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恋日記

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愛から、恋にならない恋まで
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#エッセイ

恋人に会いたい

恋人に会いたい。

30歳にもなって、付き合って8年の恋人にこんなに恋焦がれるなんて、聞いて呆れる。でもしょうがない。数年前はいつまでこんなに恋人のことが好きなのだろうと好きすぎて不安になることもあったけれど、最近は開き直っている。

だって好きなんだもん。しょうがないよ。

わたしの仕事始めは2月。ここしばらくは家にいて勉強するか本を読むか筋トレするかみたいな生活を送っていて、ご時世もあり人と会

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2020年の終わりに

2020年の終わりに

大晦日のためにと奮発して買ったお寿司と年越しそばを食べ終わると、お酒を飲んだ彼は眠くなったのだろう、そのままベッドに寝転がってしまった。買い出しも夕食の準備もしてくれたのは彼なので、寝息を背中に聞きながら片付けをする。毎年、年末年始は海外に行くか実家に帰るかしていたのだけれど、どちらもできなくなった今年は初めて彼と過ごす年越しだ。

少し前に、こんな記事を書いた。

11月の時点で2020年のうち

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幸せでいるために嘘をついてね

幸せでいるために嘘をついてね

「わたしのことを大切に思うなら、嘘をついてね。たとえあなたが浮気をして、わたしが気づいて問い詰めたとしても、わたしと別れたくないなら絶対に認めないで」

これはわたしが常日頃から彼に口酸っぱく言っていることだ。彼の浮気を疑ってるとか、ふたりの間に何か問題があるわけじゃない。そんなことする人じゃないのは知っている。彼の会社にはわたしより素敵な人がたくさんいることも、そんな人たちと連日飲み会に行ってい

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彼のことが好きすぎる

彼のことが好きすぎる

昨日は長時間のドライブで疲れ切っていた彼。

家に帰ると歯磨きとシャワーを5分で済ませ、すぐにベッドに潜り込んでいた。つられてわたしもうたた寝をしてしまったけれど、お風呂に入らねばとハッと起きる。
彼はわたしが起きたことに気づいたのか、お酒で真っ赤になった顔を上げ、眠そうな目を開けて、ん、とキスを求めてきた。その表情があまりにもかわいくて、もう悶絶だよ、わたしの顔面はR指定だったよ。

朝、わたし

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旅先で彼が想う人

旅先で彼が想う人

彼が地元の北海道に、旅行を兼ねて帰省していた。旧友と会ったり、家族とご飯を食べたり、少し遠出して一人ドライブをしたり。

彼は始終とても楽しそうにしていて、わたしもそんな様子をみているのが嬉しくて。けれど何より心に響いたのは、彼からのたくさんの言葉だった。

「みどりが好きな景色だよ」
「助手席にみどりがいないと変な感じ」
「これ、みどりが絶対好きな味」
「一緒にきたら楽しいよ」

ねえねえ、もし

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7年前の恋愛に叱られた日

ふと、いつもと違う音楽が聴きたくなって、Apple musicを開いた。For youの画面を少しスクロールしたところに、そのアルバムは現れた。

電車の中でこのアルバムを聞いていたらなんだかいても経ってもいられなくなって、家に帰ってこうしてnoteを書いている。

nano.RIPEは当時付き合っていたアイツから教えてもらって、好きになったアーティスト。
ヘビメタとアニメとネトゲが好きなアイツと

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必要な寂しさ

必要な寂しさ

「10月に実家の北海道に帰るね」と彼から連絡があった。どうやらお母さんが怪我をして、そのお見舞いに行くらしい。
お大事にしてね、いってらっしゃい。と伝えて、その話題は終わった。

実家に帰る、その言葉を聞いたとき、胸の奥がぎゅっと痛んだ。
別に、連れて行ってほしいとか、挨拶に行きたいというわけじゃない(もちろん、彼のお母さんのことは心配している)。
それにもともとその日程はわたしも予定があって、彼

