北原灯

小説を書きたいです。うさぎと暮らしています。昔、ねことも暮らしていましたが、今はいませ…

北原灯

小説を書きたいです。うさぎと暮らしています。昔、ねことも暮らしていましたが、今はいません。

マガジン

  • ワタクシゴトですが

    ブログのような、日記のような、雑記のような。日常の独り言みたいなものを収めています。

  • 短いお話

    1話完結の短編です。ジャンルは様々になると思います。

  • おしゃべりは、いつもふたりで

    猫のきなこと、うさぎの道明寺。ふたりだけでいる時は、かの子(お世話係)がいる時よりもすこしだけおしゃべりです。寝る前に読める、穏やかで心のざわつかないお話。(に、なる予定)

記事一覧

樹木葬

先週、一昨年他界した祖母の納骨式に参列してきました。 樹木葬という、ちょっと変わったものだったので、すこし書き留めておこうと思います。 その前に、少しだけ家族的…

北原灯
6年前
8

精神安定ミント

ファミマのチョコミントパンケーキとエッセルスーパーカップのチョコミントアイス。 別々に食べてもおいしいけど、アイスをのせて食べてもおいしい。 ミニチュアスナイパー…

北原灯
6年前
7

選んでもらった本を読む

最低でも月に1冊は小説を読もう、そう決めて早5ヶ月がたちました。 しかし、読んだ本はまだ2冊半。(実用書はノーカウント) 月に1冊というのだって、かなり余裕をもた…

北原灯
6年前
10

おしゃべりは、いつもふたりで(7)

『とっておきの休日~何もしない宣言と恐怖のテレビ』  今日は何もしない。  ごはんを食べたり、テレビを見たり、道明寺やきなこと遊んだりはするけれど、それ以外は絶…

北原灯
6年前
4

オリジナルは偶然と経験の産物

明日は夫の誕生日なので、ただいまチーズケーキを焼いています。 45分焼けばできあがり。一晩おけば、より味が馴染むそうで。 いま夫は出張に出ていて明日帰ってくるから、…

北原灯
6年前
3

おしゃべりは、いつもふたりで(6)

『とっておきの休日~前夜の狂乱』 仕事からの帰り道、かの子は乗り換えついでに駅ナカでお惣菜を買った。  トマトとアボカドのサラダを200グラム、小さなハンバーグをふ…

北原灯
6年前
5

143日目の再スタート

はじめまして、北原灯と申します。 noteの存在を知ったのは数ヶ月前。すぐに登録をしました。 しかし実際に投稿をしたのはそこから数ヶ月たったあと。 しかも、いくつか投…

北原灯
6年前
3

おしゃべりは、いつもふたりで(5)

『ハレとケ、というほどではないけれど』19時ちょうど、道明寺の部屋の片隅で機械的な音が小さく鳴った。 それを合図に、もっぱら寝室として使っているロフト部分から、真…

北原灯
6年前
5

魔王としもべ

無彩色の魔界の空に、一羽の黒鳥が飛んでいた。 鬼女の顔を持つその鳥は、間近で聞けば寿命を奪うと伝わる金切り様の鳴き声をあげながら、魔界で最も高い山の頂にそびえる…

北原灯
6年前
3

おしゃべりは、いつもふたりで(4)

『二本足サイド(2)』電話の向こうから母の笑い声が聞こえてきた。 「雪、降ってるんだって?」 私のところに遊びにきていた母が、東京は暑すぎるといって札幌の家に帰…

北原灯
6年前
6

おしゃべりは、いつもふたりで(3)

『二本足サイド(1)』「あら、きなこチャン。お久しぶり、元気ぃ?」 頭のてっぺんから噴出したような高い声で、母はきなこにあいさつをした。 「相変わらずゴージャス…

北原灯
6年前
2

おしゃべりは、いつもふたりで(2)

『ヒトの言葉』テレビの中、数人の男女が早口で持論を熱く語っていた。 きなこはソファで丸くなりながらそれを見つめ、何となくわかったときには一度、全然わからなかった…

