餅辺

読んだり書いたりすることが好きな典型的ニンジャヘッズ(ニンジャスレイヤーのファン)です…

餅辺

読んだり書いたりすることが好きな典型的ニンジャヘッズ(ニンジャスレイヤーのファン)です。コラムとかオリジナルも書きます。

マガジン

  • ニンジャの二次創作

    「ニンジャスレイヤー」(ブラッドレー・ボンド&フィリップ・N・モーゼズ著)の二次創作作品群です。面白いと思ったらぜひ原作ニンジャスレイヤーもどうぞ。

  • ニンジャのゲームを作るマガジン

    Unityを用い、ニンジャスレイヤーの二次創作ローグライクを作っていく過程をまとめています。不定期更新。現在開発中のダンジョン画像(床、壁などのテクスチャ)には白螺子屋さん(http://hi79.web.fc2.com/)の画像を使用させていただいています。

  • サイコロシアン・ルーレット

    完結済み。クアドンの町に対立する2つの組織は、大きくなりすぎた『抗争』の現実的な落とし所として、ロシアンルーレットによる対決を始める。構成員が次々と命を落としていく中、陰謀の影が徐々に明るみに出ていく…… Header Photo by Dusty Barnes on Unsplash.

  • あじしめコラム

    最初のやつが意外と読まれたことに味を占め、だいたい週一で連載しているコラムです。コメントやスキ、フォローをいただけると大いに喜びます。

  • 逆噴射2019のまとめ

    逆噴射小説大賞2019への自身の投稿作などをまとめました。

記事一覧

固定された記事

サイコロシアン・ルーレット

全19話、合計49800文字(文庫本半冊ほど)。2019年12月に連載された同名小説の一気読み版です。連載版はこちらに。 ◆1瞳孔を大きく見開き、荒い呼吸を繰り…

餅辺
4年前
11

逆噴射小説大賞2023より個人的ピックアップ

🐐PICK UP!  こんにちは、わたしは餅辺です。あなたはインターネット上の奇祭、逆噴射小説大賞をご存じでしょうか。これは大雑把に説明すると、『最もエキサイティング…

餅辺
6か月前
19

月光を掴む

 病床から見える月が、僕の全てだった。  幼い頃からそうだった。夜空に輝く月が、欲しくて欲しくてたまらない。だからせめて眺めていた。朧な影でも構わない。月が見え…

餅辺
6か月前
15

夜を突き抜けろ

 限界速度などとうに振り切っていた。深夜のハイウェイに悲鳴じみた走行音を響かせながら、俺はバイクの更なる加速手段を模索し続けた。  だが、遅かった。後頭部に激痛…

餅辺
6か月前
18

【リモート・ボンド、リライアブル・ボット】

【この作品は『ニンジャスレイヤー』の二次創作小説です/約42000文字】 #1 『ナボタタ・リゾートへようこそ!』 『そこは地上の楽園! 晴れ渡る空! 青い海!…

餅辺
1年前
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マージナル・ライフ

夕焼け空の下、そよそよと揺れる稲穂の海をアキアカネが飛んでいた。俺は思わず足を止め、その羨ましいほど調和の取れた光景を眺めていた。 「東くん」 振り向くと中年の…

餅辺
1年前
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うとみ姫とがらくたの玉座

あ、またか。庭先に投げ入れられたゴミを見て、亜子はため息を吐いた。このところ毎日だ。道路に面した家は便利に見えて、こうした気苦労が絶えない。 母は庭に異物がある…

餅辺
1年前
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【ピックアップ】逆噴射小説大賞2021より21作品

よくきたな。わたしは餅辺です。 鮮やかなタイトルと趣向を凝らした800文字の書き出しのみで、どれだけ次のページを捲りたくならせるかを競いあう。そんな熱き戦いが繰り…

餅辺
2年前
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ブロックチェーンの神々

まず一つ、アンタにハッキリ言っておくと、この俺、赤坂悠斗の最終目標は神になることだった。 ただ、神と言っても天地を創造する超常的な存在でもなければ、運動や芸術の…

