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《超適当雑記119》2023年12月5日(火)【命日に思う父親の面影】

〚1632文字〛
こんにちは。入谷です。
今日は父親の命日時が経つのは早いもの、亡くなってからもう24年が経ちます。
2年前にも父親に関する記事を書いたのですが、今回はその続きみたいなものです。 

小学5年の頃、僕には仕事がありました。 
小遣いはありません。

父親が風呂に入るとそれが合図で、
押し入れから出した簡易テーブルと椅子を居間へ運び入れ、
棚から持ってきた手提げ箱を開いて、
必要なものを使用する順番に取り出して台の上に並べていきます。  

父親直腸がんのステージ4と診断されたのは39の時。腫瘍が肛門から近いため、手術後1年間は人工肛門での生活を余儀なくされました。

大病をしても生活態度は変わらず、仕事は真面目に行くものの、それ以外の時間は全てギャンブルという人間でした。

それでも病気になってからは参勤交代から日勤仕事となり、夜には必ず家にいるようになりました。
入浴後にする、人工肛門の衛生ケアがあったからですね。

風呂から上がった父親が、僕の用意した椅子に座るとその処置を始めます。
左側腹部に付けていた保護用入浴シートを取り外すと、むき出しになった臓器があらわれます。

まずは患部周辺を消毒してガーゼで拭き、軟膏や薬剤を塗ってから、
新しい固定具を装着するのですが、
患部の形状や大きさは個人で違うため、
専用の湾曲したハサミで不要な部分を切り落としていきます。
僕は手術室の助手のように次に使うものを手渡したり、汚物入れのポリ袋を広げて手伝いながらその様子を見ていました。


人工肛門の人にとって一番の恐怖人前でストーマが外れてしまうことでしょう。
父親も朝出勤したと思ったら、不機嫌な様子で帰ってきて、漏れた便が足から垂れているといったことがよくありました。 

長年エネルギー関係のプラント管理業務の現場仕事をしていた父親ですが、病気以降、日勤の事務仕事へ移動となりました。
慣れないパソコン業務、次第に会社から戦力外に追いやられていく悔しさや切なさ、 
思い通りにならない身体、 
特にストーマから便が漏れて早退してきた日などは自棄を起こし、もうずっと一日パチンコに入り浸るという感じでした。

「なんでパチンコ行くんだよ!!」
「うるせえ、お前には関係ねえ!!」  
 
そんな口論一度だけありました。 

もっと父親らしいことをしてくれよ・・) 

なんでパチンコなんかに人生の貴重な時間を使ってしまうのか。もうすぐ死ぬのに。
中学2年の僕には、どうしても父親の行動を理解することができませんでした。

最終的に消費者金融や親戚から金を借りてギャンブルに明け暮れていった父親
人工肛門を閉じた後は腸閉塞になって入退院を繰り返し、その入院中にがんが肺や脳に転移していることが分かって余命宣告され、42で逝った父親

職場で変に気を遣われて阻害されることに大変な辛さを感じていたらしく、自分は役に立たない人間、と、仕事への意欲を失ってしまったことを嘆いていました。
借金に追われていましたから、家にも職場にも父親の居場所はきっとなかったのだと思います。 

しかし病気を患った人間ひとり1人の苦しみがあったからこそ新薬の開発が進んで医療技術も発達し、クオリティオブライフ、
患者にとっての生活の質が向上していったのです。

現在では身障者トイレの設備が各所で拡充されて、ストーマ(人工膀胱/肛門)の患者にとって安心できる環境が整っています。 
またメディアや配信者のおかげで、大腸がんや人工肛門患者に対する世間の認知度理解も深まり、昔に比べたら格段に過ごしやすいになったと思います。

僕はギャンブルが苦手なので、
勿論パチンコやスロットには行きませんが、
そこにも今はしっかりとした清潔で便利な身障者用・多目的トイレの設備があり、人工肛門をつけていても気兼ねなくパチンコを楽しめる場所となっています。

ではでは、ここまで読んでくださりありがとうございました。そして、明日が皆様にとって素晴らしい1日となりますように。。





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