みえる

夫と4歳と0歳の子供と暮らしています。病気が治って仕事に戻り、育休に入りました。 たま…

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夫と4歳と0歳の子供と暮らしています。病気が治って仕事に戻り、育休に入りました。 たまに書き留める詩を投稿できたらと思います。きちんと皆様のnoteを訪問できなくてごめんなさい。コメントにお返事をするときは拝見しています。一方通行でもよろしければ、読んでいただけると嬉しいです。

マガジン

  • アナグラム歌会作品集2

    2月1日以降に「#アナグラム歌会」をつけて投稿いただいた作品集です。締め切りました。

  • いいこと書いてるなぁ

    あとから読み返したいようなほかの方の記事をブックマークしてみることにしました。

  • アナグラム歌会作品集

    「#アナグラム歌会」をつけて1月31日までに投稿いただいた作品集。締め切りました。

  • アナグラム歌会作品集3

    アナグラム歌会後、勝手にアナグラム詩を収集するマガジンです♪

記事一覧

詩: ふたりめ

  ぴったりひとりに合っていた ピントがぼやけて ふたりのあいだを揺れる それから夫がいて 私がいて 緊密だった三角が あいまいな四角になる 私たちの子供 から 私たち…

みえる
1年前
27

詩: 泡

こどもはどこからくるの? いのちのみなもとからわかれて 小さな泡が浮かぶみたいに この世界にやってくる 誰もしらないということにして こどもたちは約束どおり だまっ…

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1年前
30

詩: 雪どけ

かなしくはないのに はらはらと きれいな涙が流れる それは小川の水が ただきらきら流れるのと おなじこと きらきらしたものが 体の中にかよっているということを つい忘…

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2年前
42

詩: シュガーなんとか

クリスピークリーム ドーナツの シュガーなんだっけ? いちばん定番のやつ 食べた子供が 「クモがなかにはいってる」 というから 「こわいね」と言って ないないと受け流し…

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2年前
49

詩: 年越し

となりの部屋で眠る 二人の吐息が なぜか 潮騒のように聞こえる 今日のような夜にも 海はかわらず寄せているだろう 家まで聞こえる鐘が 108つよりもずいぶん多く鳴る …

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2年前
47

詩: ともしび

心のおくに あいとやさしさのみなもとがあり それが命のともしびなのだと 聞いたことがある その光で 世界を照らすことができるよう 明るく燃えよう 高く掲げよう そう思…

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2年前
51

詩: 次元上昇

今日の冬至は 2万4000年ぶりの 目覚めのタイミングなのだと夫が言う 本当はみんな光なのに あえて闇を演じていることを 今日 みんなで思い出すのだと 目覚めのタ…

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2年前
32

詩: ふたご

さみしさとやさしさの 横顔が とても似ている かなしさとくやしさが 手をつないで歩く 互いによく似た感情の かすかなちがい ほんの少しのニュアンスから 宇宙のひだが生…

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2年前
27

詩: お買いもの

ほしいものを 見に行って 買わずに帰るのが うれしい 自分の 自由を確かめる 感じ 買わなくてもいい ことにほっとする 買うか 買わないか ではなく 一緒に生きていきたい…

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2年前
39

詩: かりうど

わたしの言葉をさがしにいく それは思っていたものと全くの別物で わたしの願っていた旅とは なんの関係もないのかもしれなかった わたしがわかるとつぶやいた 彼らの言葉…

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2年前
27

詩: 廊下

朝 起きてきて パチリと電気をつける 玄関につながる 短い廊下 突き当たりにドア それが光に照らされていて いつもこれだ と思う いつもまっすぐに進み いつも扉に突き…

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2年前
28

詩: 縄ばしご

夜の中で目を閉じている 私のくらやみに パラッと 縄ばしごが下りてくる 最初の段   「言葉は階段のように」 その次の段  「わたしの内側に下りてゆく」 その次の段に…

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2年前
34

詩: 恋人たち

子供「おうじさまとおひめさま、とおったね」 ママ「え? いまの?」 「うん」 「ふーん、王子様とお姫様なんだ」 「・・・(たい焼き食べてる)」 「あ、王子様とお姫様…

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2年前
22

詩: 詩の国はどこにある?

