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旅先で彼が想う人

彼が地元の北海道に、旅行を兼ねて帰省していた。旧友と会ったり、家族とご飯を食べたり、少し遠出して一人ドライブをしたり。

彼は始終とても楽しそうにしていて、わたしもそんな様子をみているのが嬉しくて。けれど何より心に響いたのは、彼からのたくさんの言葉だった。

「みどりが好きな景色だよ」
「助手席にみどりがいないと変な感じ」
「これ、みどりが絶対好きな味」
「一緒にきたら楽しいよ」


ねえねえ、もしかして旅行中、わたしのことばっかり考えてたって自惚れてもいいかな?

綺麗な景色をみていたら思い出しちゃったとか、一人でのドライブが物足りなかったとか、おいしいご飯を一緒に食べたくなったとか。

まるでわたしがイタリアに行ったとき、街中にあなたの姿を探したように。
目の前に広がる雄大な大地に、あなたもわたしの影や声を探してくれたのかな。

口数も多くなくて、あまりたくさんの想いを伝えてくれないあなただけれど。ただ好きだって言われるより、そんなふうにたくさんの想いを並べてくれるほうがずっと嬉しいよ。

何よりわたしがイタリアで出会った感情を、あなたも感じていてくれたのなら、幸せだな。






世界はそれを愛と呼ぶんだぜ