北原灯
6年前
2

おしゃべりは、いつもふたりで(1)

『満月の夜は何かが起こる』電気のついていない部屋の中、雑に開けられたカーテンに身を隠すようにしてきなこは窓の外を見た。 「今日は満月なのね」 都会の空に星は少な…

北原灯
6年前
2

樹木葬

先週、一昨年他界した祖母の納骨式に参列してきました。
樹木葬という、ちょっと変わったものだったので、すこし書き留めておこうと思います。

その前に、少しだけ家族的な背景を。
祖母は母親代わりに私を育ててくれた人で、とても穏やかな人でした。
私の母は気性が荒く自由奔放で、気性が荒く独占欲の強い父とソリが合わずに離婚したのですが(なぜ結婚したのかは永遠の謎)、父方に託された当時7才の私を不憫に思って、

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精神安定ミント

精神安定ミント

ファミマのチョコミントパンケーキとエッセルスーパーカップのチョコミントアイス。
別々に食べてもおいしいけど、アイスをのせて食べてもおいしい。
ミニチュアスナイパーも狙っちゃうくらい。

ミント苦手な人にはゲテモノ食いに見えるかもしれませんが。

子どもの頃からミントやチョコミントが大好きです。
ミント苦手な友人は脊髄反射的速度で「ハミガキコ食べてるみたいで」と眉をひそめますが、食用のハミガキコがあ

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選んでもらった本を読む

最低でも月に1冊は小説を読もう、そう決めて早5ヶ月がたちました。
しかし、読んだ本はまだ2冊半。(実用書はノーカウント)
月に1冊というのだって、かなり余裕をもたせた数字だったはずなのに。
このままでは小説を見ただけで自己否定感がわき起こる嫌なリレーションができてしまうかもしれない。
それはマズい。
そんなわけで、今月は少し早く読めそうな内容の本を選ぶことにしました。
ズルいかな? と思いつつ、で

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おしゃべりは、いつもふたりで(7)

『とっておきの休日~何もしない宣言と恐怖のテレビ』

 今日は何もしない。
 ごはんを食べたり、テレビを見たり、道明寺やきなこと遊んだりはするけれど、それ以外は絶対に何もしない。
 そう心に決めたかの子の前に今、最大の敵が姿を現わした。
 テレビ――人類が生み出した史上最悪の情報モンスターが今、10連勤明けのかの子に牙をむこうとしているのだ。
 髪も梳かず顔も洗わず、当然のようにパジャマ姿でソファ

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オリジナルは偶然と経験の産物

明日は夫の誕生日なので、ただいまチーズケーキを焼いています。
45分焼けばできあがり。一晩おけば、より味が馴染むそうで。
いま夫は出張に出ていて明日帰ってくるから、ちょうどいい。
けど、夜は外で食事しようと思ってお店を予約したんだった。
じゃあ、いつチーズケーキ食べるんだろう。
食事をして、帰ってくるのはきっと22時過ぎ。
多分、お酒も入っているはず。そこからのチーズケーキ?
……まぁ、いいか。も

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おしゃべりは、いつもふたりで(6)

『とっておきの休日~前夜の狂乱』 仕事からの帰り道、かの子は乗り換えついでに駅ナカでお惣菜を買った。
 トマトとアボカドのサラダを200グラム、小さなハンバーグをふたつ、ブルーベリーのパンと塩パンがひとつずつ、チキンとチーズのグラハムサンドを1パック。
 飲み物は家の近くのコンビニで買おう。両手首にぶら下げたたくさんのビニール袋を見てそう思ったのに、紅茶のリーフを量り売りしている店の前で足が止まっ

