マガジンのカバー画像

京都便利堂ものづくりインタビュー

20
手ごろな商品を通じて美術をより身近に親しんでいただきたい――。 それぞれの作品世界を大切に生かし、本当の良さを伝えられるもの そして日常のシーンで楽しくご使用いただけるものをと考… もっと読む
運営しているクリエイター

記事一覧

便利堂ものづくりインタビュー 第17回

便利堂ものづくりインタビュー 第17回

第17回:ハリバンアワード クリスティン・ポッターさん
聞き手・社長室 前田

ハリバンアワード2023最優秀賞を受賞されたクリスティン・ポッターさんにコロタイプとの出会い、ものづくり体験などについてお話を伺ってきました。

―――ハリバンアワード2023の最優秀賞受賞、おめでとうございます!
 本当に素晴らしい賞に選んでいただいてありがとう。私がこうして日本に来るのは2回目、25年ぶりということ

もっとみる
便利堂ものづくりインタビュー 第16回

便利堂ものづくりインタビュー 第16回

第16回:山本修さん 聞き手・社長室 前田

長年の経験と地道な研究で挑んだ、コロタイプのエコロジー化についてコロタイプ研究所所長の山本修さんにお話を伺ってきました。

―――「便利堂コロタイプ研究所」では、コロタイプマイスターである山本さんが、所長として日々研究に取り組まれています。この研究所とは、どのような役割を担っているのでしょう?
 研究所には3つの役割があります。ひとつは、皆さんにコロタ

もっとみる
便利堂ものづくりインタビュー 第15回

便利堂ものづくりインタビュー 第15回

第15回:写真工房 山内崇誠さん 聞き手・社長室 前田

明治時代に開設された〈便利堂写真工房〉は、今も続く文化財撮影専門のスタジオとしては、日本で最も古いもののひとつです。伝統の撮影技術で写された写真は、便利堂商品にも生かされています。職人技を受け継ぐ撮影技師、山内崇誠(たかあき)さんにお話を伺ってきました。

撮影しているのは便利堂の「タネ」

―――山内さんには、本誌の最初の見開き記事〈アー

もっとみる
便利堂ものづくりインタビュー 第14回

便利堂ものづくりインタビュー 第14回

第14回:便利堂本店 安野店長 聞き手・社長室 前田

美術とものづくりをこよなく愛し、便利堂の幅広い商品を知り尽くす心強い店長。居心地のよいお店づくりの秘密はどこにあるのでしょうか。

ものづくりの現場が好き

―――安野店長は長い間、京都文化博物館便利堂ミュージアムショップにお勤めでした。
ミュージアムショップの求人をそれまで見たことがなかったので「なんだかおもしろそうだな」と思い応募しました

もっとみる
便利堂ものづくりインタビュー 第13回

便利堂ものづくりインタビュー 第13回

第13回:一般社団法人京都通信文化研究所代表理事 髙尾均さん 聞き手・社長室 前田

明治32年に逓信省が出した案内文に掲載されたのが年賀状という言葉の始まりです。───髙尾さんはなんと4万枚もの年賀状をコレクションされているとお聞きしました。
 そのほかの絵はがきが3万枚ほどありますから、合わせると7万枚くらいになるでしょうか。古いものでは飛脚が運んでいた頃のものもありますよ。

───そんな時

もっとみる
便利堂ものづくりインタビュー第12回 後編

便利堂ものづくりインタビュー第12回 後編

答えをもって「ありのまま」を撮る

───本城さんが考える便利堂の写真というと?
「それこそ「ありのままを撮る」ことです。どういう風に撮るか、主観を持ちつつもそれは決して前に出さない。だからといって主観がなければ便利堂の写真は撮れないんです。ここはこんな風に表現しよう、油絵のタッチを出すようになどこだわりを持って撮影しています。修行ってそういうことなんだと思いますね。現場で先輩が撮る様子を見る。現

もっとみる
便利堂ものづくりインタビュー 第12回 前編

便利堂ものづくりインタビュー 第12回 前編

第12回:本城克彦 聞き手・社長室 前田

環境が育んだ職人へのあこがれ

───本城さんは便利堂へ入る前から写真を勉強されていたんですか?
「いやいや全然。うちの家は昔、西陣でネクタイ織の会社をしていました。父や兄が図案を考え、デザインを起こし、織機で織った生地がどんどん仕立てに上がってくる。そこで家族が休みなく仕事をするのを目の当たりにしていたからか、一人前になるまでの厳しさも含めて、技術は苦

