【BL二次小説(R18)】 卒業旅行⑯
部屋に戻ってきた新開と荒北。
新「あ!」
荒北が洗面所で手を洗っていると、新開がベッドサイドで大声を上げた。
荒「どした」
新「ほら!ほら!」
新開がサイドテーブルを指差している。
荒「ア」
出掛けにチップの下に Thank You と書いておいたメモに、返事が書かれていたのだ。
── DEITASIMASTE ──
荒「デイタシマステ……?」
新「“どういたしまして”だよ!きっと!」
荒「アア、なるほど」
新「すげぇな!ホントに返事書いてくれるんだ!」
荒「日本人客だって判ってるンだな」
更に、メモの隣りにボッキーとボニーのボトルキャップ人形が置いてあった。
新「うわぁ!こんなのまでくれるなんて!感激!」
荒「マジですげェ効果だな」
新「ああもう嬉しい!靖友!好き!」
荒「エ、なんで?」
新開は荒北をベッドに押し倒した。
新「好き好き!めちゃくちゃ好き!」
荒「なに興奮してンだオメ、ちょ、ア、アアン……」
せっかく綺麗に整えたばかりのベッドの上で、二人はもつれ合うのであった ──。
夜になり、一行は予約したレストランへ向かった。
福「野外……?」
そこは、客席も厨房も外に設置されているオープンレストランだった。
そして周りはジャングルのように木が生い茂っている。
新「植物園?」
東「いや、動物園だ」
ヌッ!
荒「うわアア!!」
いきなりテーブルの横を鹿が横切った。
東堂が笑いながら解説する。
東「周りのジャングルには普通に動物が住んでいる。客席にも当然のように訪れる。その中で食事をするのだ」
福「変わった趣向だが……安全なんだろうな?」
東「ちゃんと管理されている。客席まで来るのはおとなしい動物だけだ。しかし離れた所にはライオンも居る」
新「ちょ!」
飛び上がる新開。
東「猛獣は入って来れない設計になっている。安心しろ」
荒「まさか……ライオンも歯を全部抜かれてンじゃねェだろうな」
東「さあな。ワハハハ!」
荒「ワハハじゃねェよ全く」
コースなので、メイン料理だけを選択する。
ビーフ、ポーク、チキン、フィッシュの4種類だ。
福「4人だから1種類ずつ注文しよう」
東「ナイスアイデアだフク」
新「ああ、昼と違ってまともな料理だ。癒されるよ」
前菜を食べながら新開は喜んでいる。
荒「環境はまともじゃねェけどな」
ギャアギャアと頭上を飛び交う怪鳥にビビっている荒北。
メイン料理が運ばれて来た。
福「ビーフはまともなステーキだな。旨そうだ」
東「フィッシュはマヒマヒだな。フロリダの名産だ」
荒「ポークって……ハンドボールぐらいあるぜ!ちゃんと中まで火が通ってンのがすげェ」
新「チキンて!丸焼きかい!さすが豪快だな!」
それぞれの肉にかぶり付く4人。
焼き加減も味付けも満足のいくものだった。
福「しかし……鳥や動物の見ている中で肉を喰らうとは。悪趣味なのかシュールなのか」
東「こうやって食物連鎖と弱肉強食を学ぶのだよ」
荒「荒っぽ過ぎンだろ」
新「でもインパクト抜群だよな。楽しいよ」
ワーー!
お喋りしていると、離れたテーブルから歓声が上がった。
振り向くと、なんとボッキーとボニーが現れ各テーブルを巡っていたのだ。
福「ム!」
新「キャラクターダイニングだったのか!」
荒「サプライズだなオイ!」
東「フフフ」
ボッキーとボニーは店に合わせサファリ風のコスチュームだった。
配られたメニュー用紙にサインをしてくれたり、一緒に写真に収まってくれたり、抱き締めてくれたりして、一通りテーブルを巡ると去って行った。
荒「うォ~感動したゼ!」
新「やっぱボッキーが登場すると盛り上がるよな!」
東「良かったなフク!」
福「……とても満足した」
放心状態の福富は、手乗り猿がデザートを奪って行ったのにも気付かなかった。
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