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みなさんの宝物

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noteで出会ったステキな作品を✨宝物✨として集めていきます。
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#眠れない夜に

未熟【掌編小説〜エッセイ】

未熟【掌編小説〜エッセイ】

男には愛したい女がいた。
愛したいという今までにはない感情は男が遠い日に抱いた憧れなのかもしれない。

思うだけでいいと最初は思っていた。
心の内を隠しながら、たわいもない文字と文字の行き来をする交わり。
女が奏でる一文字一文字を、幾度も読み返す。

女には愛したい男がいた。
愛したいという母性にも似た感情は女がまだ経験したことのない憧れなのかもしれない。

思われていると知っていた。
知らないふ

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𝐩𝐨𝐞𝐦 ♯𝟔𝟎 𝐒𝐦𝐚𝐥𝐥 𝐓𝐡𝐢𝐧𝐠𝐬

𝐩𝐨𝐞𝐦 ♯𝟔𝟎 𝐒𝐦𝐚𝐥𝐥 𝐓𝐡𝐢𝐧𝐠𝐬

たった ひとつ でも

こんなに 惑い

憧れる

それ は

誰 に でも ある

ありきたり と 呼ばれる

たくさん の 日常

Small Things / WONK

ほんとう は

なにもない はず なのに

だけど

たしか に 在る

喧騒 の 中 の

ためらい

思い起こす は

「あの日」

ただ それだけ で

よかった はず なのに

息吹いてく わがまま

こじれた わ

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𝐩𝐨𝐞𝐦 ♯𝟏 𝐚𝐯𝐨𝐢𝐫 𝐝𝐞' 𝐩𝐚𝐩𝐢𝐥𝐥𝐢𝐨𝐧𝐬 𝐝𝐚𝐧𝐬 𝐥𝐞 𝐯𝐞𝐧𝐭𝐫𝐞

𝐩𝐨𝐞𝐦 ♯𝟏 𝐚𝐯𝐨𝐢𝐫 𝐝𝐞' 𝐩𝐚𝐩𝐢𝐥𝐥𝐢𝐨𝐧𝐬 𝐝𝐚𝐧𝐬 𝐥𝐞 𝐯𝐞𝐧𝐭𝐫𝐞

君 が







僕 の 頬

撫でた 気 が して

読んでた 本 から

目 を 離し

顔 を あげ











いつも 居たね

僕 の 右肩

まるで

当たり前 か のように

そこに居て

僕 と 目が合うと

素知らぬ顔して

昨日 の 方向 に

欠伸をした

そして

ふわり 香り

微か に くちづけて

気まぐれ な 風 と 一緒に

僕 の 

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新色できました|あの色|何色でもない花

新色できました|あの色|何色でもない花

何色でもない花 / 宇多田ヒカル

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生 ま れ た 日 付 も

過 ご し た 場 所 も

生 き る 景 色 す ら

全 然 ち が く て

だ け ど

平 等 に

流 れ 溢 る る







ど こ で ど う

交 わ っ た の か な ん て

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𝐌𝐲 𝐃𝐞𝐚𝐫 𝐋𝐢𝐭𝐭𝐥𝐞 𝐒𝐰𝐞𝐞𝐭𝐡𝐞𝐚𝐫𝐭

𝐌𝐲 𝐃𝐞𝐚𝐫 𝐋𝐢𝐭𝐭𝐥𝐞 𝐒𝐰𝐞𝐞𝐭𝐡𝐞𝐚𝐫𝐭

⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆

ききわけ の いい

女の子 は

泣いたり しなかった

ききわけ の いい

女の子 は

わがまま を 言ったり しなかった

ききわけ の いい

女の子 は

いつも ものがたり を 編みながら

おるすばん を していた

女の子 は

いつも

待って いた

そう

いつも

いつも‥‥

My Dear Little Sweetheart
/ Joh

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夜道に溶ける

夜道に溶ける

 遠くの音が聞こえます。
 それは静寂の所為でしょうか。
 それも理由のひとつかもしれません。

 闇が色を隠すように、余分なものが剥がれ落ちて溶けていくのは、夕暮れの向こう側にある世界。

 科学的に説明するとしたら、それは空気の温度と音の速さの関係に過ぎなくて、昼と夜では音の屈折方向が変化するからです。昼の音は太陽に誘われるまま上昇して消えていく幻。夜の音は何処までも地表の近くを彷徨う迷子。

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いくつになっても夢を描くのだ

いくつになっても夢を描くのだ

カウンセリングに通い始めてから、
暗い話題と推しくん的なポップな話題の落差に
戸惑う方もいたら申し訳ないとやや思う。

どっちも私なのが我ながら大変だ。

でもまぁ社会生活ではむしろ頼れる社会人で通ってるので、note様々のバランスだ。

私は不遇な家庭だったけど、周りの人には恵まれてきたと思う。
今も恵まれている。

夢も、努力して叶えてきた方だと思う。

だからほんとはこれで十分なんだけど、

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【小説】 黄身の名は。

【小説】 黄身の名は。

荒波に揉まれてもびくともしないフジツボには、相変わらず力強さを感じる。

春休み、久しぶりに故郷の海に来ている。子供の頃から海に生息する生き物が好きでよくこの海に来ていた。観光客に知られていない、地元の人間も滅多に来ない海岸がある。岩だらけなので海水浴には不向きな海岸だ。誰にも邪魔されずに探索できる。波が荒く何度ものまれそうになり命の危険にされされた事もあったが海の生き物に魅了され、やめられなかっ

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「夜雨、記憶鮮明」

「夜雨、記憶鮮明」

亡き人が姿を変えて訪れる

脱け殻のように呆然と

涙で目を腫らしていたり

横たわって考えていると

一匹の蛾がカーテンにとまる

私はきっと母親だろう、といつも思った

小さな蛾が多かった

白い羽と黒い斑点

茶色に目のような斑点

そういえば

父が死んでから見かけない

母は父が来たから、もう蛾に姿を変えて来ることはないのだろう

若くして叔父が死んだ時

兄弟妹で思い出話をしていたそう

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