もっとみる
便利堂ものづくりインタビュー 第11回

便利堂ものづくりインタビュー 第11回

第11回:尾崎正樹 聞き手・社長室 前田

「次どうするか」をいつも考える

───尾崎さんは便利堂へ入られて何年になりますか?
「2002年だったからもう19年ですね。僕はもともと音楽をやっていて、京都へ来たのは9割方バンド活動のためでした。だから便利堂へ入ったのは本当にたまたまです。ハローワークで見た求人の「美術関係」「美術系の出版」「印刷助手」の言葉に惹かれて電話をかけました。美術は好きで

もっとみる
便利堂ものづくりインタビュー 第10回

便利堂ものづくりインタビュー 第10回

第10回:(株)大入 大入達男さん 聞き手・社長室 前田

新品が最低。40年50年を経て育つものづくり
───大入さんの「経師」というお仕事について教えてください。

「奈良時代から続く和本装幀の専門職です。その技術を文化財の修復や保存、複製を作ることなどさまざまに活かしています。「手工」ですから何をするにも手を使うので機械のようにはいかず時間がかかります。失敗も許されません。わたしらのものづく

もっとみる
便利堂ものづくりインタビュー 第9回

便利堂ものづくりインタビュー 第9回

第9回:河内タカ 聞き手・社長室 前田

人生にプラスになる「見るちから」
───『アートの入り口』『芸術家たち』など、タカさんはこれまでにアートにまつまる本を何冊もお書きになっています。タカさんが初めてアートに興味をもったのはいつ頃だったんですか?

「子どもの頃、小学校3~4年生だったと思うんだけど、ブリューゲルの「雪中の狩人」のポスターが自分の部屋に押しピンで飾ってあったんですよ。けっこうぼ

もっとみる
便利堂ものづくりインタビュー 第8回

便利堂ものづくりインタビュー 第8回

大野秀子グレイス(写真右) 聞き手:社長室 前田(写真左)

外から見た日本、中で感じる日本
───秀子さん、日本語がとてもお上手です。

「わたしの母は南太平洋の国、パプアニューギニアの人です。父の仕事のために3歳くらいまでパプアニューギニアで過ごし、8歳くらいからは英語圏やフランス語圏など海外のあちこちで育ちました。父は日本人なので家族の中では日本語も話していたけど、学校や周りの環境は英語だっ

もっとみる
便利堂ものづくりインタビュー 第7回 後編

便利堂ものづくりインタビュー 第7回 後編

第7回 李 志源(写真右) 聞き手:社長室 前田(写真左)

便利堂ものづくりインタビュー(7)前編はこちらから

───李さんは入社してすぐ研究にとりかかったんですか?

「最初に配属されたのがコロタイプ研究所でした。わたしが入る前から研究所では先輩によって実験が行われていましたが、わたしも初年度から印刷助手をしながらそこに加わりました。DASの刷版がまだ試作段階だったので、暗室に簡易的な乾燥機

もっとみる
便利堂ものづくりインタビュー 第7回 前編

便利堂ものづくりインタビュー 第7回 前編

第7回 李 志源(写真左) 聞き手:社長室 前田(写真右)

古典技法へのつきない興味

───李さんは大学で写真を勉強されていたんですね。
「大学と大学院で学びました。わたしは自分の作品をフィルムで撮るのですが、それをプリントしようとするとおのずと古典技法になります。そこで卒業後、古典技法ではもっともオーソドックスな「銀塩写真」のラボに就職しました。そもそもは自分の作品をもっとうまくプリントでき

もっとみる
京都便利堂「便利堂のものづくりインタビュー」第6回

京都便利堂「便利堂のものづくりインタビュー」第6回

第6回 制作担当:白水絵耶子 (写真右) 聞き手:社長室 前田(写真左)

落ち着く「インクの匂い」

───なぜ職人になろうと思ったのですか?

「私は京都の美術大学を卒業しました。大学では版画を専攻したのですが、版画にはいろんな技法があり、幅広く面白い体験ができそうだったからです。便利堂を知るきっかけは求人広告にあった『コロタイプ』の文字です。大学で『タイプ』が印刷技法を指す言葉だと習ったので

もっとみる