マガジンのカバー画像

網戸の中

33
運営しているクリエイター

記事一覧

雑記(9月も終わりですってよ)

雑記(9月も終わりですってよ)

やっと朝晩の空気が秋らしくなってきたなと思ったらまだ昼間は暑かったりして、どうも気温差にやられて風邪を引いたかしらと思いながら病院に行ったら例の感染症だった(少し前の話、回復済みです)。
そうこうしているうちにもう9月30日です。

毎年9月の終わりごろになると思い出したようにnoteを書き始めるのは、今年度ももう上半期が終わってしまうのかということに気づいて呆然とするタイミングでもあり、個人的に

もっとみる
敢えて考察しない(できない)、感想の羅列

敢えて考察しない(できない)、感想の羅列

話題のジブリ最新作「君たちはどう生きるか」、公開後すぐに観たのだけれど、感想がまとまらないなと思っているうちにそこそこ時間が経ってしまった。

既にさまざまな感想、批評、考察が世に溢れている。
なるほどそう解釈すると辻褄が合うんだなと思わされるものもあれば、それはどちらかというとあなたの思考の投影では……(あるいは作品の解釈とは多かれ少なかれそういうものか)と思ってしまうものもあり。

なんにせよ

もっとみる

絵画のこちら側、あるいは好きな絵の話

最近観に行った展覧会についての備忘録、を書こうと思っていたのだけれど、書きかけで放置してだいぶ経ってしまったので、好きな絵の話ということにする。

京都の嵐山にある福田美術館で4月9日まで行われていた企画展「日本画革命」をどうしても観に行きたく、3月の週末、このために京都まで足を延ばした。
桜にはまだ少し早いものの天気もよく、観光客も戻ってきていて、渡月橋のあたりはかなりの人出。

福田美術館のコ

もっとみる
「愛の太陽」抱えて歩く

「愛の太陽」抱えて歩く

 3月1日にリリースされたくるりの「愛の太陽 EP」。
 どの曲もすごく好きだが、その中で表題にもなっている「愛の太陽」についての話がしたい。
 何か明確に書きたいものがあるわけではないので雑談的な記事になりそうだけれども。

 そういえば「天才の愛」が出た時もそれがあまりによかったのでnote書いたな、と思って過去の自分の記事を見返したらあれからもう2年近くたっていてびっくりした。2年?

 「

もっとみる
今年もお世話になりました

今年もお世話になりました

なんだか書きたいことはいくつかあるんだよなあと思いつつ、サボっているうちに大晦日になってしまった。
このところ毎回こんな書き出しになっている気がしますが。来年こそはもう少し何か書きたいところ。

今年は久しぶりに富士吉田を訪れたり、ライブ遠征込みで行ったことのない土地を旅したり、少しずつまた動けるようになってきた気がする。
自分が元いた関東に戻ってきたこともあって、しばらく会えていなかった人との再

もっとみる

雑記・2022年9月

気付けばnoteの更新をサボりっぱなしで半年が過ぎ、その間に私は西日本から東日本に居を移し、またひとつ歳をとり、そうして今年度の上半期が終わろうとしている。
今朝はどこからともなく金木犀の匂いがしてきました。街角の空気も完全に秋のそれです。

時間が経つのは年々早くなる。毎年同じことを言っている気がする。

9月半ば、残暑の中に秋の気配が混じるぐらいの頃にくるりの「八月は僕の名前」がリリースされて

もっとみる

『歌者』の話

フジファブリックの山内総一郎さんがソロ名義でリリースしたアルバム『歌者』を聴いた。

雑誌『音楽と人』のインタビューでも話していたけれど、ひとつひとつの曲にかなりはっきりしたストーリーがあって、短編集を読んだような感覚になる。実際、曲を作るのにあたってかなり詳細にプロットを立てたという。

