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「時の流れが矢を放つ」詩


さよならなんて いわないで

まるで チョコレートをすすめるような
やさしい 口調で 別れをいうのね

街は 夏色に染まって
バカンスが 水着姿で 歩いてる

そんな 季節に
サングラスを 変えるように
別の人との 夏をみつけたのね

街の 小雀たちから
わるい噂は 耳にしていたの
でも 鼻であしらった

あんなに 潔く 
私を 愛してくれた人に
裏切りの言葉は 似合わない

あなたの部屋の インターフォン
何度 鳴らしても 無言
でも 部屋の灯りが明るいのは 何故なの

黒い雨雲が 湧き上がり
突然の 夕立がくれば
傘を 無言で さしかけてくれる
映画のような シーンは 終わりなのね

別れの予感は あったわ

たくさん 涙を 流した時に
あなたの 目の中を覗き込んだ

瞳の中の 謎めいた
サファイア色の
優しさは 失せて
黒水晶色が 冷たく 光るだけだった

一緒に いても
いつも 過去形の 話ばかりで
盛り上がるように なった

時が 矢を 立て続けに放って
私の こころを 傷つけようとしても
もう 涙しない

「あしたの希望」という 
新しい言葉のバリア 身に纏(まと)って
ほんとうの さよならを 言えるから

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