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【詩】

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心に浮かんだまま書き殴られたものたち。
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#哀愁

【夢日記】変わらないね

【夢日記】変わらないね

ゆめをみた

知らない人が困ってた
煙草に火を灯せなくて

ジッポライターを貸してあげた
お礼に飲み物を奢りますよって
近くのコンビニに二人で行った

そのとき

その男の人が言ったんだ
「通りすがりのあの子可愛いね」
俺はそのひとを知ってたんだ

軽くひらひら手を振ってみる

手を振り返して声を掛けてくれた
「よっ、久し振り。」

「久し振りだね、元気してた?」

「こっちは元気よ。」

「そっ

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【詩】CRASH

【詩】CRASH

眠らない街は朝に眠る

揺らぐ思い
ズレる重さ
積もる想い

街中を吹き流す風に乗って
塵芥を撒き散らす袋の様に
いつもいつも彷徨っている

若人
何を感じて笑うのか
老人
何を思い微笑むのか


何を思って生きるのか
何時まで縋り続けるのか
何処まで振り回せば済むのか

崩壊
心の積み木
細く短い朽木の塔
繊細に罪重ねた生涯
崩れ壊れて
堕ちて行く

堕落
何時から人の善きから目を逸らすように

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【詩】Salvage.

【詩】Salvage.

中心部より少し右下辺りに佇む
泥の浮沈する沼が見えるだろう

私の心の様に酷似している気がして
散歩の時に写真を一枚、撮ったんだ

Salvage
サルベェジ

引き揚げる

回収する

救出する

救助する

引き揚げる

何時か何処かで此の汚泥から
私の心を引き揚げて洗浄して
救助して回収してくれる人が
目前に現れる事を期待してならない

不浄で、不情な、此の心を
浮上させては、くれまいか

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「夜汽車」

「夜汽車」

夜空に掛かる無数の枕木
冷たい空気を纏って走る
ぬくもりを載せた夜汽車

回送列車すら引かずに走る夜汽車
行先は分からないよ
だって枕木は形を変えて流れるから
石炭を焚べる必要は無いよ
だってぬくもりがあるから
蛍一匹いてくれれば大丈夫

月光に照らされて煙を吐く
青黒い空を走る夜汽車

あの時座ったまま死んでしまった
出会ったこともないあの男性は今
この月の隣でゆっくり揺れているのだろうか

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忘却の祠

忘却の祠

旧道から道を逸れ
沼の畔で鳥居を見つけた
何度か足を運んだ場所だが
今まで気付かなかった

奥には小さな祠
私はその道には疎いが
きっと何かを祀っているのだろう
私は初めて出会ったが
此処には誰がお祀りされているのだろう

最近、目覚めるのは五時前後
基本、この時期は漆黒の中
時々、あざらしたちに囁くんだ
そうでもしないと、何処か寂しくて
初冬の隙間風が入ってきて
冷えて冷えて仕方ないんだよ。

雨粒で黒く照り返す路面

錠剤をひとつ、流し込んだ

それは先手を打ったのだ

「先手必勝」という思いつき

裏返せば、後手に回れば不利になる

暖めておいた部屋で眠ってしまおう

起きたとき、少し楽になってるといいな

そう願って布団に潜る

過ちて改めざる、これを過ちと言う。

「ユビキリ」

「ユビキリ」

お迎えを待つ 一人の生徒
人懐っこく 会ってふた月
それを全く 感じさせない
何処かで会うと ハイタッチする
そのハイタッチ 私を照らす

私の核は 哀愁である
哀しみ愁う 黒い塊
教え子たちの 眩しい笑顔
黒を明るく かき消してゆく

お迎えを待つ 一人の生徒
私とひとつ 約束をした

「先生が帰るまで待ってるね」

野暮用を終え 急いで降りた
その子はいない お迎えが来た
親御様にも 都合があ

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「北風」

「北風」

北風の強い日だった

寝不足の私

強い北風は

寝不足の私の脳を

何とか活動状態にしてくれた

車窓から吹き込む強い北風は

寝不足の私の脳を

運転に集中させてくれた

強い北風が吹く中

学生時代によく行ったコンビニで煙草を買う

学生時代の私を知るおばさんが

「昔よく来てたわよね」と話しかけてくれた

私は勿論その人を覚えていた

髪色が変わっても、眼鏡を付けていなくても

名札の苗字

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「故郷」

「故郷」

故郷の街並

異郷の故郷

鳴る踏切の警報

響く列車の走る音

哀愁のディーゼル

遠くで燃える工業地帯の炎

薄灯のアパート

爆音の単車

唸る冷蔵庫

離別

再会

「西陽」

「西陽」

電気の壊れた部屋で

私は独り蹲る

瞼を袖で覆ってみる

廻転する世界の感覚

流れる激声

ぼろ雑巾の様な心を少しでも

強くしようと推しに囲まれて

肉体を鍛えてみた

肉体は僅かに磨かれたが

心はますますぼろぼろになった気がした

紙煙草を燃やす

頬を伝う生暖かい雫

洗濯物を干し終える頃には

西に傾いた太陽は姿を消すだろう

御月様の登場まで

私の意識も一緒に隠してしまおうか

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「波」と「岩」

「波」と「岩」

親愛なる後輩からの言葉を拝借し
ふと思い浮んだものである。

或る者は、波に打たれる岩である。

また或る者は、岩を打つ波である。

波は、一々打ち付けた岩を覚えてはいない。

岩は、一々打たれた波を覚えてはいない。

波は、何時か岩を削る。

岩は、何時か波によって削り落ちる。

岩は、削り落とした波の事を永劫忘れないだろう。

波は、削り落とした岩の事を永劫思い出さないだろう。

此れは、世界

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