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【詩】Trust

【詩】Trust

「信じて貰えず悲しい」と
誰もが僕に言ったんだ
「あなたが大切だよ」と
誰もが僕に言ったんだ

「信じられなくて悲しい」と
僕は僕に言ったんだ
悲しみ踏みつけられて怒る僕に
「あなたは愛される資格がない」と
誰もが言ったんだ

誰も彼も
世界の全てが敵に見えて
僕はただ傲慢に
彼らに無益な戦いを挑んだ

ただ悲しませてばかりの君に
尊重と信頼を届けらないまま
離れても続く人生の物語で
君に本当の自

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【詩】Father's Day

【詩】Father's Day

「良く生きなければ、お父さんが化けて出るよ」

あなたへの同情は
私への呪いの言葉
障子を破く兄の指に刺された針
母から流れた3ミリの血小板

「どうせ何も変わらない」と
あなたがぶら下がった物置の
アスベストと諸行無常は、
世界中に飛び散り続け
悲しみを憎しみの連鎖に変えた

想像力と不安を鍛えた土蔵の隅
行李から出た子どもの純真は
理不尽に触れる度黒く汚れ

それでもまだ愛を信じられるなら

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【詩】日だまりカレンダー

【詩】日だまりカレンダー

3月曇天去って
日当たりの良い別れの午後
抱きついてきた小さな身体と
いつもの笑顔
会えなくなる寂しさ
伝えてくれたつたない言葉

思い出すのは
アパートに送り届けた帰り道
他愛もないお喋りと
手作りカレンダー
疲れて眠る助手席の寝顔は
見過ごしていた小さな幸せ

明日も明後日もずっとずっと
日だまりの中で笑って泣いて
元気でいて
大好きなアンパンマンと一緒にね

【詩】牡丹の沁み 雪景色と年賀はがき

【詩】牡丹の沁み 雪景色と年賀はがき

タツノオトシゴとかまぼこ板が
元旦に遅刻して 旧正月に出す余寒見舞い
小さな郵便局へと歩く道は
この地で初めての雪景色

自販機ミルクティーのぬくもりに甘えて
見上げる星空
誰も待ち望まない
迷惑で常識に欠けた年賀はがきを
何度ポストに食らわせたことだろう

使い道がない花梨を拾った
温泉街の灯を眺めれば
脳裏に浮かぶは
足元にまとわりついた
幼子をなだめる女(ひと)の
着物の袖からのぞく
牡丹

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【詩】いつもの公園 いつもの夜に あなたを想う

【詩】いつもの公園 いつもの夜に あなたを想う

日曜の夜 いつもの公園
普段より多いギター侍
ラブソングを聴きながら
ロマンスに浸る恋人達
仲間と騒ぐ若者たち

一緒に歌うラブソング
沢山の新しい出会いの中で
あなたの影は記憶の彼方へ
遠くなっていくのかな

これからは新しい誰かと
ありきたりな恋愛をするのかな
「それもいいじゃん」て
あなたなら言うのかな

誰かといても頭の片隅に残る
言葉と音楽のキャッチボール
コンディション最低なまま

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