誰もいないオフィス、昼下がりの街角、雨上がりの大通り。卒業式の後の教室、自転車で駆け上る坂道。早朝の地下鉄、

もっとみる

新年の抱負に代えて:「青天を衝け」感想

2022年、あけましておめでとうございます。
今年も他愛もない文章ばかり書いていく所存ですが、よろしくお願いいたします。



かなり今さらではあるが、大河ドラマ「青天を衝け」の感想から今年のnoteを始めたい。

あまり熱心な大河ドラマファンというわけではなくて、これまでにちゃんと見たのは「龍馬伝」と「いだてん」ぐらいのものなのだけれど、2021年はこの時代に「青天を衝け」があってよかったと思

もっとみる

読"食"漫筆2:2021年の読書記録

2021年を振り返って、なんとなく、食にまつわる本や漫画に縁があったような気がしている。

堀江敏幸さんと角田光代さんの『私的読食録』を読んで、そこで紹介されていた吉田篤弘さんの『それからはスープのことばかり考えて暮らした』を読んだというのは以前書いたけれど、それ以来、何気なく手にとった本が食にまつわるものだったり、主題としてではなくても食べること・食べ物・料理についての話が出てきたりしていた。

もっとみる
2021.12.24

2021.12.24

 今年も暮れだな、と淡々と思うのと同時に、冬至を過ぎてこれからは1日ごとに昼が長くなっていくことに少しほっとしたりもしている。1年が巡ったなと実感する。

 季節の移り変わりを思う時、聴きたくなるのはフジファブリックの音楽だ。「桜の季節」に始まり「陽炎」「赤黄色の金木犀」「銀河」と続く通称「四季盤」は、フジファブリックの音楽の叙情性を象徴するような作品だが、彼らには1曲の中で四季が巡る歌もある。

もっとみる
誕生月の雑記と音楽雑感:年輪と周回軌道

誕生月の雑記と音楽雑感:年輪と周回軌道

 まだ日中は陽射しが強いが、秋分の日ともなると風はからりと乾いて気持ちが良い。陽が落ちるのが随分と早くなったな、と思っているうちに秋分の日も過ぎた。

 夏が終わって空気の匂いも変わるような気のするこの時期は、1年の中でもとりわけ好きだ。9月生まれだから余計にかもしれない。と言いつつ、たいてい自分の誕生日の頃はまだ残暑が厳しくて、それから1、2週間ほどたつとようやく秋らしさが感じられるようになるの

もっとみる
雑記・2021年の7月

雑記・2021年の7月

 時間が経つのが早いような遅いような、どちらともつかない心地でいるうちに今年の7月が終わる。

 この歳になっても毎年夏になると、夏というのはこんなに暑かったかと思う。去年の夏の疲れも抜けていないのに、というのは最近聞いた落語のマクラに出てきた言い回しだったと思うがまさにそういう気分。それから通勤路の途中で、何気なくイヤホンを外した瞬間にどっと押し寄せる蝉の声が恐ろしいぐらいやかましい。音の大きさ

もっとみる
「こうして出逢ったのも、何かの御縁」

「こうして出逢ったのも、何かの御縁」

 私がまだ比較的純粋無垢な高校生であった頃、国語の先生方が生徒のために選んだ推薦図書のリストが配られたことがあった。
 純文学、エンタテインメント小説からノンフィクション、ルポルタージュ、科学書、人文学や社会学の入門書まで様々な書名が連なる中に、その妙に心踊らされるタイトルを私は見出した。

『夜は短し歩けよ乙女』

 これが私と、我らが主人公である黒髪の乙女と愛すべき先輩との、そして森見登美彦氏

もっとみる
噺の話:『落語心中』の読後感想

噺の話:『落語心中』の読後感想

 エー、本日はかようなところへお運びいただき、厚く御礼申しあげます。

 突然何が始まったかとお思いでしょうが、早く言やぁ、アタクシ最近ついうっかり落語にハマッちまいましたもんで、そのことをね、何、大した話じゃあございませんが、ちょいと喋りたくなったとこういう訳でして。そいでせっかく落語の話をするならそれらしい喋り方にしようと思いますと、こんな江戸弁もどきになっちまうわけで。どうもあちこちから叱ら

もっとみる