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143日目の再スタート

はじめまして、北原灯と申します。
noteの存在を知ったのは数ヶ月前。すぐに登録をしました。
しかし実際に投稿をしたのはそこから数ヶ月たったあと。
しかも、いくつか投稿したらぽっかり間が空いてしまう始末。
ああ、やはりこうなってしまったか……と自己嫌悪に陥っている暇があったら一文字でも書こう。
そう思い直して、自分勝手に何となく封印していたブログ的な、いや、日記的な、いやいや、裏紙に走り書きしたメ

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おしゃべりは、いつもふたりで(5)

おしゃべりは、いつもふたりで(5)

『ハレとケ、というほどではないけれど』19時ちょうど、道明寺の部屋の片隅で機械的な音が小さく鳴った。
それを合図に、もっぱら寝室として使っているロフト部分から、真っ黒い影が動きだした。
無灯の室内で黒いものが動いても、普通の人間ならちょっとわからないかもしれないが、今ここにいるのは道明寺ときなこだけ。カーテンのひかれていない窓から差し込むわずかな街の灯さえあれば、お互いを察知することは十分に可能だ

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魔王としもべ

魔王としもべ

無彩色の魔界の空に、一羽の黒鳥が飛んでいた。
鬼女の顔を持つその鳥は、間近で聞けば寿命を奪うと伝わる金切り様の鳴き声をあげながら、魔界で最も高い山の頂にそびえる魔王の城を目指している。
魔城は宙を貫く尖塔を無数に有し、バルコニーには朽ちたツタと腐臭を放つ屍の花が満ちて——いたのは、1年ほど前の話。
いまやそこには淡い紅色の沈丁花が咲き乱れ、塵ひとつ落ちてはいない。
花を散らさぬよう、黒い翼は鈍く光

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おしゃべりは、いつもふたりで(4)

おしゃべりは、いつもふたりで(4)

『二本足サイド(2)』電話の向こうから母の笑い声が聞こえてきた。

「雪、降ってるんだって?」

私のところに遊びにきていた母が、東京は暑すぎるといって札幌の家に帰っていったのが一昨日の夜。空港で見送って帰る途中、なんだか寒いと思ってはいたけれど、まさか3月に雪が降るとは。

「先週、上野に連れていってもらったとき、桜、咲いてたわよね」
「そうだね、早咲きの種類だったらしいけど」
「変なところね、

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おしゃべりは、いつもふたりで(3)

おしゃべりは、いつもふたりで(3)

『二本足サイド(1)』「あら、きなこチャン。お久しぶり、元気ぃ?」

頭のてっぺんから噴出したような高い声で、母はきなこにあいさつをした。

「相変わらずゴージャスなしっぽねぇ。襟巻きにしちゃいたい」

シルバーフォックスの襟巻きを外して壁のハンガーにかけながら、うふふと笑う母。彼女を見るきなこの視線はいつにもまして冷たい。

「で? こっちの黒いうさチャンは……さくらチャンだった?」
「道明寺だ

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おしゃべりは、いつもふたりで(2)

おしゃべりは、いつもふたりで(2)

『ヒトの言葉』テレビの中、数人の男女が早口で持論を熱く語っていた。
きなこはソファで丸くなりながらそれを見つめ、何となくわかったときには一度、全然わからなかったときには二度、まばたきをした。

「言葉、ずいぶんわかるようになったみたいだな」

すこし離れたところから道明寺が声をかけた。シルバーのラックに足を投げ出して、大して興味もなさそうに、しかし少年のように潤んで輝く瞳はしっかりときなこを捉えて

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おしゃべりは、いつもふたりで(1)

おしゃべりは、いつもふたりで(1)

『満月の夜は何かが起こる』電気のついていない部屋の中、雑に開けられたカーテンに身を隠すようにしてきなこは窓の外を見た。

「今日は満月なのね」

都会の空に星は少ない。今日は余計に少ない気がする。金曜だから、皆、夜の街にくりだしているのかもしれない。
しかし月はまわりに誰もいなくなってもおかまいなしで、一寸の欠けもない堂々とした姿で静かにいつもの場所にいた。

「なによ、ちょっとかっこいいじゃない

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