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箸操作の介入視点 ~“正しい使い方と持ち方”を理解する~
1,「正しい箸の使い方と持ち方」を理解する必要性箸操作へ介入する上で「正しい箸の使い方と持ち方」を理解しておくことは、自身の臨床推論を助けてくれる。ある決まった「使い方」や「持ち方」が正解という訳ではない。しかし、個別性がある事を重々承知した上でも、やはり軸となる視点(基準)をもっておく事は臨床の迷いを減らしてくれる。そのため、誤解を恐れず、あえて「正しい」という用語を用いることとした。
箸の「使
“遂行機能障害”を理解する③ ~治療的訓練と支援~
前頭葉機能障害を軽減するためのアプローチはまだ十分確立されておらず、認知リハビリテーションの分野においても最もエビデンスの少ない困難な領域と言われている。
今回は遂行機能障害に対する治療的訓練と支援について、三村(2004)を参考に目標の設定、計画の立案、計画の実行の3段階に分けた上で、いくつかの文献をもとにまとめてみたいと思う。
1, 目標の設定-外部からのコントロール発動性や動機づけといった
“遂行機能障害”を理解する② ~関連障害Action Disorganization Syndromeについて~
日常的多段階行為の遂行機能障害を捉えるにあたって“Action Disorganization Syndrome”を理解することは有益であり、障害像を説明する際に役立つことが多い。いくつかの文献を引用しつつまとめてみる。
1, Action Disorganization Syndrome(ADS)とは?Action Disorganization Syndrome(以下ADS)はSchwart
“遂行機能障害”を理解する① ~定義・症状・神経基盤・評価~
1, 遂行機能(executive function)とは?日常生活上の課題は目標指向的、あるいは問題指向的であるが、その目標や問題の設定は1つとは限らず、また目標達成のためのアプローチも複数存在することが多い。したがって、複数の目標(可能性)を考え、その中から適当なものを選択すること、それを効率的に達成していくことなどが求められる。また、1つの上位目標を達成するために、いくつかの下位目標を設定し
もっとみる立位での動的安定性~“垂直オリエンテーション”を理解する~
中枢神経疾患に関わる中で、下肢や体幹に筋力(支持性)があるにも関わらず立位が不安定、あるいは一時的に伸展することはできてもその姿勢を保持し続けられない、伸展とともに傾倒する…といった方に出会うことが少なくありません。
今回は立位での動的安定性を獲得するためにはどういった思考で介入すべきか。“垂直オリエンテーション”を理解し、構成要素の“順序性”(=介入の優先順位)について考えてみたいと思います。
運動制御と身体認知は表裏一体 ~コンパレータモデルを理解する~
運動意図・予測の情報と実際の体性感覚フィードバックの情報との間に不一致が生じ、それが継続すると皮質脊髄路の発火が低下する。そしてその不一致の程度が大きくなればなるほど自己の運動主体感が低下する。
これはWeissら(2014)、Shimadaら(2009)による報告であるが、私自身も臨床でよく感じることの1つである。運動制御と身体認知は表裏一体の側面をもっている。
今回は運動制御と身体認知を統一
セラピストに必要な知覚力を磨く方法②
1,知覚を歪めるもの―バイアスリスク
膨大な量の情報を処理しなければならない状況下ではこれまでの知識や経験などに基づいて判断を下すのが効率的かつ合理的である。しかしその反面、自動的に呼び起こされる過去の解がベースとなるため、より望ましい別の解釈が生み出されにくくなる。
ここで押さえておきたいのがバイアスリスク(risk of bias)である。バイアスと一言でいっても様々なものがある。著書『知
セラピストに必要な知覚力を磨く方法①
1,セラピストにとって大切な「知覚力」昨今、リハビリ業界ではエビデンスが重要視される風潮が強まり、「誰でも同じように結果が出せるリハビリ」が要求されるようにもなってきた。それはリハビリの価値を担保する上で大切な事ではあるが、一方で対象者の「個別性」を捉えた介入が置き去りになりつつあるとも感じる。
マニュアル化されたリハビリの流れはセラピストの迷いを減らしたが、その一方で思考は単調となりやすく、重要