mitsuharu makita

A person who loves to think about naturalne…

mitsuharu makita

A person who loves to think about naturalness and artificiality.

記事一覧

ピーター・ゴドフリー=スミス「メタゾアの心身問題 動物の生活と心の誕生」

カイメンから始まる主観性の起源探しの旅。 前著「タコの心身問題」よりは少し抽象度が高いレイヤーでの議論。 経験の進化における鍵となるポイント: 1.進化の過程で「経…

ケヴィン・ケリー 「テクニウムーーテクノロジーはどこに向かうのか」

テクニウムとはテクノロジーが可能となる宇宙の原理であり、それゆえ自然の延長である。自然と人工の二項対立は脱構築される。テクニウムは宇宙が自己意識を作る方法であり…

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トム・スコット=フィリップス 「なぜヒトだけが言葉を話せるのか: コミュニケーションから探る言語の起源と進化」

「意図明示コミュニケーション」が言語の起源に深く関わったとする仮説 関連性理論が論理的母体 「意図明示コミュニケーション」と「意図的コミュニケーション」との違い…

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ユク・ホイ「再帰性と偶然性」

サイバネティクスの哲学的系譜が辿れる。 再帰性、偶然性、器官学、自然、有機体論等がキーテーマ。大文字の哲学者の援用&批判も多い。ウィーナー、シモンドン、カント、シ…

グレゴリー・ベイトソン「精神と自然」

精神の基準を探す旅。 1. 精神とは相互作用するパーツの集まりであり、差異が相互作用のトリガーとなる。また精神は必ずエネルギーを伴い、原因と結果の再帰的な連鎖が発…

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アニル・セス「なぜ私は私であるのか: 神経科学が解き明かした意識の謎」

動物機械論(私たちが世界や自分について意識的な経験をするのは、体を通して体がある故起こる)の提唱 知覚内容とはトップダウンの予測であり制御された幻覚との主張 予…

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ピーター・ゴドフリー=スミス「メタゾアの心身問題 動物の生活と心の誕生」

ピーター・ゴドフリー=スミス「メタゾアの心身問題 動物の生活と心の誕生」

カイメンから始まる主観性の起源探しの旅。
前著「タコの心身問題」よりは少し抽象度が高いレイヤーでの議論。

経験の進化における鍵となるポイント:

1.進化の過程で「経験」は一気に登場するのではなく時間をかけてじわじわ現れる「漸進説」
2.「いまここ」からの解放
3.リズムや同期、場のような脳の大規模動的特性とシグナル伝達の多階層性
4.主観性と行為者性
5.分離脳と統一性
6.認知と行為の役割が

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ケヴィン・ケリー 「テクニウムーーテクノロジーはどこに向かうのか」

ケヴィン・ケリー 「テクニウムーーテクノロジーはどこに向かうのか」

テクニウムとはテクノロジーが可能となる宇宙の原理であり、それゆえ自然の延長である。自然と人工の二項対立は脱構築される。テクニウムは宇宙が自己意識を作る方法であり、大規模な相互結合したテクノロジーのシステムを指す。生命進化の延長としてのテクニウムはエントロピーの無差異に抗い続ける。生命、テクニウムの両進化に共通する3つの力=適応・解放、歴史的偶発、構造的必然。3番目の必然の主張は本書の大きなテーマの

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トム・スコット=フィリップス 「なぜヒトだけが言葉を話せるのか: コミュニケーションから探る言語の起源と進化」

トム・スコット=フィリップス 「なぜヒトだけが言葉を話せるのか: コミュニケーションから探る言語の起源と進化」

「意図明示コミュニケーション」が言語の起源に深く関わったとする仮説

関連性理論が論理的母体

「意図明示コミュニケーション」と「意図的コミュニケーション」との違いが肝

心の理論, オペラント条件付け

自然コードと慣習コード、伝達意図に埋込まれた情報意図、{信号/応答, 契機, 強要, 偶然}*{働きかけの設計, 反応の設計}のマトリクス

儀式化と感覚操作

文化的牽引因子(声調等)、等の概

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ユク・ホイ「再帰性と偶然性」

ユク・ホイ「再帰性と偶然性」

サイバネティクスの哲学的系譜が辿れる。
再帰性、偶然性、器官学、自然、有機体論等がキーテーマ。大文字の哲学者の援用&批判も多い。ウィーナー、シモンドン、カント、シェリングは土台に、リオタール、ベルクソン、そしてスティグレール。メイヤスーは批判的に俎上される。デリダやドゥルーズはほとんどスルー。ハイデガーとヘーゲルは援用されているがやはり私はヘーゲルがよく分からない。理解できても必須さが不明。
エン

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グレゴリー・ベイトソン「精神と自然」

グレゴリー・ベイトソン「精神と自然」

精神の基準を探す旅。

1. 精神とは相互作用するパーツの集まりであり、差異が相互作用のトリガーとなる。また精神は必ずエネルギーを伴い、原因と結果の再帰的な連鎖が発生する。この過程の前後は「変換」関係と見做せる。変換はコード化。

2. 生命現象における2種類のストキャスティックな過程の合体。キャリブレーションとフィードバック。遺伝子レベルとソーマティック変異。トートロジックな発生過程。進化論と認

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アニル・セス「なぜ私は私であるのか: 神経科学が解き明かした意識の謎」

アニル・セス「なぜ私は私であるのか: 神経科学が解き明かした意識の謎」

動物機械論(私たちが世界や自分について意識的な経験をするのは、体を通して体がある故起こる)の提唱

知覚内容とはトップダウンの予測であり制御された幻覚との主張

予測は未来のためだけでは無い

ハードプロブレムは問題の立て方に問題があるため、リアルプロブレムに変換すべきであるとの提起

IITの素晴らしさと限界が提示され、フリストンらのFEPと予測誤差最小化の接続について述べられる

機能主義につ

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