マガジンのカバー画像

作品のようなもの。

19
ちょっとした短編小説のような作品を集めてみました。
運営しているクリエイター

#愛

contradiction

contradiction

おしゃべり好きな少女の震える手。

無関心そうな少年からの素敵ですのひと言。

耳を赤くする彼女が纏うオーラ。

この世界に漂う不安を
敏感に感じとる心が
取り残されてしまう社会。

声なき声に鈍感な僕らは
雫を与えることができるだろうか。

交差点

交差点

心に迫ってくるんだ。
寂しさ。不安。恐怖。

愛することが怖くて。
愛されることが怖くて。
信じることが怖くて。
信じられることが怖くて。

青くて脆いガラスのようだ。
触れたら一瞬で割れ
割れた破片で誰かを傷つける。

だから僕は、生きていくために
強くなりたいという想いを心に纏う必要がある。
感情に嘘をつく必要がある。

こんなことを考えながら
ひとり空を見上げる。涙が頬を伝う。

感情って何

もっとみる
夜と。愛と。

夜と。愛と。

僕の心が小さく震えていた。
こんなにも穏やかな夜があるのか、と。

耳を澄ますと聴こえてくる波の音。

そして、君の声。

君の甘い声が。囁くような声が。
僕の身体に響き渡る。
穏やかな愛に包まれる。

君の声はずるいよ。ずるい....

感情の波に飲まれていた僕だったが
いつの間にか
君の声で優しく溶かされていた。

僕の中に眠る愛を
見つけだしてくれてありがとう。
気づかせてくれてありがとう。

もっとみる
雨を描く。

雨を描く。

雨が降ったら私を想い出して欲しい。

彼女はその言葉を最後に、
僕の目の前から姿を消した。

雨がよく似合う人だった。
どれだけ幸せに満ち溢れている日でも、
いつも影を残して、
僕の心を少しずつ侵蝕していった。

愛って何だろう。
心の奥にしまった記憶を手繰るように
彼女はつぶやいていた。

僕は何も答えず、ただ聴いていた。
聴くことしかできなかったから。

大丈夫。と、
そっと唱える。

必ず逢

もっとみる
透明な光へ。

透明な光へ。

僕は大丈夫。大丈夫だから。
これだけ自分と向き合ってきたのだから。
大丈夫。
.
.
でも、大丈夫だと、ただただ自分に言い聞かせていただけだった。

根本は何も変わっていなかった。

どこか俯きがちで、誰にも見られないように..見られないように..って。

でも気づいてもらいたくて。

矛盾している自分が嫌で。受け入れられなくて。

だから、どれだけ素敵で温かい言葉をもらっても、心のどこかで拒否し

もっとみる
僕はずっとグレーのまま。

僕はずっとグレーのまま。

僕は名前のない傷みを抱えている。

透き通るような青空を見上げるとき。
真っ黒な夜空に瞬く星々を見上げるとき。
あまりの美しさに...いや..違う..
いつになったら美しいものを美しいと想える日が訪れるのだろうか。

僕の心にはいつも何かがあって。
その何かにいつも引っ張られている。
一筋の光もすぐに消えてなくなってしまいそうで。風のように流れてしまいそうで。
そうやって、いつも僕を置き去りにする

もっとみる