机の中にたくさん 私の詩を入れていてもよいのだ 昔は 鋭いナイフを仕込んで 誰彼なく切りつけたいと思っていたけれど あるいは ぴかぴかに光る宝石を むやみに集めたい…

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2年前
33

詩: 詩の国に向かう

もしも私をかえしてくれるなら もと来た場所まで手を引いて 連れていってくれるなら ジャムのびんをあげましょう はちみつのびんをあげましょう 紅茶を淹れてあげましょう …

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2年前
33

詩: 詩の国に帰る

もう詩の国に帰りたい 満月がひたひたと照らす波間に 人魚が空を見上げている もう詩の国にかえりたい もう かえりたい    かえりたい 闇のあわいに溶け出すような ゆ…

みえる
2年前
38
詩: ふたりめ

詩: ふたりめ

 
ぴったりひとりに合っていた
ピントがぼやけて
ふたりのあいだを揺れる
それから夫がいて
私がいて
緊密だった三角が
あいまいな四角になる

私たちの子供 から
私たちの子供たち になって
ふと気がつくと
よその子も少し可愛くなる
子供 から
子供たち になると
ひとりが見えにくくなって
みんなが見えてくる
目が開かれていくような

ひとりの頃と同じように
ふたりをひとりずつ見ることと
ふたりを

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詩: 泡

こどもはどこからくるの?
いのちのみなもとからわかれて
小さな泡が浮かぶみたいに
この世界にやってくる

誰もしらないということにして
こどもたちは約束どおり
だまっている
そしてわすれていく

だからわたしも約束どおり
だまったまま
わすれていこう
わたしがいたこの世界を
わたしがすごした日々を
わたしの家族を

こどもはどこからくるの?
おとなはどこにいくの?



二人目の子供が生まれまし

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詩: 雪どけ

詩: 雪どけ

かなしくはないのに
はらはらと
きれいな涙が流れる
それは小川の水が
ただきらきら流れるのと
おなじこと

きらきらしたものが
体の中にかよっているということを
つい忘れてしまうけれど

雨の粒や
泉の水や
虹を映す靄と同じ
ただきらきらしたものが
わたしたちの中をめぐっている

あたたかくなった日差しに
溶けていく春の水

✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎

詩: シュガーなんとか

詩: シュガーなんとか

クリスピークリーム
ドーナツの
シュガーなんだっけ?
いちばん定番のやつ
食べた子供が
「クモがなかにはいってる」
というから
「こわいね」と言って
ないないと受け流して

お風呂に入ってから
「今日のドーナツ
 どれがいちばんおいしかった?」
と聞いたら
「しろいやつ」
「くもみたいだった」
「ふわふわだった」
つまり雲が中に入ってたんだ
OMG それはくもみたいだ

それを聞いたら
また食べた

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詩: 年越し

詩: 年越し

となりの部屋で眠る
二人の吐息が
なぜか 潮騒のように聞こえる
今日のような夜にも
海はかわらず寄せているだろう
家まで聞こえる鐘が
108つよりもずいぶん多く鳴る
笑いながら来た人たちが
また同じように去ってゆく
初日の出の下で
海はかわらずかがやくだろう
夏の記憶の中で
海はかわらず寄せているだろう

