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科学技術とイノベーション

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#イノベーション

物理で社会の現象を読み解く

物理で社会の現象を読み解く

ビッグデータの時代が到来し、情報の流れと人々の行動の関係性を定量的に記述できるようになってきた。社会を物理学的な視点で眺め、社会に起こる現象を検証する、こうした分野は社会物理学と呼ばれる。

近年、一般ユーザーが自ら情報を発信するブログやSNSの発展がめざましいが、こうしたソーシャルメディアには、様々な情報が蓄積されているため、コンテンツを解析することで社会に起こる現象を検証することができる。

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フェルミ推定

フェルミ推定

イノベーションの創出には、そのアプローチとして発想法や思考法が重要になる。ロジカル思考やデザイン思考などの概要を理解し、それぞれをどのように活用することができるのかを探る。デザイン思考という言葉が広く出回っていたのは、約10年前くらいのことになる。そして、ここ2,3年ではアート思考という言葉が広まり出している。

様々な思考法があるなかで、「フェルミ推定」という考え方から始めたい。今回の「フェルミ

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これからのリーダーシップ

これからのリーダーシップ

企業のマネジメントには、マーケティング、会計と財務、人材・組織、戦略論などの経営の知識とその適用能力が必須である。そのため、ビジネス・スクールにおける教育の最大の狙いは、優秀なゼネラル・マネージャーを育成することだと言われてきた。しかし、これらを統合し現実のビジネスに生かしてゆくための最大のカギはリーダーシップである。

リーダーとは、明確なビジョンを持ち、部下を奮い立たせ、引っ張っていくことので

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イノベーションとMOT

イノベーションとMOT

本稿では、イノベーション・マネジメントとテクノロジー・マネジメント(MOT、Management of Technology)の違いについて考えよう。

日本において、イノベーションは技術革新と訳さることが多いため、イノベーション・マネジメントとテクノロジー・マネジメントは同じものであると考えている人も多いのではないだろうか。

ドラッカーが「イノベーションをイノベーションたらしめるものは、科学や

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イノベーション創出の思考法    
ロジカル/デザイン/アート

イノベーション創出の思考法 ロジカル/デザイン/アート

イノベーションの創出の思考法として、デザインやアートの思考法に注目が集まっている。今までは、科学技術によるイノベーションが主流だったが、VUCA(Volatility=変動性、Uncertainty=不確実性、Complexity=複雑性、Ambiguity=曖昧性)の時代ともいわれる昨今、従来型のロジカル思考では対応できなくなってきている背景がある。

イノベーション創出のための3つの思考法(ロ

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イノベーション論の変遷

イノベーション論の変遷

日本では、イノベーションは「技術革新」と捉えられることが多いが、ドラッカーが「イノベーションをイノベーションたらしめるものは、科学や技術そのものではない。経済や社会にもたらす変化である。消費者、生産者、市民、学生その他の人間行動にもたらす変化である。イノベーションが生み出すものは、単なる知識ではなく、新たな価値である。」と述べているように、製品だけでなくサービスなどを含めた革新的なモノやコト、さら

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技術移転とは何か?

技術移転とは何か?

技術移転(Technology Transfer)を考えるに当たって、米国大学技術マネージャー協会の定義を見てみよう。
米国大学技術マネージャー協会(Association of University Technology Managers =AUTM )は、大学の技術移転スペシャリストの支援や能力開発を行っている協会である。AUTMでは、多くの大学の技術移転アソシエイト、ベンチャー企業経営者、技

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アカデミア発のイノベーション

アカデミア発のイノベーション

大学や研究機関の研究成果をもとにしたイノベーションについて考える。

研究成果である技術シーズを産業界へ移転することを技術移転(Technology Transfer)と呼ばれるが、アカデミア発のイノベーションには、2通りの方法が考えられる。
一つは、既存の企業にアカデミアの技術シーズを移転する方法と、新しく企業を設立して、そのスタートアップに技術シーズを活用してもらう方法がある。Technolo

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