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国際経済

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記事一覧

【第22回】日韓通貨スワップ協定再開 事実上のウォン救済となり韓国が利用 

 日本と韓国は12月1日、6月29日に開催された第8回日韓財務対話の合意に基づき、金融危機の際に通貨を融通し合う通貨交換(スワップ)協定を締結した。

 通貨スワップ協定とは、2国間あるいは多国間で自国通貨と外貨を交換する契約のことをいう。日韓の通貨スワップ協定によって、韓国はウォンを日本に渡し米ドルと日本円を受け取ることができる。

 通貨スワップ協定にはどのような効果があるのだろうか。為替レー

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【第17回】リーマンショックから得られる教訓 議事録から見る白川日銀の無能ぶり

 2008年9月に起きたリーマン・ショックから15年が経過した。そこから得られる教訓は何か。

 当時の史実を振り返っておこう。2008年9月15日、米投資銀行リーマン・ブラザーズが経営破綻した。具体的には、リーマン・ブラザーズがサブプライム住宅ローンの損失によって連邦破産法11条を申請し、破産した。負債総額約6000億ドル(当時のレートで約64兆円)というアメリカ史上最大の企業倒産であった。

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【第16回】ドイツのエネルギー政策は欺瞞 日本が教訓とすべきことは何か 

 ドイツ連邦議会は9月8日、石油とガスの暖房システムを段階的に廃止する法案を可決した。日本が教訓とするべきことは何か。

 今回ドイツ連邦議会で可決された法案は「建築エネルギー法(GEG)」と呼ばれ、住宅やその他の建物で熱を発生させるために使用される再生可能エネルギーの量を徐々に増やすことを目的としている。現在、ドイツの建物の半数がガス暖房システムを使用していると推定されている。

 この法律は2

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【第15回】未成熟の脱工業化と言われるインド経済は今後どうなるか

 中国を上回る経済成長を示し、グローバルサウスの代表格であるインドの経済が注目されている。インド経済の特徴は何か。また、インド経済の今後はどうなるか。

 インドの経済成長の主因は力強い消費だ。インドの最終消費支出(年率成長率)の推移を見ると、7.6%(2017年)7.6%(2018年)4.9%(2019年)-4.5%(2020年)10.4%(2021年)6.4%(2022年)と、コロナショックを

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【第14回】アフリカ歴訪の成果と意義は何か 政治情勢を常に注視せよ‼

 西村康稔経済産業相は8月6~13日の日程でナミビア、コンゴ民主共和国、ザンビア、マダガスカル、南アフリカ、アンゴラの6カ国を訪問したが、その成果は何か。また、日本がアフリカ支援をする意義とは何か。

 アフリカ経済の将来を占うときに気にかかるのが「資源の呪い」だ。これは、天然資源があるというが経済成長にとって祝福というより呪いだとする考え方だ。

 イギリスの経済学者リチャード・アウティは、豊富

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【第10回】中国のGDPは信頼できない 「中所得国の罠」に陥り経済発展は困難 

 中国の国家統計局が公表した今年4月から6月までの実質GDPの伸び率は、前年同期比で6.3%だった。今後の中国経済の動向はどうなるだろうか。

 中国のGDP統計が発表されるタイミングは異様に早い。あれほどの大国なのになぜそんなことができるのか。GDP統計は、消費、投資、輸出、輸入などの様々な統計データを集めてようやくできる。だから、GDP統計発表までの期間は最低でも1カ月は必要だが、中国の場合は

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【第6回】米国の「債務上限問題」原則合意 政治的妥協が図られ決着へ

 交渉が難航していた米国の債務上限問題について、バイデン大統領は野党・共和党のマッカーシー下院議長と協議した結果、原則、合意したとの声明を発表した。この問題は過去に何度も繰り返されているが、今回も同じ構図なのか。

 まずは、米国の国債制度について確認しておこう。毎年度の国債発行額は、1917年制定の第二自由公債法に基づく発行残高についての制限を受けるのみである。日本の場合、毎年度の建設公債発行額

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【第2回】イギリスがTPP加盟へ 貿易自由化でGDPは増加する!

 TPP(環太平洋パートナーシップ協定)に、イギリスが加盟することで、3月中にも大筋合意するという報道があった。イギリスがTPPに加盟すれば、加盟国は12カ国になる。TPPは、加盟国の間で関税率の引き下げなどが行われる自由貿易を推進する協定だ。では、関税率を下げるとどのようなメリットがあるのか。

 ある農産品について国内供給だけの単純なケースで考えてみよう。上図は、関税がかかった場合である。その

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