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戯曲『菜ノ獣 –sainokemono–』⑬ テロ
テロ
農務局特別対策室、オオハラの部屋。
ミヤタ・オオハラ向かい合って立っている。
オオハラ いや、お疲れだったね、ミヤタ君。
ミヤタ いえ、帰りが少し遅くなりまして。申し訳ありませんでした。
オオハラ 何を言っている。あんな事件があったんだ。それは仕方がないよ。
ミヤタ はぁ。
オオハラ いやでも本当にお疲れ様。カドタ君も無事に戻って良かった。今度のあの研究所での一件も、実験
戯曲『菜ノ獣 –sainokemono–』⑧ 向けられた疑惑
向けられた疑惑
第十二研究所ゲストルーム。
布団に座り、ミヤタの携帯のメールを読むムラカミ。
ムラカミ ベジタブルマンたちが意思を持ち始めているかもしれない――か。
ムラカミ、ミヤタに携帯を差し出す。
ミヤタ あの、ムラカミさん本当に大丈夫なんですか?
ムラカミ ん?何が?
ミヤタ いや、熱が……。
ムラカミ ああ、ウソだよウソ。ここに泊まって何か手がかりがないか調べた
戯曲『菜ノ獣 –sainokemono–』背景・あらすじ・登場人物
【背景】
今は未来。
人類の生への渇望に後押しされ、その歩みを止めることなく進化し続けてきたバイオテクノロジーはついに、人間に臓器・血液・肉、その他あらゆる部位・器官を提供するための人型生物“ベジタブル・マン”を創り出した。
「限りなく人間に近い植物」と定義される彼らはドナーとして、食料として人類に多大なる恩恵をもたらし、今や人間社会にとって「なくてはならない」そして「あることが当然」の存在と