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鴻巣友季子『文学は予言する』
第一章 ディストピア
鴻巣氏は最近のディストピア文学の興隆の原因に世界的な右傾化、スノーデン氏による米国の国際監視網のリーク、トランプ政権の誕生を挙げている(2022年12月の時点)。ディストピア三原則の政策がある。国民の婚姻・生殖・子育てへの介入、知と言語(リテラシー)の抑制、文化・芸術・学術への弾圧である。現代のディストピア小説の代表がマーガレット・アトウッドの『侍女の物語』と『誓願』であ
ウェイリー版源氏物語第二巻
都へ戻ったゲンジは住吉神社に巡礼に出かける。まさにその日にアカシのレディも出産の禊を受けるために来ていた。二人は和歌を交わすが逢うことは出来なかった。帰ったゲンジはロクジョウのレディを見舞うが彼女は娘アキコノムを託して亡くなった。
新しいエンペラー・レイゼイには二人の妃が仕えることになった。レディ・チュウジョウとプリンセス・アキコノムである。ある日レイゼイのもとで絵合が行われた。ゲンジが須磨で
ウェイリー版源氏物語第一巻
この物語は約100年前にアーサー・ウェイリーが英訳したものを毬矢まりえ氏と森山恵氏が現代の日本語に戻し訳したものである。第一印象は読みやすいということである。源氏はシャイニングプリンス、桐壺帝はエンペラー、夕顔はユウガオ、紫の上はムラサキとなっているが違和感はなく、すんなりと物語の中に溶け込んでいる。
「桐壺」から「明石」までが収録されている。ゲンジは父の妃フジツボに恋をするが、元服してアオイ
小説を書くということ
小説を書くということは、自分が今まで味わって来た言葉にならない感情を言語化すること。自分が今まで味わって来た喜びや悲しみや希望や絶望を登場人物達に託すこと。それらは全て私の過去の記憶の底に眠っていて、外に出ることを夢見ている。