餅辺
2年前
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黄昏どきのすれ違い

人差し指と中指の違いが、父さんには理解できないらしい。そんな意地悪な感想が浮かぶほど、父は同じ失敗を繰り返していた。言われた通りに弦を押さえるのがそんなに難しい…

餅辺
2年前
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ビターエンドにまだ遠く

銃弾にはあり得ない軌道に、ジェスは目を見開いた。その額に風穴が空き、血飛沫が跳ねた。 やった。ウィルは目を細めた。ジェスの撃ち返した弾がまっすぐに額を捉えたこと…

餅辺
2年前
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クリスマスプレゼント『だろ』が『だよ』じゃないから好きだという話

こんにちは。わたしは餅辺です。 突然ですが、あなたは『ブレンパワード』という作品を知っていますか? 非常に特徴的なセリフ回しがネタにされることで(一部で)有名な…

餅辺
3年前
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ニンジャのゲームを作る - ⑧体験版公開のお知らせ

←前回 お久しぶりです。前回告知の通り(相当ギリギリですが)製作中のニンジャのゲームの体験版が完成しましたので、公開します。 ●12月5日追記 難易度を調整したバー…

餅辺
3年前
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ニンジャのゲームを作る - ⑦続々:進捗報告と体験版について

お久しぶりです。製作中のニンジャのゲームについての進捗報告です。 ●はじめに Q.どれくらい完成したの? A.現状の完成度については以下の通りになっています。 …

餅辺
3年前
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竜童を看取る

ネフテラ峡谷に降り注ぐ雨。それは紅竜ヴルムドの死を嘆き、天の流した涙のようだった。雨は絶え間なく降り、かの竜の亡骸をしとどに濡らし、紅黒の血を洗い流す。それはや…

餅辺
3年前
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胡蝶の夢よ、もう一度

あ、と胡蝶は立ち止まると、くるりと制服を翻し、二人に尋ねた。 「ところでさ、連中の本拠地ってどこ?」 「呆れた。知らないで先行ってたわけ?」 「まあね」 で、ど…

餅辺
3年前
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サイコロシアン・ルーレット

サイコロシアン・ルーレット

全19話、合計49800文字(文庫本半冊ほど)。2019年12月に連載された同名小説の一気読み版です。連載版はこちらに。

◆1瞳孔を大きく見開き、荒い呼吸を繰り返す。視線の先には直径20cm程度の鉄の椀。そしてその隣には何の変哲もないリボルバー式拳銃と、布切れが1枚。

「ハァ、ハァ、ハァ……!」

男の握りしめた右手にじっとりと汗がにじむ。手のひらから溢れた汗が腕を伝い、脇へと流れていく。その

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逆噴射小説大賞2023より個人的ピックアップ

逆噴射小説大賞2023より個人的ピックアップ

🐐PICK UP!

 こんにちは、わたしは餅辺です。あなたはインターネット上の奇祭、逆噴射小説大賞をご存じでしょうか。これは大雑把に説明すると、『最もエキサイティングな小説……の冒頭800文字+タイトル』で覇を競い合うコンテストです。

 開催は今年で6回目。応募総数はなんと約300。わたしは全作品読破しましたが、どれも多様性に富み、わずかな文字数の中に趣向を凝らしたパワーあふれる作品ばかりで

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月光を掴む

月光を掴む

 病床から見える月が、僕の全てだった。

 幼い頃からそうだった。夜空に輝く月が、欲しくて欲しくてたまらない。だからせめて眺めていた。朧な影でも構わない。月が見える、ただそれだけで嬉しかった。

 そんなある日、僕は見つけた。手のひらを夜空に伸ばし、角度を変えて片目で覗けば、月は手の上にある。幼稚な錯覚も僕にとっては魔法だった。病も寿命も些末な悩みになった。だって僕は月を手にした男なんだから。

