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OMOI-KOMI 我流の作法 -読書の覚え-

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私の読書の覚えとして、読後感や引用を書き留めたものです。
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2021年6月の記事一覧

世界一やさしい問題解決の授業‐自分で考え、行動する力が身につく (渡辺 健介)

世界一やさしい問題解決の授業‐自分で考え、行動する力が身につく (渡辺 健介)

 ロジカル・シンキングの「きほんのき」を中学生向けに解説した本です。
 分かりやすい絵をふんだんに入れて、親しみやすい口調で説明が進んでいきます。

 主として利用しているのは、「ロジックツリー」による階層化です。
 それを活用して実際に問題を解決してゆく過程を、中学生にも身近に感じるようなストーリーに仕立てて解説しています。

 100ページ程度の本ですから、説明内容は一般的で目新しいものがある

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同じ年に生まれて-音楽、文学が僕らをつくった (小沢 征爾・大江 健三郎)

同じ年に生まれて-音楽、文学が僕らをつくった (小沢 征爾・大江 健三郎)

 本書は、世界的に著名な指揮者である小澤征爾氏とノーベル賞作家の大江健三郎氏との対談録です。

 以前、小澤征爾氏の著書「ボクの音楽武者修行」を読んだことがあるのですが、その流れで手に取ったものです。

 お二人とも1935年に生まれた同世代で40年来の友人とのこと。若い頃からそれぞれの道をめざし、現在の地位に至っています。
 音楽と文学、異なる世界ではありますが、お二人のお話の中には、そういった

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物理法則はいかにして発見されたか 新装版 (ファインマン)

物理法則はいかにして発見されたか 新装版 (ファインマン)

物理の法則 以前読んだ「ブックガイド文庫で読む科学(岩波書店編集部)」で紹介されていたので、読んでみました。

 著者のファインマン氏(Richard Philips Feynman(1918~88))は、アメリカの理論物理学者です。
 1942年にプリンストン大学で原子爆弾開発のためのマンハッタン計画の初期段階に加わり、翌年からはニューメキシコ州のロスアラモス研究所で終戦までその仕事を続けました

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自助論‐自分に負けない生き方 (S.スマイルズ・竹内 均(訳))

自助論‐自分に負けない生き方 (S.スマイルズ・竹内 均(訳))

明治のベストセラー 明治初期、1871年に、中村正直が「西国立志編」として訳出したサミュエル・スマイルズの「Self-Help」を、著名な地球物理学者竹内均氏が現代において訳し直した本です。

 「天は自ら助くる者を助く」という言葉はあまりにも有名です。
 著者によると、「自ら助ける=自助」とは「懸命に働いて、自分で自分の運命を切り開くこと」だと言います。

 この「自助」の精神を根づかせるべく、

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千年、働いてきました‐老舗企業大国ニッポン (野村 進)

千年、働いてきました‐老舗企業大国ニッポン (野村 進)

老舗の真髄 この本、だいぶ以前、会社の先輩がBlogで紹介されていました。
 日本のものづくりの老舗19社を取り上げ、その会社の今に続く「秘訣」を軽い筆致で紹介していきます。

 登場する企業は、社名を聞いても(私は)ほとんど知らない会社ばかりでしたが、その老舗の技術が活躍するシーンは、まさに先端技術が集約された製品の心臓部であったり、代替不可のクリティカルなパーツであったりします。

 そういう

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カウンセリングとは何か (平木 典子)

カウンセリングとは何か (平木 典子)

 以前から職場のメンタルヘルスについて気になっているので、このBlogでもメンタルヘルス関係の本をいくつか紹介しています。
 それらの本には、等しく「コミュニケーション」の重要性が書かれています。もちろん、その中心は、「日頃の職場でのコミュニケーション」です。

 他方、専門的なケアとしてEAP(Employee Assistance Program)も活用されはじめたようです。専門スタッフによる

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ここだけは行ってみたい 秘境を巡る景色 (世界名景紀行)

ここだけは行ってみたい 秘境を巡る景色 (世界名景紀行)

 以前に、「地球の果てへ-世界秘境」という写真集を眺めたことがありますが、その流れで手に取った本です。

 ギアナ高地のエンゼルフォールやトルコのカッパドキアといった有名どころに加えて、モーリタニアの巨大クレーターやオーストラリアのピンクレイクといった珍しい風景も紹介されています。

