風木 愁 -Syu Kazaki-
心に浮かんだまま書き殴られたものたち。
日々の生活の中で、詩や小説とは違うなってものをこちらに。自炊料理が主になります。
階段から始まる怪談。この世とあの世の境界で生きる意味を探す。蛇のように細く、長く綴っていきたい一作です。
詩・長編小説と同時進行で書き綴る、何と呼べばいいか分からないものたち。此処に残ったものは、何時か必ず武器に為る。
悩める2人の不登校少年と、その2人を3年間担任した1人の若い熱血教師の物語。「青春とは何か?」という問に対して、3人は答えを見つけることが出来るだろうか。
勇気を優しく抱いて飛んだ夜は 呆気なく真白な天井へ着地した 世界は何処も彼処も真っ暗で 墨汁みたいな海に浸された心 あのときの気持ちが時々ちらっと 排水溝から顔を出してわらうんだ 俺もわらって「さよなら」を渡す 少し懐かしくて ちょっぴり淡く ほんのり苦くて かすかに切ない 天日干しした心臓にひとつ虹がかかった 静かに泣いたあの日 真赤に怒ったあの日 次の「こんにちは」はいつだろうか 今度会う時は笑って酒でも酌み交わそうや 俺は今日も生きている 死ぬ日まで生き
春を置き去りにした夏が 置いていかれた春に追いつかれた そんな気がした数時間だった ブリーチをかけた黒髪の逆再生 そんなことを思わせる散り行く桜 青々とした緑がまた季節を思わせて わたしはまよえる旅人だ こころはまるで宇宙の星屑 ちっぽけなわたしは 消えてしまわないように光をはなとう 夜風にひとつうたをのせて 賑やかに騒ぐかわずの様に 慌ただしい毎日に筆を置きがちですが、 何かを綴ることは忘れずに生きていきたいものです。 風木愁
薄明るい沼の底から 膝を抱えて空を見る 雀が一羽、空の彼方を 燕が三羽、水面の際を 足首に絡まった粘つく水草 擡げる手首は届かないまま 差し伸べてくれたその手に 絡める指はとても温かくて 消えてしまいそうな儚い思い出 片手は蓮の茎、片手は貴方の指 さようならを伝えて花に添える 春の酸素が迎えてくれる
白い吐息が流れる空へと 「よろしくね」を放った 季節外れの楓の造花 ひらひら揺れていた 凍った雪が太陽を映して 「あぶないね」と話した 深海のくらげたちが ふわふわ泳いでいた あざらしたちに囲まれて 「さようなら」を伝えた これで最後のさようなら 今度はずっとよろしくね
激動の年末年始でした。今年また何か書ければな、と思っています。よろしくお願いします。
傷跡にkissを 忘れないように
「without you I can live.」 それはなんと逞しくて それはなんと寂しいな 「without you I can't live.」 そんな人生にしたいなって。
単純な一言 「必要」 そのひとことがもらえるだけで ぼくはいきていたいって思えるんだ
夜蜘蛛は殺せ。 数年前に他界した祖母の言葉である。これは地域によって異なり、私が住むこの地域では真逆であったことを約一年前に知った。 度数の低い酒で無様に酔い、多少覚めたもののこのぶつけようの無い衝動は止まらない。よくもまぁ住まう家まで戻ってこられたものだ。 木が話しかけてくる。「この高さは丁度良いぞ」と。一時停止を無視する車が怒鳴り散らしてくる。「悔しかったら飛び込んでみろ」と。時間が囁いてくる。「無駄だ」と。 無性に苛立ちながらラム酒にコーラを注いで乱暴に箸で
胸の中で靄靄していたそれを 声に出して形作ってしまった 目を背けていたそれは熱を帯び 激しく 燃えて わたしをただただ狂わせていく 気づいてはならなかった 覚えてはいけなかったの 一度形を成したそれは 何度目の最期を迎えるのだろう 必ず崩壊する時は来るのだから そっとしておけばよかったのに 今の今を大切にすればいいのに 訪れない未来に仄かに期待して またそうやって悔やむのだろう
列車が三十分遅れた霧の朝だった 夜街に戻るとまた 薄ら霧が道を覆う 貴方の世界に私がいられたら そんな叶わぬ夢を霧に吹き 前の見えない家路を歩く。
燃料切れのオイルライター 月が綺麗ですね。 呟く先には誰も居ない 泡 夢 うたかた 月が片眼を閉じた 咲く事を一度諦めた華 自転車の前輪に弾かれ 排水溝に落ちた石ころ ひとなみに溺れた オイルライターは火を灯さぬ
観客もいない 合の手もいない 今宵の家路は踊りませう 消灯したミラーボール 流星のシンセサイザー 踵を鳴らし 宙を舞う煙草の火種 フィルターだけ置き去りなんてしないよ 君がただ一人のお客様だからね
表題の通りです。 今まで言葉を綴る時、(こういったものを主軸に私が理想とする言葉を使いたい)と思ってつらつらしておりましたが、現在の私には何も見えず、思えずです。 道端に落ちる枯葉の方が余程美しく、蛆虫よりも醜い言葉を惰性で並べるくらいならいっそ筆をへし折ってしまおうと至った次第です。 いつか書き始めるかもしれませんし、二度と言葉を綴る事は無いかもしれません。 醜態を晒し続けたこの場所ですが、頂いたハートマークは私の宝物です。お付き合い頂き本当にありがとうござ
静かに激しい残響が脳内で爆音を立てた メタリックグリーンの小柄な体躯に 力強いエンジンを嘶かせ 時速百二十キロに迫りながら 県境を幾つも越えて会いに行った 心を鷲掴みにしてくれた貴方へ 後悔はこれっぽっちも無い あるのは感謝と小匙六十九杯の哀愁 弾倉に湿気った火薬は残ったままで 言葉、景色、音、光は撃鉄の一部だ ターコイズブルーに堕ちた髪 ブリーチでもう一度色を消そうか それとも墨汁を浴びて漆黒にしようか 夜の寂しさはふわふわのあざらしが包み込んでくれる 私は未
俯きすやすや眠って下車 黒い銀色の空を見上げて 少し元気になったなぁと 紫煙を吹き上げまた眠る