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夜を突き抜けろ

夜を突き抜けろ

 限界速度などとうに振り切っていた。深夜のハイウェイに悲鳴じみた走行音を響かせながら、俺はバイクの更なる加速手段を模索し続けた。

 だが、遅かった。後頭部に激痛。額が突き破られ、脳漿と弾が飛び出した。

「クソが!」

 痛みを堪えて急カーブを切る。後方で衝突音。だが一つだけだ。弾丸の雨は引き続き飛んで来る。割り切れ。そう自分に言い聞かす。ハンドルさえ握れれば進める。

「そうそう、偉い偉い」

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【リモート・ボンド、リライアブル・ボット】

【リモート・ボンド、リライアブル・ボット】

【この作品は『ニンジャスレイヤー』の二次創作小説です/約42000文字】
#1

『ナボタタ・リゾートへようこそ!』

『そこは地上の楽園! 晴れ渡る空! 青い海! 忙しい日常を離れ、雄大な自然でリフレッシュしよう! 飛行機? ポータル? 一切不要! UNIXデッキの前から本物の南国体験! バーチャルではありえない感動をあなたに! エメツ・テックが叶えます!』

『ナボタタ・リゾート! ナボタタ

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マージナル・ライフ

マージナル・ライフ

夕焼け空の下、そよそよと揺れる稲穂の海をアキアカネが飛んでいた。俺は思わず足を止め、その羨ましいほど調和の取れた光景を眺めていた。

「東くん」

振り向くと中年の女性。藍沢さんだ。

「その、置いていかれちゃいますよ」

「あ、すみません」

軽く会釈し、再び歩き出す。道なりに2人の男の背中。道場さんと隆彦だ。俺は歩幅を狭めた。雑音のないあぜ道では、他人の会話がよく聞こえてきた。

「だからね、

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うとみ姫とがらくたの玉座

うとみ姫とがらくたの玉座

あ、またか。庭先に投げ入れられたゴミを見て、亜子はため息を吐いた。このところ毎日だ。道路に面した家は便利に見えて、こうした気苦労が絶えない。

母は庭に異物があるのを極端に嫌う。亜子はそれを握りしめて玄関へと戻った。異臭が充満していたが、慣れていて気にはならなかった。生活ゴミが散乱し、床が見えなくなった廊下をずんずん進むと、その先がキッチンだ。

締まりっぱなしのガスの元栓と、埃の詰まった電子レン

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【ピックアップ】逆噴射小説大賞2021より21作品

【ピックアップ】逆噴射小説大賞2021より21作品

よくきたな。わたしは餅辺です。

鮮やかなタイトルと趣向を凝らした800文字の書き出しのみで、どれだけ次のページを捲りたくならせるかを競いあう。そんな熱き戦いが繰り広げられた逆噴射小説大賞2021も募集期間を終え、あとは選考を待つのみとなりました。

投稿された作品はなんと403作! どれもすごいエネルギーが集まって溢れるパワーがミクスチャーされた質量がパッションしてすごい! わたしは全投稿作を読

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ブロックチェーンの神々

ブロックチェーンの神々

まず一つ、アンタにハッキリ言っておくと、この俺、赤坂悠斗の最終目標は神になることだった。

ただ、神と言っても天地を創造する超常的な存在でもなければ、運動や芸術の天才を表す修飾語でもない。信じるものの心の拠り所であり、いつも正しいことを言って、どんな時も見守っていてくれる。そういう奴のことだ。

分かりやすく言い換えるなら「世界中の人の親友」ってとこだろう。少し意味合いはズレるが、誰かに夢を聞かれ

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黄昏どきのすれ違い

黄昏どきのすれ違い

人差し指と中指の違いが、父さんには理解できないらしい。そんな意地悪な感想が浮かぶほど、父は同じ失敗を繰り返していた。言われた通りに弦を押さえるのがそんなに難しいのかと、ギターを知らない私は無責任に思っていた。

