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短編小説・読切小説集

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自作の一回読切の小説や、数回で完結する短編小説を集めています。基本的にハッピーエンドな青春時代を描いています。
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#バレンタインデー

短編小説「バレンタインデー」後編

短編小説「バレンタインデー」後編

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5「大学祭前」夏合宿が終わり、そのまま軽音楽部は大学後期が始まるまで、開店休業となった。

大学の後期が始まるのは10月だが、その前の9月を目一杯使っての、前期期末試験が行われるので、この時期だけは勉強に専念せねばならない。
更に伊藤は試験後、アパートに引っ越さねばならないのもあって、落ち着かない日々を過ごしていた。

最も野球等のスポーツ推薦で特待生扱いの極一部の学生は、試験

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読切小説「真美の初恋」

読切小説「真美の初恋」

1「バレンタイン前夜」「真美、友チョコの数は合ってるの?」

「えっとー、同じクラスの女子が18人でしょ、別のクラスの仲良しの女子が5人、部活の同期が8人、お父さんへの義理が1個、合計32個!ピッタシカンカンだよ、お母さん!」

「この32個のうち、真美の力だけで作ったのって・・・」

「ははあっ、母上、大変かたじけない!」

真美は母の咲江に向かって土下座をした。

「アハハッ、そこまでしろなん

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【短期集中連載小説】保護者の兄とブラコン妹(第10回)

【短期集中連載小説】保護者の兄とブラコン妹(第10回)

<前回はコチラ>

28平成2年、2月。
俺はバレンタインデーに軽音楽サークルの後輩、サキちゃんからチョコをもらう約束をし、つい浮かれていたことで、妹の由美からドン引きの不審な目で見られてしまい、若干兄と妹としての関係がグラついてしまった。

それ以来、俺は徹頭徹尾アパートでは無表情、無感情を貫くようにしていた。

これまで高校のバレー部時代、1つ年上の女子の先輩と付き合ったことはあるが、学年違い

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【短期集中連載小説】保護者の兄とブラコン妹(第11回)

【短期集中連載小説】保護者の兄とブラコン妹(第11回)

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31「お帰りなさい」

由美は戸惑った。明らかに若い女性の声だったからだ。正樹なら、おかえり~としか言わないのに。誰?

「由美、今朝は悪かったな。置き去りにして…。こちらは、俺の大学の軽音楽サークルの後輩、石橋咲江さん」

「由美さん、はじめまして」

由美は玄関で固まっていたが、とりあえず挨拶した。

「どっ、どうも…。由美です」

「由美がビックリするのも仕方ないよな。兄

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