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ウェイリー版源氏物語第二巻

 都へ戻ったゲンジは住吉神社に巡礼に出かける。まさにその日にアカシのレディも出産の禊を受けるために来ていた。二人は和歌を交わすが逢うことは出来なかった。帰ったゲンジはロクジョウのレディを見舞うが彼女は娘アキコノムを託して亡くなった。
 新しいエンペラー・レイゼイには二人の妃が仕えることになった。レディ・チュウジョウとプリンセス・アキコノムである。ある日レイゼイのもとで絵合が行われた。ゲンジが須磨で描いた絵が最後に捧げられ、プリンセス・アキコノムの勝ちになった。
 それからしばらくしてフジツボが亡くなり、エンペラーは自分の出生の秘密を知り懊悩する。そんな中、アカシのレディが娘と共に京の外れに住むことになった。ムラサキは不愉快になるが、アカシの娘を育てることになり機嫌を直す。
 ゲンジとアオイの息子ユウギリは祖母の邸で従姉のクモイと共に育った。二人は幼い恋を育むのだが、クモイの父親トウノチュウジョウに知られ引き離されてしまう。ユウギリは屈辱を感じ勉学に勤しむようになる。ゲンジはロクジョウインという邸を造成し、ムラサキやアカシ達をそこに住まわせる。
 その頃亡くなったユウガオとトウノチュウジョウの娘タマカヅラがブンゴ(九州)から逃げて上京した。長谷川観音にお参りをしたところ、ユウガオの女房に偶然出会い、ロクジョウインに引き取られることになった。ゲンジに新しい娘が見つかったと聞き、多くの貴公子達がそわそわと集って来る。しかしゲンジはタマカヅラの魅力の虜になり、タマカヅラもゲンジに惹かれ始める。そんな中、タマカヅラはヒゲクロに身体を奪われ無理やり妻にされた。
 物語はより深く繊細になっていく。女達の衣装や自然の描写が洗練され、より華麗に優雅になる。紫式部の論理性をウェイリーは見抜いていたようで、強靭な物語になっている。ウルフも源氏物語の自然の描写に影響を受けたようだ。

       fin

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