一方、玄さんは決して怒らなかった。五十年のキャリアの中に同じような経験があるのだろうか。父が焦れば焦るほど玄さんは落ち着き、声を荒げそうになるほど上手く宥めた。

「父さん、怒りっぽくなっ

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ビターエンドにまだ遠く

ビターエンドにまだ遠く

銃弾にはあり得ない軌道に、ジェスは目を見開いた。その額に風穴が空き、血飛沫が跳ねた。

やった。ウィルは目を細めた。ジェスの撃ち返した弾がまっすぐに額を捉えたことなど、もうどうでもよかった。

額が熱を帯び、触発されたように走馬灯が浮かぶ。警察の新人研修。最愛の妻と娘。その無残な姿。麻薬。ジェスの下卑た笑み。裏切り者たち。

全てを奪われた。全てを奪い尽くした。奪い返せたものは何もなかった。それで

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クリスマスプレゼント『だろ』が『だよ』じゃないから好きだという話

クリスマスプレゼント『だろ』が『だよ』じゃないから好きだという話

こんにちは。わたしは餅辺です。

突然ですが、あなたは『ブレンパワード』という作品を知っていますか? 非常に特徴的なセリフ回しがネタにされることで(一部で)有名なアニメです。それらセリフは唐突だったり独特すぎて初見で意味が分からなかったり、なんか意味不明だけど感動したり……視聴者に強い印象を残し、20年近く前のアニメにも関わらず、今なお愛され続けています。

しかし、その魅力は響きや突拍子の無さだ

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ニンジャのゲームを作る - ⑧体験版公開のお知らせ

ニンジャのゲームを作る - ⑧体験版公開のお知らせ

←前回

お久しぶりです。前回告知の通り(相当ギリギリですが)製作中のニンジャのゲームの体験版が完成しましたので、公開します。

●12月5日追記
難易度を調整したバージョンを公開しました。こちらよりダウンロードしていただけます。(基本操作とかは基本同じです。旧バージョンも引き続きプレーイング可能ですので、歯応えを求める方や腕自慢の方は挑んでみてください)

※スコアを競う際の旧バージョンとの見分

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ニンジャのゲームを作る - ⑦続々:進捗報告と体験版について

ニンジャのゲームを作る - ⑦続々:進捗報告と体験版について

お久しぶりです。製作中のニンジャのゲームについての進捗報告です。

●はじめに

Q.どれくらい完成したの?
A.現状の完成度については以下の通りになっています。

50% :ダンジョンマップの複雑化
80% :オリガミ・システムの作成
80% :エンハンスメント・ジツの作成
95% :アイテムの種類の増加
100%:敵の種類の増加
50% :それに伴うモデルの作成、モーションの設定
20% :バ

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竜童を看取る

竜童を看取る

ネフテラ峡谷に降り注ぐ雨。それは紅竜ヴルムドの死を嘆き、天の流した涙のようだった。雨は絶え間なく降り、かの竜の亡骸をしとどに濡らし、紅黒の血を洗い流す。それはやがて地を育み、峡谷に緑をもたらし、いずれ果実が稔るように、新たな竜が生まれるのだ。

一方、ヴルムドの腹部。破裂したそれから遥か下方には、長虫のように這う男の姿があった。男の下半身はもう無い。ヴルムドに喰われる過程で引きちぎられたのだ。無謀

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胡蝶の夢よ、もう一度

胡蝶の夢よ、もう一度

あ、と胡蝶は立ち止まると、くるりと制服を翻し、二人に尋ねた。

「ところでさ、連中の本拠地ってどこ?」

「呆れた。知らないで先行ってたわけ?」

「まあね」

で、どこ? と胡蝶は笑った。その可愛らしさに凛はむかっ腹が立った。代わりに莉子が答えた。

「夢の島だよ。凛も前に行ったでしょ?」

胡蝶は目を丸くした。

「行ったって、世界を滅ぼすような連中のとこに?」

「だからだよ。一度やってみた

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