 色彩の美しさという点では、これ以上の透明感は想像できないような南国の空と海のブルーに勝るものはありません。
 ま

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フューチャリスト宣言 (梅田望夫/茂木健一郎)

フューチャリスト宣言 (梅田望夫/茂木健一郎)

ネットの思想  当代流行のオピニオンリーダである二人、梅田望夫・茂木健一郎両氏の対談を中心にした構成です。

 梅田氏の本は、「ウェブ進化論」、「ウェブ人間論」に続いて3冊目です。その点、梅田氏からの情報としては、これはという目新しいものはありませんでした。強いて挙げるとすると「広告に関するグーグルの思想」でしょうか。

(p23より引用) グーグルという会社はいろんな意味で思想を先につくります。

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環境問題はなぜウソがまかり通るのか (武田 邦彦)

環境問題はなぜウソがまかり通るのか (武田 邦彦)

 少々過激なタイトルの本です。
 ちょっと話題になっているということだったので、手にとってみました。

 著者の武田邦彦氏の主張は、環境問題を取り巻く情報の誤謬を指摘するところに始まり、誤報に至る動機や背景、さらにはその根本原因としての現代人論にも及びます。
 動機や背景についての主張内容については、さもあらんと感じるところもありますが、反論も出るところだと思います。

 事実としての「情報の誤謬

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軍艦島-眠りのなかの覚醒 (雑賀 雄二)

軍艦島-眠りのなかの覚醒 (雑賀 雄二)

 「軍艦島」。
 長崎半島の南西海上に浮かぶ端島の別名です。

 端島では1810年(文化7年)石炭が発見され、明治に入り海底炭坑の開発が本格化しました。1916年(大正5年)には日本で最初の鉄筋高層アパートが建築されたのをはじめ、50年代には周囲1kmほどの島に炭鉱関係者や家族ら5000人以上が暮らし活況を呈しました。
 狭い島内に続々と高層アパートが立ち並び、島の外観が戦艦「土佐」に似ていると

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伝える力 (池上 彰)

伝える力 (池上 彰)

 著者の池上彰氏は、元NHKの記者・キャスターの方です。
 まさに本書のテーマの「伝える」という点ではプロフェッショナルです。

 本書は、「伝えるプロ」である池上氏が、コミュニケーションの基本である3つ(「話す」「書く」「聞く」)の能力について、その向上のための秘訣を開陳したものです。

 説明そのものは、著者自身の経験に基づく多くの実例を示しながら、平易な言葉でわかりやすく進められます。
 た

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クルマの渋滞 アリの行列 -渋滞学が教える「混雑」の真相- (西成 活裕)

クルマの渋滞 アリの行列 -渋滞学が教える「混雑」の真相- (西成 活裕)

 いつも読書の参考にさせていただいている会社の先輩が、以前「渋滞学」という本を紹介されていました。
 そのときから読んでみようと思っていたのですが、今回、その本の著者の西成活裕氏が同じテーマでさらに素人向けの本を出したので、そちらを手にとってみました。

 著者の西成氏の専門は、「非線形動力学の数理と応用」という物理学の分野らしいのですが、本書において、「渋滞学」という自ら創設した新たな学問ジャン

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人生の鍛錬-小林秀雄の言葉 (新潮社編)

人生の鍛錬-小林秀雄の言葉 (新潮社編)

小林秀雄の「見ること」 小林秀雄氏の評論は、私たちの時代では、高校から大学のころ多くの人が一度は触れているのではと思います。
 私にとっても、本当に久しぶりの「小林秀雄」です。

 本書は、小林氏が1929年文壇に登場して以来の時間を14の期に分け、その時々の作品からの「言葉」を精選して並べています。前後の文脈を捨象した抜粋という形式には賛否があろうかと思いますが、それでも刺激になることは確かです

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地球の果てへ-世界秘境の旅82 (ロムインターナショナル)

地球の果てへ-世界秘境の旅82 (ロムインターナショナル)

 時折、本選びの参考にさせていただいている「ぶっく1026」さんが紹介していた本です。

 収録されている土地や事物は、最近流行の「世界遺産」的なものもありますが、もっと素朴であったりワイルドであったりしています。

第1章 一度は行きたい異郷の果て
第2章 聖なる地を求めて
第3章 未知なる文化との出会い
第4章 人類の遺産を歩く
第5章 知られざる都市、地域
第6章 動植物の聖域

の6つのセ

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