縁とレジリエンス
人生において、友人関係は常に変化し続けます。
私にとっては、社会人になって出来た大切な友人を私が病気になったタイミングで哀しくも失うことになりました。
その繋がりを「縁」という日本的な概念で捉えており、立ち直り方も含めて、もし良かったら同様の出会いや別れといった経験をしたことがある人は共感していただけると有り難く思います。
親しい友人との別れは辛い経験です。不可抗力であっても、相手から切られる場合であっても、自然消滅でも哀しさが存在します。この友人関係については、多くの場面において人生を豊かにする半面、別れの際の哀しさが同居する場合がありますが、「縁」の視点から友情を見つめ直し、立ち直り方を知ることで、人生の糸を豊かに紡ぐことができるのではないでしょうか。
別れは、喪失感、悲しみ、怒り、もどかしさなど、様々な感情を引き起こします。これらの感情はごく自然なものであり、まずはそれらの感情を素直に受け入れることが大切だといえます。
日本文化における「縁」とは、人と人との繋がりが運命的なものであるという考え方にもとづきます。この考えに基づき、私は人生という全体的な流動性と一時的な点と点が繋がるという出会いと別れ自体に意味がある意味をもたらすと考えています。どんな些細な別れ方をしたとしても、哀しかったとしても、この視点から捉えると友人との別れも人生の一つの節目であり、過去に対する意味づけを行うと共に、新たなステップに進む機会とも捉えることができます。
ただ、友人との別れは辛いです。こんな時に「レジリエンス」という考え方を知ることは私は大事だと考えています。
「レジリエンス」とは、逆境や困難な状況に直面した際に、その状況にどう適応し、その困難をどう乗り越え、回復していく能力のことを指しています。
友情と別れという困難で辛い経験においても、このレジリエンスを意識することで、単に耐えるだけではなく、積極的な適応に繋げることができます。このレジリエンスという概念は、固定的な特性ではなく、経験や学びを通じて培うことができる一種の技能と捉えることができます。
この人生という旅において、友人との別れを通じて、「レジリエンス」を発揮することは、状況を乗り越えるだけでなく、旅の中における他の側面においても大きな財産になり得るとも考えることができるのではないでしょうか。
では、友情と別れを乗り越え、レジリエンスを育む為にどうすればいいのでしょうか?
これらのステップは、困難な時期を乗り越え、よりしなやかに強くなる為の道筋を示してくれます。
▼感情を認識して、受け入れる
友人との別れは、悲しみ、怒り、不安、寂しさなど、様々な感情を引き起こします。まずは、これらの感情に真摯に正面から正直に向き合うことが第一歩となります。感情を抑圧するのではなく、認識し、受け入れることが肝要ということができます。
例として、日記などで日々の感情を言葉にしたり、信頼できる家族やパートナー、友人などに気持ちを話すということが挙げられます。
▼自己反省と機会を見出す
関係性の終わりには必ず理由があります。それがしょうもないことであれ、仕方がないことであれ、考え方の違いであれ、理由は存在します。大事なのは、この経験を自己理解を深めて次のステップとする機会として捉えることが必要です。つまり、自分の行動や考え方を振り返った後に、将来の関係性に活かせる教訓を見つけることが必要と考えます。
具体的には、「この友情から学んだことは?」「自分の言動で改善できた点はどこか?」「この経験を今後にどう活かすか?」という問いを立ててみることです。
この問いを通じて、自分をメタ的に俯瞰的に捉えることが可能だと考えています。
▼セルフケアと新しい挑戦
心身の健康を維持することは、困難な時期を乗り越える上で非常に重要です。特に、心の状態は引きずる場合も多くあるので、心身ともに健康な状態をつくることで次の一歩を踏み出しやすくなります。
同時に、何か新しいこと、新たな繋がりに挑戦することで、気持ちを取り戻し、新たな可能性を見出すことができるのではないでしょうか。具体的には、新しい趣味や長年やりたかったことを始めるなどが事例として挙げられます。
▼他の人間関係の強化
一つの友情が終わっても、人生が終わることは決してありません。乗り越えるのは大変なことですが、人生には多くの素晴らしい人間関係が存在します。自らを構成する大切な家族やパートナー、他の友人との絆を深め、時間を多く取ることで、複数の点で心の支えを得ることができるのではないでしょうか。
▼希望を持つ
大事なのは、過去に囚われず、未来に目を向けることです。新たな目標を設定したり、別の人との繋がりを作ったりして、人生を他の人と共に歩むことで、新しいページを見つけることができるのではないでしょうか。
これらのステップは、決して一朝一夕で完了するものではありません。特に人間関係においては引き摺る場合も多くあるので、多くの時間をかけて、自分のペースで一歩ずつ歩んでいくことが大切です。
困難な時期を乗り越えるたびに、あなたのレジリエンス能力は強くしなやかになっていきます。
そして、この乗り越える経験を通じて得たことは、あなたの未来における人間関係において、かけがえのない財産となり得ます。
私は、「レジリエンス」という概念を「柳のしなやかさ」という比喩に例えたり、共通点を見出したりすることができると考えています。
これらの考え方は共に、困難に対する適応力と回復力を象徴しているのではないでしょうか。
柳の枝が強風に対してもしなやかに曲がりながらも折れずに元に戻るように、レジリエンスを持つ人も逆境に柔軟に対応し、回復する能力を持っていると言えることができます。その時に大事なのは、「柔らかさ」「強靭さ」「回復力」「環境変化への適応」という要素で共通点を見出すことが可能です。
この比喩は、友人との別れという文脈でも、柳のようなしなやかさと強さを持つことが、レジリエンスを発揮する鍵と言えます。
そして、別れを乗り越えるということだけでなく、「縁」を大切にするという心構えを忘れないでいることが大事だと考えています。
「縁」は、点と点が繋がったり離れたり近くなったり遠くなったり大きくなったり小さくなったりを繰り返しますが、過去の関係性に感謝をすることで、将来の再会や次の別の素敵な繋がりの可能性を心に留めておくことで、より豊かな人間関係を築くことができるのではないでしょうか。
時間は大きな癒し手です。日々を重ねるごとに、過去の経験を新しい視点で見られるようになり、自己理解も深まっていきます。この過程において、かつての友人に対する見方も変化していくと言えることができます。
そして、もしいつか再会の時が訪れたとき、あなたは十分に成長し、寛容さと理解を深めていると理想と言えることができます。レジリエンスを育み「縁」を大切にする心を持ち続けることで、「再度、出会ることができた際、笑顔で接することができる」という理想的な状態に近付くことができるのではないでしょうか。
この状態は、単に過去の傷が癒えたということではありません。お互いの成長を認め合い、新たな各々の状況で刺激し合い、新たな関係性を築く準備ができたということを意味します。それは人生経験によって磨かれた、より深い友情の始まりと言えるのではないでしょうか。
人生という旅は、出会いと別れの連続です。哀しい気持ちが起こることも度々あります。
しかし、「レジリエンス」と「縁」の概念を調和することで、別れも新たな始まりの種となり得るのではないでしょうか。
笑顔で再会できる日を楽しみに、今日も一歩を踏み出しましょう。
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