方は母が教えてくれた

同じ頃
父が懐刀をくれて
これで家族を守るんだぞと言った

ボンナイフはとうになくしてしまったが
懐刀は今でも持っている

父は有名私立高校の卒業生で
僕は子供の頃、実力以上を強いられ
壊れた。
父の母校の校章は
「ペンは剣よりも強し」だが
僕は、それはちょっと違うと思っている

ペンは

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詩/悼む

悼む

常に
太古から
全てのいきものに作用してきたというのに
ニュートンの登場まで誰にも気づかれなかった、
引力のように
現前はあった。なのに
毎晩死にたくなるのはなぜなんだろう
どこにいてもいたたまれない
どこからもいなくなりたい
常に
どこにもいないと気づいているというのに。
眠れぬ夜が明けて葬儀の支度をする

タゴールとアインシュタインが対話した時
タゴールは現前について語り
アインシュタ

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