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あじしめコラム

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最初のやつが意外と読まれたことに味を占め、だいたい週一で連載しているコラムです。コメントやスキ、フォローをいただけると大いに喜びます。
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記事一覧

ダブルアップ思考からの脱却

よくきたな。わたしは餅辺です。普段はnoteで小説を書いたりゲームを作ったりしていますが、今回は創作者全般が陥りがちな「いくら書いても自信がつかない……」「失敗した時のショックが大き過ぎて立ち直れない……」そんな悩みの原因となるダブルアップ思考とその対策についてお話しします。 ①ダブルアップについて本題に入る前に手短に「そもそもダブルアップって何?」という方向けの解説を挟みます(ご存知の方は飛ばして大丈夫です)。 ダブルアップとは、主に賭け事で使われる用語です。例えばあな

創作が行き詰まったときに聴く音楽7選

突然ですが、あなたの創作は順調ですか? 順調? ならこの記事はまだ読まず、あなたの作品を待つ読者たちの元へ帰りましょう(ブックマークしておくといいでしょう)。 順調でない? なら、まずこの記事を読んでみてください。 苦しみは定期的にやってくる悲しいことですが、創作活動を続けているとそういう息苦しい時期はたびたび訪れます。たびたびです。秋が過ぎれば冬が来るように、なかば定期的ですらあります。では、そんな時期にあなたは何をするべきなのでしょう? 無理やりやる気を出して書く

同情の余地とか勝手に決めるな

このキャラクターの行動は極めて悪質であり、行動の動機も身勝手なものである。被害規模も大きく、被害者はたぶん苦しんだ。残忍な悪行だ。つまりこいつはものすごく悪い奴であり、同情の余地はない。 (よくありそうな例文) 知ったことか。わたしは創作物のWikiを見るのが好きだ。ファンメイドの大百科や大辞典。これらは情報量が多く、愛が伝わってくるので読んでいて非常に楽しい。ただ悪役や小悪党のページには、よくこういった文章がある。これはあまり好きではない。 同情の余地があるかないか。そ

溜まった先から怒れ

怒りは火薬に似ている。溜め込めば溜め込むほど爆発しやすくなり、一度爆発した時の威力も凄まじい。反面、溜め込まなければ爆発の威力はさほどでもない。 火薬は、特定の何かへ向けられた指向性のエネルギーではない。方向性のない純粋なエネルギーだ。誰がどれだけ溜め込ませようと、爆発の威力を受けるのは、それを爆発させた人間だけだ。『キレる』という言葉の背後には、こういうプロセスがあるのだろう。 当然ながら、キレることは好ましい結果を生まない。周りの人間も、キレた当人もそうだ。当初は『ス

受容される悪役、拒絶される悪役

物語に不可欠な登場人物とは誰だろうか。主人公、ヒロイン、親友。その他諸々あるだろうが、その誰もがいなくても物語は成立する。常に三人称で進む群像劇や、ヒロイン不在のむさ苦……硬派な物語、孤独な主人公の苦悩を書いた内省的な物語などなど。案外なんとかなるものだ。 では、物語に不可欠な登場人物とは? ……それは悪役である。彼らは物語になくてはならない変化を持ち込む。何も変化しない物語をあなたは想像できるだろうか? おそらくそれは難しいだろう。それはひどく退屈で、面白みがなく、記憶に

死人が出る物語は安直か

死者が出る作品に対し、「安直」や「レベルが低い」といった批判を目にすることがある。誰かが死ぬことはショックで当然であり、それで読者を感動させたところで大したことではない、という主張だ。しかし、本当にそうだろうか? ニュースでは毎日のように誰かの死が報じられている。不謹慎かもしれないが、それで感動したりショックを受けたりするだろうか? 見ず知らずの他人の死は「そうなんだ」と受け流してしまうことが多くないだろうか。 それはニュースで伝えられたのが単なる事実に過ぎないからだ。事

小説を書き始めてから半年

経ちました。 振り返ると書くと大げさな気もしますが、これも一つの節目。思ったこととかを書き残しておこうかと思います。 小説を書き始めたきっかけ確か去年の12月終わり頃だったと思います。到着まで45分掛かるバスに乗り、退屈なwebサーフィンで時間を潰していたところ。たまたまあるnoteが目に飛び込んできたのです。 それは逆噴射聡一郎先生のパルプ小説講座でした。 当時の私は文章を書くことこそ好きだったものの、小説を書くとなると何を書いていいかも分からずじまい。 定期的に

普通ってなんだろう

「普通にやっといて」「普通にしてくれればいいから」「普通知ってるよ」「普通できるでしょ?」 こういう感じで「普通の振る舞い」を要求されることは、どこに行っても多々あることだ。 しかし「普通ってなんですか」と尋ねても、キッパリとした回答は返ってこない。普通は普通であり、そんなことを聞くのは普通じゃないらしい。 明確でないものは苦手。これは私にとっての普通だ。何かを指示するなら、その内容を明確にしてほしい。そうでなければ伝わらない。 ところが指示者にそれを伝えても「甘える

自分を疑う習慣

【前回を読む】 自分を信じることは大切なことだ。というか、信じられなければやっていられない。自分を信じられないとき、つまり自信がないときの行動はいつも不安がつきまとう。行動の主体はいつだって自分だ。その自分が信じられないということは、全ての行動が信じられないことと同じだからだ。 しかし自分を簡単に信じすぎると、また問題が生じてくる。支持を得ていると思ったら、いつの間にか見切りをつけられていたり。友達とはしゃいでいると思ったら、相手は本気で嫌がっていたり。そういう失敗は誰も