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永遠も一瞬も、同じこと。

彼と付き合って6年目になることを話すと、よく聞かれることがある。

「どうやったらそんなに長く付き合うことができるの?」

今まではなんとなく、一人の時間を大切にすることかな、とか、ちゃんと好きって言うことかな、とかそれっぽいことを答えていた。

たぶんそれも間違いではないけれど、どこか自分自身、腑に落ちないところがあって。

だって長く付き合い続ける理由とかコツとか、そんなことを考えたことなんて

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半分このわたしたち。

半分このわたしたち。

朝、わたしのアラームで、彼のほうが先に目を覚ました。朝と夢の間をさまようわたしをよそに、少し暑かったのか、彼が窓を開ける。梅雨特有の冷たくて湿った空気が部屋に流れこんでくると、彼は再び眠りについた。そうか、彼は今日休みと言っていたなあと、ぼんやりした意識のなか思う。

だんだん少し寒くなって、寝ている彼の腕の中に潜り込んだ。わたしは寒がりで、彼は暑がり。そんな彼の腕の中は案の定、ほかほかに暖かくて

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今度は一緒に行こうね

今度は一緒に行こうね

今日は彼が晩ご飯にネパール料理を食べに行っていた。写真だけ送られてきて、わたしはインドやネパールの料理が大好きだからいいなあ、なんて思ってて。

彼はわたしをからかうことが生きがいのひとつなので、おいしいお店を見つけて誘っても、なかなか一緒に行こうとは言ってくれない。わたしが一緒に行きたいと言って拗ねているのを見るのが楽しいみたい。

わたしも、「じゃあいいもん」と言えたらいいのだけど、馬鹿正直に

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14歳の教室。

14歳の教室。

すれ違った瞬間が、永遠に感じられるような恋だった。

もしも、恋を選ぶことができるのなら。好きになる人を選べるというのなら、わたしは決して彼を好きにはならなかっただろう。

彼はわたしの親友であるMに、恋をしていたのだから。

叶わないことなんてわかっていたのに、崖の上から滑り落ちるように、気づいたらその恋の淵に立っていた。
彼は毎日まいにち、Mと話すために教室に通っていた。側から見れば、彼がMの

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旅する日本語コンテスト、優秀賞を頂きました。

旅する日本語コンテスト、優秀賞を頂きました。

去年の夏ごろnoteで募集があった、私の旅する日本語2018 コンテスト。

先日note運営事務局の方から連絡があり、わたしのエッセイ「逃げこんだ先に出会った人」が優秀賞を受賞したと連絡を頂きました!

▼受賞したnoteはこちら

▼受賞発表された記事はこちら

(note運営事務局の方からは優秀賞と連絡を頂きましたが、こちらでは片岡鶴太郎賞になっています)

1月中に「旅する日本語展20

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逃げこんだ先に出会った人

逃げこんだ先に出会った人

『好きかどうか、もうわからない』

あの夏、わたしの心が、わたしに告げたこと。
一緒にいると安らぐし、笑っていてほしいし、こんなに愛してくれる人、きっと他にいないのに。でも、それでも。

わたしは逃げるように、一人イタリアへ旅立った。

たくさんの人に出会った。
涙が溢れる景色にも、おいしくて感激したジェラートにも。

そしてなによりわたしは、あの夏のイタリアで、日本に残してきたはずのあなたに会っ

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友だち未満。

友だち未満。

今日はとても珍しい夢をみた。

昔付き合っていた彼と、再会した夢。

わたしは友だちだか知り合いだかのアパートにきていて、2階にある部屋の玄関の前でずっとその人を待っていた。
するとアパートの下の道路に、自転車がひとつ止まって。
視線を感じて下をみると、自転車に乗っていたのはその彼だった。

話を聞くと、どうやらその彼はわたしの友だちの部屋の、隣の隣に住んでいるらしい。
アパートの廊下で、どこから

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