✴︎✴︎✴︎
あけましておめでとうございます。

詩: ともしび

詩: ともしび

心のおくに
あいとやさしさのみなもとがあり
それが命のともしびなのだと
聞いたことがある

その光で
世界を照らすことができるよう
明るく燃えよう 高く掲げよう
そう思っていた

風の強い夜に
心のおくをさぐるとき
命のともしびに照らされているのは
わたし自身であったと気づく

だれよりも近いところで
光とぬくもりを受け取って
わたしがそのやさしさに触れていた
だれかにやさしくする ずっと前に

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詩: 次元上昇

詩: 次元上昇

今日の冬至は 2万4000年ぶりの
目覚めのタイミングなのだと夫が言う

本当はみんな光なのに
あえて闇を演じていることを 今日
みんなで思い出すのだと

目覚めのタイミングだから
眠れないのかしらね と
ハーブティーを入れる

耳をすますと いつもの新月より
ずっとやさしい《シーン》とする音がする
細やかな金色の粒子が降りつづくような
明るい気配がする

ね、そんな感じがするよね
なんかそう、軽

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詩: ふたご

詩: ふたご

さみしさとやさしさの
横顔が とても似ている
かなしさとくやしさが
手をつないで歩く

互いによく似た感情の
かすかなちがい
ほんの少しのニュアンスから
宇宙のひだが生まれてくる

ほんの少し 色づくこと
ほんの少し 寄り添うこと
ほんの少しが ひだをよせて
花びらのように世界を飾る

よく似たふたごの距離に
ほんのわずかな
さざなみが立つ
気持ちを
揺らすくらいの

詩: お買いもの

詩: お買いもの

ほしいものを
見に行って
買わずに帰るのが
うれしい
自分の
自由を確かめる
感じ
買わなくてもいい
ことにほっとする

買うか
買わないか
ではなく
一緒に生きていきたいか
いきたくないか
食べるかどうかではなく
体に入れたいか
入れたくないか

今のどうだった?
と聞くと
左右で違うデザインは
イマイチかな
と夫が言う
そうだよねぇ、と
またほっとする

それにしても
女の人は買いもの好きだよ

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詩: かりうど

詩: かりうど

わたしの言葉をさがしにいく
それは思っていたものと全くの別物で
わたしの願っていた旅とは
なんの関係もないのかもしれなかった

わたしがわかるとつぶやいた
彼らの言葉は わたしに
なんの関係もないのかもしれなかった
焚き火を囲んでいる人たちから離れて
わたしの言葉をさがしにいく

飾り気のない日々の雑語に
わたしの居場所がある
罠をかけ仕分けをする仕事がある
(これがわたしの言葉?)
感情の入るす

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詩: 廊下

詩: 廊下

朝 起きてきて
パチリと電気をつける
玄関につながる
短い廊下
突き当たりにドア
それが光に照らされていて
いつもこれだ と思う

いつもまっすぐに進み
いつも扉に突き当たる
生まれてくるときにすら
こんなところを通ったような

いつも光に照らされて歩み
いつも光の中へ 出てゆく
朝 さいしょに向き合うとき
玄関の扉がまるで
新しい世界を
隠しているような

詩: 縄ばしご

詩: 縄ばしご

夜の中で目を閉じている
私のくらやみに
パラッと 縄ばしごが下りてくる
最初の段 
 「言葉は階段のように」
その次の段
 「わたしの内側に下りてゆく」
その次の段に足をかける前に
心を決めて
そっと布団から抜け出す
縄ばしごをたどれば
たどりつける何かがある
それが詩になるとわかっている
ただし下りるときにたどった言葉は
二度と踏むことができない
だから
先を見ないように気をつけて
ノートとペン

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詩: 恋人たち

詩: 恋人たち

子供「おうじさまとおひめさま、とおったね」
ママ「え? いまの?」
「うん」
「ふーん、王子様とお姫様なんだ」
「・・・(たい焼き食べてる)」
「あ、王子様とお姫様きたよ!」
「これはちがう」
「え、ちがうの? じゃあ何?」
「ごきんじょさん」
「ご近所さんかなぁ・・・あ、また来たよ!」
「うん、おうじさまとおひめさま」
「今度はどう?」
「うん、ふたつ、おうじさま、おひめさま、おうじさま、おひめ

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詩: 詩の国はどこにある?

机の中にたくさん
私の詩を入れていてもよいのだ
昔は 鋭いナイフを仕込んで
誰彼なく切りつけたいと思っていたけれど
あるいは ぴかぴかに光る宝石を
むやみに集めたいと思っていたけれど
チョコレートの包み紙みたいな
つまらない詩を
たくさん机の中に入れていても
よいのだ
机でいっぱい 不思議な鳥を飼う
私の机が 別の国とつながっていても
差し支えないのだ
それが黒い森につながっていても
月の砂漠に届

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詩: 詩の国に向かう

詩: 詩の国に向かう

もしも私をかえしてくれるなら
もと来た場所まで手を引いて
連れていってくれるなら
ジャムのびんをあげましょう
はちみつのびんをあげましょう
紅茶を淹れてあげましょう
道に迷いました
かえりかたがわからないのです
そうしてトランクの上に座りこみ
飛び出そうとする鳩を
お尻でけんめいに押さえているのです
行く先がわかりますか
星の配置がわかりますか
くらくなってきたから
途方にくれるのです
心細くなる

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詩: 詩の国に帰る

詩: 詩の国に帰る

もう詩の国に帰りたい
満月がひたひたと照らす波間に
人魚が空を見上げている
もう詩の国にかえりたい
もう かえりたい
   かえりたい
闇のあわいに溶け出すような
ゆらゆらした髪と
まんまるの瞳
声にならないつぶやきが
もう かえりたい
   かえりたい
   どこから どこに?

もう詩の国に帰りたい
そうだね 帰ろう
そう呟くと ひとすじの星が
涙のように人魚の上を滑っていった
くらい海を割っ

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