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ALL THE BRIGHT PLACES きたはらいたくな的芸術感想
死を考える若者へ向けた映画と言い切ってもいい。
観る人を限定してしまうかもしれないテーマで創られた作品だからこそ、届くということはある。
それくらい強く届けたい想いを創り手から感じた。
死を悼む、死を悲しむ、死を受け入れるはあくまでもこの世界に残されたものの価値観で。
フィンチが言うようにもし、あの湖は異世界に繋がっていたとしたら?
この世界での彼は変人かつ若くして自殺した悼むべき存在で
真夜中のディズニーで考えた幸せに働く未来 拝啓、先生へ②
拝啓、先生へ。
お元気ですか?
こんな風に定型文みたいなものを書くのはいかがなものかと思いながら、やっぱり書いてしまいます。
定型からはみ出すことも面白いですが、定型を守ることもまた面白い、ですかね。
突然ですが、先生は幸せに働いていますか?
先生はきっと働くことに幸せを感じていらっしゃるでしょうね。
わたしのことを気にかけてくれるくらいですし。
正直、わたしは働きたくありません。
アドラー心理学関連本 あるサラリーマンたちのランチ②
喫茶『ファニング』のマスターです。
今日も松岡さんと佐藤さんはいつもの席で何やら熱く語り合っています。
ふむふむ、今日はアドラー心理学について話しているみたいです。
佐藤:松岡よ、君に勇気はあるか。
松岡:急になんだよ、気持ち悪い。
佐藤:我々には勇気が必要なのだよ。
松岡:勇気って、たとえばどんな?
佐藤:たとえば……。そらお前、嫌われる勇気だろう。
松岡:ん?なんか聞いたことあ
ひとりが好きな人の上手な生き方 拝啓、先生へ①
拝啓、先生へ。
ご無沙汰しています。
お元気ですか?
健康第一がモットーの先生には愚問でしょうか。
そうであることを願っています。
わたしが先生から読書の面白さを教えてもらい、哲学についてのお話を聞かせてもらうようになって五年ほどになりますね。
なぜこんなことを書いているのかというと、先生がわたしに声をかけてくれた時のことを思い出すような本と出会ったからです。
それはひとりが好きな人
エヴリデイとサムデイ 2人だけの読書部①
この高校には読書部がある。
文芸部ではなく、読書部。
わたしはその読書部の顧問。
ここには2人の部員がいる。
翔くんと緑さん。
ここは2人だけの読書部。
これは彼らの日々の語らいの議事録。
翔: デイヴィッド レヴィサン、天才すぎるだろ。
緑:はいでた、翔の天才認定。あんたの天才認定はこのグミより軽い。
翔:緑だっておもしれーって言ってたじゃん。
緑:面白いよ。抜群に面白い。や
The Long Game あるサラリーマンたちのランチ①
午後12時。
陽当たりいい窓際にはいつもの彼らが座っている。
松岡くんと佐藤くんはこのあたりのオフィスのサラリーマンでおそらくは20代後半くらいの同期だ。
ここは喫茶『ファニング』で私はマスター。彼らは大切な常連さんというわけ。
二人とも仕事熱心な好青年なので、私は彼らが語り合うのを聞くとはなしに聞くのがとても楽しみなのだ。
なかでも二人が読んだ本について語り合うのを聞くのはとても勉強に
ここではないどこかの詩 2023.6.9
ボディソープを詰め替えるときうまく切れなくて穴が小さくなること、あるよね。
わかる。ちょろちょろしか出てこなくてさ、ウケるよね。
手も目も離せないあの時間ってなんもできないじゃん?
うんうん。
なんか、めっちゃ贅沢じゃない?
わかる、わかる。これ、めっちゃ非効率~ってテンション上がるよね。
わざとじゃない偶然のミスってのがいいんだよねぇ。
そうそう。偶然ってほんといいよね。
#詩
おもしろいの詩 2023.6.7
おもしろいは便利だ。
え、それ、おもしろいの?
うん、おもしろかったよ。
うーん、おもしろくなかったなぁ。
大抵の会話の中におもしろいはいる。
おもしろいさえいてくれたらなんとかなる感もある。
ぼくは確かに便利だよ。
おもしろいは言う。
でもね、ぼくでおわりにしないで。
ぼくでおわりはさみしいから。
おもしろくてもおもしろくなくても、ぼくでおわりにしないで。
そのさきまで、ぼ
プカプカデー 2023.6.6
生きていると、正解のない問いばかりに出くわす。
長い間、正解は?と聞かれて生きてきたのに。
あれはなんだったんだろうか?
正解がない問いはおもしろくて、少し不安になる。
問いの波にのれるときもあれば、のまれてしまいそうになることもある。
今日はなんだがのまれてしまいそうだから、浮き輪でプカプカ流されよう。
さぁ、どんなものが見つかるかな。
#詩 #マイワーク
ミューズの詩 2023.6.5
たとえきみが来てくれなくても、ぼくは毎日きみの家のドアをノックするよ。
たとえきみが顔を出してくれなくても、僕はそこできみの声や音を聴いて書くよ。
その音を聴いて、きみは顔を出す。
きみが好きなもの。
それは、僕が書く音。
きみの顔がみたいから、僕は毎日書くんだ。
できるだけごきげんに、時には真っ黒になりながら。
そんな僕に優しく微笑む、きみが好きだ。
#詩 #マイワーク
どんなにいい日でも。 2023.6.4
いい1日だった。
お祭りのような1日だった。
そんな日にも黒いあなたはやってくる。
あなたはそっと、わたしに囁く。
やっちゃえよ。
いっちゃえよ。
わたしは囁き返す。
やらないよ。
いわないよ。
でも、ありがとう。
あなたが黒くいてくれるから、わたしは生きていける。
いつもありがとう、わたしの黒い感情さん。
#詩 #マイワーク
ある日の美術館にて 2023.6.3
「クロードモネは晩年が素晴らしいね。視力を失っていく中で絵がどんどん抽象化していく過程は本当に興味深いよ」
「うんうん。そうだ、モネと言えばね、わたし、すごく好きな話があるんだけどね」
「お、どんな話?」
「この睡蓮の絵を観た子供がね、ここにカエルがいるよって言ったらしいんだよ。大人たちは大発見だと必死にカエルを探したんだけど見つけられなかったから、その子にカエルはどこにいるの?って聞いてみ