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You're My Only Shinin' Star

 書くべきことが見つからない。
 「オマエさんに、”書くべきこと” なんてあったの?」
などと、早々に突っ込まれそうだが、いやいや、確かに "書くべきこと" はないが、毎回、何を題材にするか決めないと書き出せないから悩むのだ。
 何を題材にしてもいいのだから簡単だと思う人もいるだろうが、案外そうでもない。創作活動には「自由であることの不自由」というものがあって、自由であるが故に、多くの選択肢の中からひとつだけを選ぶことに苦労するのだ。

 たとえば、あなたが好きでも嫌いでもない、まったく興味を感じない同性10人の中から、自由にひとりを選んでくれと頼まれたら困らないだろうか? まったく興味がないのに、だ。
 そうではなく、「ヒラメ顔の人を選んで」とか、「鳩胸の人を選んで」などと指定されたほうが、まだ選びやすいと感じるのでは? だからオイラは、やたらメニューの多い飲食店が苦手だ。選ぶだけで疲れる。選択肢が多いということは、選ぶための負担も増えるので、結構、厄介なことなのだ。

 創作活動をしている人には、「自由であることの不自由」なんてことは、今さらな話だろう。それよりも、「どうすればあまり悩まずに題材を決められるのか」ということが本当の問題だろう(が、それは多分、自分自身で試行錯誤しながら見つける以外ないのだろう)。
 さしあたり、トレンドを題材にするにしても、ハマっていることを題材にするにしても、強く訴えたいことがないのなら、”書くべき” ことではなく ”書くべきとまでは言えない” ことを書けばいいのかもしれない。そういうことなら世間にあふれている。それは決して大勢の人が読みたいものではないのかもしれないが、オーストリアの作曲家、アルノルト・シェーンベルクがこんなことを言っている。

 —— もしも芸術ならそれは万人のためのものではなく、
     もしも万人のためのものならそれは芸術ではない ——
 
 ・・・落涙。芸術家になろうなんて思ってないが、ちょっとウルッと来る。
 
 書くべき題材が決められないことの裏側には恐らく、題材を決めたとしても、それを "本当に書きたいとは思えない" ということや、そもそも何かを "書こうという意欲が湧かない" という問題が隠れているのかもしれない。もしかしたら睡眠時間が足りていないのかもしれない。それなら、脳みそさんは疲れていることだろう。
 よし、寝よ~っ。睡眠負債の問題は深刻だとも言うし、よく寝たら状況が変わってくるかもしれない。

 結局、一貫したテーマが無いから、題材を決めるのにも、書きあげるのにも苦労するのだ。今回の作品もぐちゃぐちゃな状態に仕上がりつつある。が、そこはいい。どうせオイラはトンコツ雑文家・・・、あ、ポンコツ雑文家だから。
 ただ今回は、書けないときにやってしまいがちな、”書けない状況そのものを書く” ということをやってしまったので、ちょっとだけプライドが傷ついている。そういう切り抜け方はしたくなかったんだ。それなのに・・・。
 あ~あ。 

 だいたいさぁ、長続きするテーマや文章スタイルなんて、すぐに決まるもんじゃないんだよ~。ったく、どうすりゃいいのよ~。
 あー、だんだん愚痴っぽくなってきた。この問題は、また別の機会に考えることにして、やっぱ寝よう。ラジオでも聴きながら。・・・カチャッ。

  ♪ きみが大好き あの星空より 大好き 赤いワインより 

  ああ~、コーラスの子どもたちの声に慰められるな~。
 
  ♪ エヴリバディ セイ ヘポタイヤー!(ヘポタイヤー!)
 
 おお~、意味は分からないがすごい響きだ。悩みなんて何デモナイヤーって思えてくるよ。

 へぇ~、岡村靖幸の『だいすき』って曲なんだ~。

 ふ~ん。
 
 って、あれ? 

 これじゃない? 

 オイラが見つけられずにいたテーマ。
 
 いいよねぇ、絶対。
 
 これだよねぇ、絶対!

 わ~い、寝ようとしたら、いいことあった~。やっとテーマが見つかったよ~。
 うあああ、何も言えねぇ~。
 
 よっしゃあ! これからは「 "へポタイヤー"  みたいな文章を書く!」をテーマに、わやくちゃな作品たちを創っていくZ!


 親愛なるヘポタイヤーさんへ、
 辻仁成になりきって言います。

 ・・・やっと会えたね。※




※「やっと会えたね」
彼が、パリのシャルル・ドゴール空港で、初めて中山美穂と出会ったときに囁いたとされる言葉。


♬ 岡村靖幸『だいすき』
  作詞:岡村靖幸
  作曲:岡村靖幸


▬ ポンコツ文章術は、こちら。


Ⓒ2021  Namio Kotori


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