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#小説
「&So Are You」第一話
プロローグ
照りつける太陽の光が、僕の背中をローストターキーの表面のようにこんがりと焼きつける。
目前に広がる湖面には零れんばかりの光の粒が溢れ、宝石箱を埋め尽くしたダイヤモンドみたいに煌めいていた。
この場所で共に長い時を過ごした僕たちは、なにひとつ色褪せることなく同じ輝きを放っているはずだ。
すべてあの頃のままに。
そうして君も、あの日のキラキラした笑顔のままで……。
耳を澄
「&So Are You」第二話
第一章 Missouri,1963 Summerポイズンド・ポップコーン
今日みたいに蒸し暑い一九六三年のある日に、君はこのミズーリ州の名前も忘れ去られるほどなにもない退屈な田舎町へとやって来た。その頃のアメリカはベトナムの反戦運動が活発で、ラジオから流れるニュースといえばそんな話ばかり。
アメリカ中が関心を持っていたそんな騒ぎの中でも、この町の人たちは別世界の話のように聞き流しているだけ
「&So Are You」第二十二話
誓い
「良い? この戦争にはアメリカの正義などどこにもないのよ? たとえこの戦争に勝ったとしても、アメリカはいずれ他の国から非難を浴び続けることになるわ! そんな無意味な戦いに、ベン、あなたが駆り出されて命でも失うことになったら馬鹿げてるわ!」
ハンナは振り返ると、激しく僕の肩を揺らした。
「逃げることと臆病なこととはまったく違うのよ! あなたのそのきれいな心を、国の利権のために汚されたく
「&So Are You」第五十話(最終話)
エピローグ Missouri, Later新たな家
やがて、親しい友人や家族が僕の前から去っていき、そしてさらに時が流れた。
慣れ親しんだトウモロコシ畑と、グレッグの愛したリカーショップ、そして金物屋くらいしかないこの退屈な町が、どれほどにその姿を変化させていったとしても、ただこの湖だけは、今も昔も変わることなくこの場所に在り続けた。
どんなに町が姿を変えても、たとえ、この目が光を失っ