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2021年7月の記事一覧
掌編 いつも待ってるんだ
「よう、マウイ、鼻の穴は元気なんだろうな」
そう声をかけられた半神半人のマウイはニヤリと笑った。
「ぬぁんだ、銅像。俺様にその口のききかたとは、随分と偉くなったもんだな」
銅像の名はデューク・カハナモク。永遠に日焼けを堪能する男は目の前に広がるハワイの海を見つめていた。
「銅像になってから随分と時間も過ぎた。海から出たら俺は何者でもないと言っておったんだがな」デューク像は目を細めた。
「マウ
冥海バレー【掌編小説】
“ワーーーッ!ワーーーッ!!”
“ブーー!ブーー!ブーー!!”
『男子バレーボール準決勝第2試合、大変なことになってまいりました! 精巧なチームプレーを練り上げてきたフランス、強豪ブラジル相手に引けを取らず、第5セットのデュースまでもつれ込みましたぁ!!』
観客の大歓声など何のその、ボールを打ち付ける音は遠く隔たれた実況席まで高らかに響いてきていた。
鳥かと見紛うほどに高い打点。弦を限界ま
創作未来神話「ガーディアン・フィーリング」28話 恋人たちはノマド ~幕間のマッシモたち~
27話のあらすじ
アンドラ公国でドメイン「.ad」につながるガーディアン、子羊アンドラを呼び起こしたジョニーと絵美は、滞在を終えて次の「.ae」であるアラブ首長国連邦へと旅立つのだった。フランスとスペインのあいだの国アンドラから、ジョニーは家族に宛てて記念ハガキを出した。そのハガキはロンドンに届いて……。
28話
場所: 地球、ロンドン
記録者: マッシモ マイジェンダー: 男性 29才
『玉と石の神話25』
王が金剛を呼び寄せた理由が、琥珀にはわかったような気がした。
どれほど威厳に満ちていようと、ならず者にはそれは関係のない事。話し合いにすら応じない輩の可能性もあり、争う為の言いがかりなどいくらでも作れるのだ。
だが、争いが起きれば確実に民も国土も犠牲になる。
『ウラバナ2』
「今年も大変だった…」
眠気と闘いながら織姫は思った。
何せ夫とは年一しか逢えないワケで、一年分イチャコラしておかねばならない。そこは最早、前倒しなのか後払いなのかすら不明なのだが。
一年後の夫を待ちわびつつ、近所のBF達と過ごす一年にも思いを馳せる織姫であった。